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26話 恐怖の森

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 大森林の浅層、その上空で、突如として大気を震わす、轟音が鳴り響いた。

 

 ビシャアアァーーーーーーーン!!!! ゴロロロ・・・!!


 ラグ二ー川の傍で、体を休めていたアジノ家の領兵達は、ソレを目撃していた。轟音の元は、確かに落雷だった。しかも、その直前、正体不明の咆哮が轟いたのだ。

 その原因不明の事態に、彼等は大騒ぎになった。

 ここに来るまでの、森の異変が、彼等の恐怖を更に膨れ上がらせていた。同僚も一人、死んでいるのだ。無理もない。

 更に、落雷の発生場所が問題だった。魔道具を設置する為に、森の奥に入った冒険者が向かった方向だったからだ。

 

 アジノ家従士長、マルコは焦る。

 もし、今の落雷が、冒険者へと向けられたものだったとしたら、計画は失敗に終わってしまう。

 結界装置を大森林で起動し、中層や浅層の、森の魔物達を暴走させる。うまく行けば、もっと深い所まで。そうして、氾濫を引き起こすのが、彼等の狙いだった。

 暴走した魔物に、結界は意味を成さない。

 マルセロン家の大結界を無効化し、自分達の手を汚さず、マルセロン男爵領を混乱に陥れる為に。

 しかし、それがさっきの落雷で怪しくなってきた。

 ここまで、犠牲まで出して、苦労してやって来たというのに。全てが無駄になる。という焦りが口を滑らした。


「おい!! 誰か、結界を確認して来い! これで失敗したら、全部無駄になるぞ!」

「大森林の奥なんて、誰も行きたがりませんよ!

 従士長殿も、さっきのを見たでしょう!?

 それに、あの咆哮…」

「うっ、いいから、私の命令を聞け!」

「なら、私が行きます! 彼の無事を確かめて来ます」


 誰も自分の命令を聞かないと、憤るマルコだったが、そんな中、新米の一人、ベリトが手を挙げる。

 誰でもいいから、確認出来ればいいと、マルコは、ベリトを送り出す事にした。



 マルコ達のやり取りを、遠目に眺めていた2人の男女。

 2人は、森の奥に向かった、仲間の帰りを待っていたのだが、マルコの不穏な発言を、聞き逃さなかった。

 さっきの落雷も危険だが、ここに残るのも危険だ。

 この領兵達は、自分達を殺しにかかるかもしれない。と、危機察知が働く。

 2人は、迅速に行動に移った。

 仲間を見つけて、この森から、早く抜け出すために。



 更に、その様子を、大きな木の上から覗く者達が居たが、この場の誰も、気付くことは無かった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「ふぅん。これが結界装置か・・って跡形も無いんだけどね」

(すみません。緊急事態だったもので、障壁ごと破壊しました)

(いや、ナイス判断だよ。ボレアスのお陰で、ウチは救われたかもね)

(どうでしょう? この結界装置からは、それ程力を感じませんでしたし。

 良くて中層の魔物達が、外に出て来る程度だったかと)

(いやいや、ウチの領民に被害が出るのは駄目だよ。土地が荒れるのも勘弁だし。

 だから、ボレアスの判断は、正しかったって事さ)

(そうでしたね、私達は裏組織でした。

 森だけでなく、この地を守る。でしたか?)

(そうそう。だから、これを企んだ奴等には、報いを受けて貰おうか。

 この人が、一番強いんだよね?)

(ええ、ウチの構成員で言えば、ドラコニアン程でしょうか)

(へえ、C級はあるのか。ちょっと覗いてみよう)


 《カーシュ・アマルレイク ME:4200》


 この人が敵で一番強いなら、何とかなりそうだ。

 スキルで人を見ると、こうなるのか。魔物の情報と特に変わらないな。使うと、相手に気付かれるけど、戦闘中なら問題ない。

 マナの量が、強さの全てじゃないけど、戦闘力の多くを占めているのは、確かだからな。

 っていうか、ボレアスも結構、ノリがいいよな。構成員って。完全に組織の人間の発言だ。

 ボレアスが使った、構成員という言葉、俺も使わせて貰おう。組織感が出ていいぞ。


(此方に、3人、向かって来ますね。

 この人間の次に、マナが多い者が2人、含まれています)

(なら、今、向こうは手薄って事か。

 大蜘蛛達に伝えてくれ。

 そいつらを、出来るだけ生かして捕まえてくれ。ってのと、

 無理に生かす必要は無いし、身の危険を感じたら、すぐに逃げろ。って)

(蜘蛛さん達は、大丈夫でしょうか?)

(向こうには、監督官も付いてるからね。たぶん大丈夫)


 俺が、伝えてくれって言ったのは、ボレアスにじゃない。近くにいる配下に対してだ。

 ウチの魔物達は、念話で意思の疎通が図れる。

 一定距離離れると、繋がらないが、一定間隔で配下を置いておけば、疑似的な通信網が作れる。

 さっき俺は、彼等に連絡した訳だ。

 向こうは、暗殺大蜘蛛(アサシンスパイダー)がうまくやってくれそうだけど、もしもの時の保険もある。

 こっちはこっちで、敵を迎えてやらないとな。

 主にボレアスが。俺は高見の見物だ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「うわあぁ、目が、目がああーー!!」

「何だ! この黒いのは!? 一体何が起きてる!?」

「魔物に囲まれてます! どうしますか!? 従士長!」

「ぎゃああ!! いでえ! 足が折れた!」

「動け! 止まると狙われるぞ!」

「魔法で霧を払え!」

「敵が見えんぞ! どこにいるんだ!?」


 アジノ家の兵達は、現在、黒い霧の壁に覆われて、絶賛混乱中であった。その黒い霧は、自分達の頭上から、降り注いできたもので、周りを完全に取り囲まれてしまっていた。

 この霧を出した魔物の仕業だろうか、何やら硬い石の様なものが、四方から高速で飛んでくる。着けている軽鎧が、凹むほどの力で、直に当たらずとも、その危険さを肌で感じる程だった。

 兵士達の殆どは、森で岩猿(ロックエイプ)に襲われた事が、完全にフラッシュバックしていた。しかも、黒い霧に触れると視界が奪われ、その石に撃たれる恐怖が、倍増してしまう。

 

 恐ろしい事に、敵の攻撃は、これだけでは済まなかった。

 一人の兵士の太腿に、突如、骨が突き刺さったのだ。鋭く尖った20cm程の骨だった。

 それを傍で見てしまった、一部の兵士は、恐慌状態に陥ってしまった。

 

 最早、一刻の猶予も無い。このままでは、生殺しだ。

 そう判断した従士長マルコ。


「これでは持たん。強硬突破するぞ!! 一点突破だ! 皆、付いて来い!」


 マルコは、なけなしのマナを振り絞り、火の中位魔法を放つ。黒い霧を爆炎で消し飛ばし、マルコ達は外に出る事に成功した。

 だが、そのタイミングで、何故か前方の木の合間から、強烈な突風が吹いた。

 突風は、マルコ達の体に叩き付けられ、後方へと吹き飛ばした。吹き飛んだマルコ達は、ごろごろと転がり、黒い壁の中に押し戻されてしまった。

 そうして、開いた穴は、再度、魔物に塞がれ、黒い霧の壁がまたもや形成されてしまった。


「ぐぬぬっ!? 何だ今のは? これでは出られんではないか!!」


(このままでは全滅ではないか!? もう、マナも残っておらんぞ!

 どうすればいい!? 何でこんな事になっているのだ?

 何故! こんな凶悪な魔物が、こんな浅層にいる!?

 何故! 我々が狙われている!?

 なぜ!? 私がこんな目に、合わなきゃならない!!)

 

 突然の襲撃に混乱し、何とかしようと奮闘し、そして絶望する。

 森に入ってから、散々な目に遭い続け、怒りが込み上げてきた。

 ふと、倒れた部下の姿が、マルコの目に入ってきた。

 部下の中には、既に、血を流し、地に伏している者が数名出ていた。

 死んだのだろうか? と、倒れた部下を見て、マルコは、自分もこのまま、嬲り殺しにされる未来を想像してしまった。

  ヒュイン!! 

 その時、マルコの耳に、聞きたくもない音が聞こえた。

 間を置かず、鋭い痛みが走った。硬く、鋭く尖った何かが、体の中に入ってくる感覚と共に。






 2人の冒険者と、1人の兵士は走っていた。

 幸い、さっきの咆哮と、雷鳴のお陰で、辺りの魔物が離れて行った様だ。

 これなら仲間を回収して、森から無事に出られるかもしれない。そう希望を持つことが出来た。

 もうすぐ、仲間の元に着く筈だ。


「ねえ、ジェス。兄さんは大丈夫かな?

 それにさっきの咆哮。まだ、その魔物が近くに居るよね?」

「それは分かんないけど、カーシュさんは強いからね。死んじゃいないと思うよ。

 希望的観測だけど」

「お2人とも、ここからは歩きましょう」

「そうね。慎重に行きましょう。あなたも変な真似しないでよね?

 私達は、兄さんを回収したら消えるから。この一件の事も話さなわ。

 ここで死んだと、そう報告してくれる?」

「分かりました。僕も、彼を助けたかっただけですから」

「へえ。本気で言ってるみたいだ。あの領には勿体ない人材だね」

「本当よね。結界を発動させて、氾濫を起こそうなんて、普通考えないわよ」

「…すみません」

「あなたが謝ったって、しょうがないでしょ!?」

「まあまあ。どうやら着いたみたいだよ。でも、...

 あれはどうしようか?」


 3人は、森の木々が、少しだけ開けた場所に出て来ていた。

 そこでは結界装置が、見る影もない程に破壊されていた。僅かに残った、残骸の周囲は、焼け焦げ、地面は深く沈んで、クレーターを作っている。

 近くに、カーシュの姿も見える。遠くて、生きているかは分からない。

 そこで、3人は我が目を疑う事になった。

 この大森林の中層に、全く以って、似つかわしくない存在が、そこに居た。

 倒れているカーシュから、やや離れた場所に、金髪の少年が、岩を椅子にして座っていたのだ。

 更にその横に、もっと信じられない巨大な生物が居た。ドラゴンだ。

 ドラゴンは、少年に従うように、静かに伏せている。

 3人は、この状況で、どうしたらいいか分からなかった。

 その2つの存在は、既に此方に気付いていたが、あの、金髪の少年が、3人の目には、物凄く不気味に映るのだ。ドラゴンよりも恐ろしい、そう感じた。

 すると、座っていたその金髪の少年が、すっくと立ち上がった。


((・・・ゴクリ・・・))

「あの、早く来てくれないかな?

 流石に、長いんだけど」

「「え?」」

「え? じゃないですよ。

 ウチを結界で荒らそうとした、その報いを、受けて貰いましょうか。

 やれ、ボレアス!! 小悪党なぞ骨も残すな!」


 巨大なドラゴンが、一度跳び上がり、翼を広げて、3人の目の前に降り立った。

 ドラゴンの双眸が此方を覗き込む。ただの呼吸音すら恐ろしい。牙も鱗も爪も、長い尾も、ドラゴンを成す全てが、恐ろしかった。


「キュウエエェェィイイーーー!!!」

「「・・・!」」

「あ。皆、気絶しちゃった」

ギル達の居る森に来るとどうなるか、少しリアルに描いてみました。

因みに、この作品は特にシリアスではありません。

主人公のギルが、配下を集めたり、開拓したり、変な物を作ったりして、楽しむ作品です。

たぶん・・・。

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