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23話 ファミリー結成

父上の髪色設定をしていなかったので、深い赤色とします。リチャード君も。

過去話も修正しておきます。

「ふう~。やっと出て来たぞ」

(…長かった)


 ダンジョンの神殿から出ると、陽が沈む頃だった。

 そして、リンカの言葉が全てだ。

 7階層は閉鎖空間とは言わないが、全容が見えず、終わりの見えない道は、正に迷宮の城、といった感じで、精神的に疲れるものがあった。俺がダンジョンを舐めていたのもあるが。一番の原因は、あの骨悪魔だな。勝てたから良かったものの、実際は危なかった。

 だが、もう終わった事だ。反省は今後に活かせばいい。

 取り敢えず、戦利品をギルドで鑑定して貰って、屋敷に帰ろう。


 宝箱から出た剣は、見た目はごく普通の長剣なのだが、鞘から抜くと、剣身が綺麗な灰色の輝きを放っていた。鑑定の結果、こいつは銘の無いミスリル製の剣だった。実は、俺の使っているアウラもミスリル製だったりする。この剣には魔法効果は無い様だが、質はこっちの方が、アウラよりも良いらしい。

 地球の伝承では、伝説の金属扱いかもしれないが、此方では、そこそこ良い金属、という所か。高価なのは確かだが。

 骨の悪魔が遺した剣は、こいつは一波乱あった。

 先ず、銘があるようだが分からず、何の金属が使われているのかも分からなかった。そして、魔法の効果もあるようだが、使ってみないと分からない。と、分からない尽くしだった。

 もっとグレードの高い鑑定道具が必要との事だ。

 この剣の魔法効果はあれだろうな。あの突き技だ。骨悪魔が何たらと言っていたが、技名は覚えていない。

 因みに、呪いは無いようだ。

 呪いが無いと分かっただけでも僥倖だな。使えれば何でもいい。

 当然、どこで手に入れたんだと話になったが、ダンジョンの宝箱から出て運が良かった、と誤魔化しておいた。

 流石に、B級の魔物を倒したと言っても信じないだろう。俺は10歳のお子様だし。疑われるのも、噂になるのも嫌だ。



 グッフッフ。戦利品は、まだある。こいつらだ。

 俺は、思わず笑みが零れる。

 ブラウの背に揺られながら、亜空間にある、大量の魔石を眺めているのだ。リンカに、気持ち悪いと言われたので、すぐに笑うのは止めたが。

 魔石の復活作業をしながら、移動しているのだが、今日は収穫が多いな、と、改めて思い返していた。

 剣も、魔導書も、魔石もそうだが、俺の『万気丹田』についてだ。

 万気丹田君は、どうやら、俺のマナの出力を、調節してくれているみたいだ。

 骨悪魔戦。あの時、俺のマナの出力は、限界を超えていた。俺の緊張状態に反応して、出力限界を超える力を、出せるようにしてくれたようだ。あれが無かったら、死んでいたかもしれないので、感謝している。自分のスキルに、感謝するのも可笑しいんだけどね。

 ただ、使うのは控えなきゃな。身体に良い訳がない。...自分でコントロール出来る訳じゃないんだけど。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 次の日の早朝、今俺は、大森林の広場にいる。

 昨日、夕食を食べながら、明日はどうするかと考えていたら、父上が、明日は森に行くから案内してくれ、と言って来た。

 そう言えば、そんな話をしていたな。と、やりたい事が多すぎて、すっかり失念していた。父上には、準備する事があるから、先に行くと言って出て来たのだ。

 森の広場に着くと、木の柱が綺麗な円を描いて、俺を出迎えた。

 おお! もう立て終わったのか。それに、まだ一部ではあるが、屋根に梁が通っている。仕事が早すぎて感動する。柱と梁は、アラクネの糸を縄替わりに使って、補強されているようだ。ちゃんと協力もしているようで、大変素晴らしい。

 これだけでも、父上は驚くだろうな。ふふ、目に浮かぶようだ。

 そして、未完成の巨大ゲルの中には、幾つかの部屋が出来上がっている。木板と土壁で仕切られた、簡易的な物だが、アラクネ達の作業部屋が既に形成されていた。


(おはよう御座います。ギル様。妾達の部屋を用意して頂き、有り難う御座います)

(あ、おはようネア。皆の仕事が早くて助かるよ)

(そうですね。落ち着いたら、もっと良い部屋を造ると仰っていましたわ。楽しみにしていますの。

 それと、ギル様、此方をご覧になってください)

(ん? これは、もしかして屋根の?)

(そうですわ!

 妾達アラクネ総出で、ようやく半分といった所ですが、明日には完成しますわ)


 頑張りすぎじゃないか?

 取り敢えず、アラクネ達には今後もお世話になるので、今居る大蜘蛛を進化させておいた。8体がアラクネに、2体がアサシンに進化した。ネアには感謝されたが、感謝したいのは此方だ。


 ボレアスの所へ向かう途中、ウンディーネのミズネはどうなったのかと、気になったので見に行く。

 ミズネの泉、元い、精霊の泉の縁には、泉を囲うように、背の低い草花が咲き誇っていた。その泉の中を優雅に泳ぐミズネを見つけた。

 後で話を聞いてみよう。



(やあやあ! おはようボレアス君!)

(ギル様。おはようございます。私は一応メスですが)

(まあまあ。固い事は言わずに、ボレアス君。

 早速、聞かせてくれよ。皆と話し合ったんだろ?)

(ええ。話し合いましたよ。皆仕事があるので、軽くですが、意見を出して貰いました。

 お勧めは、竜の晩餐ですが) 

(え? そ、そう。まあ、参考にするだけだから、取り敢えず全部教えてよ)


 ボレアスが云うに、集まった集団名候補はこうだ。


蜘蛛の饗宴・ドラゴンズ・精霊の泉・精霊の和・水と私達・アクアタイム・竜の晩餐・ギル様と私達・魔軍・魔物は友達・森の家族・竜になりたい・ギル軍・大地の巨匠・モンスターファミリー・森の工房・竜人の楽園・ギルバートetc


 ・・・なんか、思ってたんと違う。

 集団名、と言うか、願望や個人の色が強いな。しかも、ミズネの意見多くないか? 数が多いから、ドラコニアンも強めだな。それで言うと、アラクネ達は控えめだな。お勧めされた竜の晩餐は、ボレアスが言うと恐いんだよな。

 皆の特徴が出ていて面白いけど、どうするか。

 お? モンスター、ファミリー。ファミリーか、家族って意味もあるけど、マフィアも使うよな。いいな、これ。詳しくは知らないけど、マフィアの発祥って、完全悪とは言えないものだった筈だ。林兄から聞いた事がある。

 確か侵略者から土地を守るには、悪には悪を。の精神だったと思う。悪になるつもりはないが、自分達の土地を守るってのは良いな。それに、俺達が魔物の集団ってのも、また良い。

 ファミリーは決定だな。

 ・・・こういうのは、シンプルに行こう。


(決めたぞ!)

(ほう! どれにしたんですか? 私は竜の晩餐一択ですが)

(それはいいって。俺はファミリーが良いと思ったんだ。

 だから、シンプルにギルズファミリーってのはどう?)

(ふむ。少々残念ですが、ギル様が決めたのならば、否やはありません。

 シンプルで覚え易いですし。ギル様の名ならば、角も立たないでしょう)

(うん、ありがとう。このファミリーって、実は裏の意味があるんだ。

 それは______)


 俺は手短に説明した。ファミリーの由来を。勿論、地球の話ではなく、架空の国の名前の置き換えてだ。


(そう言う事で、ボレアス君には俺の右腕になって貰おうと思う)

(面白いお話でした。そう言う事でしたら、お引受け致しましょう)

(ああ、任した! 今すぐどうこうは無いけど、よろしく頼む!

 今日は、後で父上が来るから、その時紹介するよ。

 そうだ。因みに俺達は、この領の裏組織という設定だからね)


 ボレアスなら、皆のまとめ役に適任だ。落ち着いているし、話し方も穏やか、何より強い。未だ戦っている姿を見た事は無いのだけれど。

 まあ、見なくても分かる。彼女はB級上位の存在。たぶん、あの骨悪魔より強い。そして、何より竜だからな。

 皆も納得の采配だろう。



 という訳で、俺は、一旦皆を広場に集めて、俺達の組織名の発表と、ファミリーの結成を、宣言する事にした。


(え~、先ず、俺達の組織名だが、皆の意見を、基に決めた。ほとんど使われる事は、無かった訳だが・・・

 いや、それはいいか。え~っと、俺達はこれから、家族、ファミリーだ!

 このファミリーには、深~~~い、意味があるんだが、今は、長くなるからな。

 簡単に言うと、皆で協力して、この地を守る。って、そういう意味があるんだ。

 因って、俺達はこれから、ギルズファミリーと名乗る事にする! …皆、いいか?)


 最後、尻すぼみになってしまったが、どうだろうか?


(おお!! 我々は家族か! それはいい)

(妾達は、ギル様の決定が全てですので)

(水がありませんが、仕方ないですね)

(…カゾク)

(あっしらは、旦那に付いて行くのが使命っすからね。

 名前は何でもいいっす)

(なあ、ふぁみりーってなんだ? つよいのか?)

(そんなのウチが知る訳無いでしょ!)

(ファミリーの深い意味とやらは、私が教えておきますよ。ギル様)


 一部、納得していない声も聞こえたが、俺が勝手に言い出した事だから、皆、特に名前に興味は無いんだろう。すんなりと、受け入れてくれた。

 まあ、この名称をきっかけに、自分達が、この領地でどういう立ち位置なのかを、知ってくれればそれでいい。

 ファミリーの伝道師は、ボレアスに任せる事にして、父上が来る前に出来る事をやっておくか。

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