14話 拠点造り① 嵐竜
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※配下の名前はカタカナ表記に統一します。
新しく仲間となった、ワイアームのボレアスには、E級魔石を20個以上も使った。
翼を広げても、ブラウと同程度だった姿は、胴体だけでも、ブラウを超える巨体となった。翼を広げればかなりの威容だ。
四肢が無かった胴体には、脚が存在し、翼の先端、手首部分には手が生えている。半翼竜のような姿形をしている。
前世の地球では、竜は伝承で、規格外の存在として描かれる事が多いが、こっちでもそれは同じだ。伝承ではなく、実在する存在としてだが、
国を亡ぼすような竜には、遠く及ばないだろうけど、竜と呼んでも恥ずかしくない、それに、相応しい姿になったと思う。
ボレアスは、ワイアームからストームウィルムへと進化したのだ。
ステータス
名前: ボレアス
種族: ストームウィルム
ME: 17400
等級: B
属性: 天
加護: なし
能力: 固有スキル『浮遊』『竜体』『竜圧』『風ノ化身』
標準スキル『風竜息』『招雷』『雷霧』『マナ感知』『仲間召喚』
『毒針』『剛突進』
めっちゃ強いんだが、
スキルの詳細が分からなくても、名前から、何か強そうなのは分かる。
一番注目するポイントは、マナ量と等級だな。B級なんて初めて見たぞ。こんなの、森の浅層に居ていいレベルじゃないし、それを駆け出しのテイマーが連れてるとか、笑えるな。
(ギル様の能力は、素晴らしいですね。魔物の進化には、相当な時間が掛かるものなのですが・・・)
(そう? 俺は、ただスキルを授かっただけだからね。 にしても、ボレアスは強過ぎだなぁ~、B級だってさ! うちで最強だよ!)
(いいえ、そんな事はあり得ません。考える迄もなく、ギル様が一番かと)
(え? 俺じゃ、全く歯が立たないと思うけど)
(戦闘経験はともかく、マナの量なら、ギル様が一番です。ギル様がまだ、子供の身体だからでしょう。一度に引き出せるマナに、制限がある筈です。今はともかく、いずれ私等、足元にも及ばなくなります。一度ギル様の能力で、ご自分の力を計ってみてはいかがですか?)
俺が全力を出したのって、ミミックと戦った時くらいだ。
あれから俺は、魔石を吸収しまくってるからな。マナが一番でもおかしくは無いけど、制限か・・・可能性はあるな。
ちょっと見てみよう。
ステータス
名前: ギルバート・マルセロン
種族: 人間
ME: 42900
LV: 9
属性: 無
加護: なし
能力: 固有スキル『魔石復活』『万気丹田』
標準スキル『小さな宝箱』『突進』『棍棒術』
ブフッ!! やばっ、鼻水出ちゃった。
ボレアスの2倍あったんかい! さっき、『万気丹田』を獲得した時にも、マナが上がったしな。しかし、こんなに多かったのか。
いや、分かってはいたのだ。自分のマナは、ズルして増やしている様なものだから、多いのは当たり前だ。ただ、目の前にいる竜のボレアスや、狼のブラウを見ていると、自分が弱い生物にしか感じられなかった。だから、流石にボレアスよりは、マナは低いだろうと思っていたのだ。
まあ、こうして、自分のマナ量を、確認出来たのは良かった。マナの出力に制限が掛かっていても、多いに越した事はない筈だしね。
(何となく能力も分かった事だし、作業を再開しようか! リザードマン達にも話したんだけど、こういう形の拠点を造りたいんだ。ボレアスも進化したし、もっと大きいのを造ろうかな)
俺は、地面に図を再度描き直した。リザードマンに見せた図は、フーコの戦闘の余波で、消し飛んでいたので仕方ない。
書いた図は、前世のゲル、まあ円形のテントだ。正直、構造は知らないが、形だけ伝わればいい。
巨大な円形テントの支柱に、一番大きな大木を使えば安定するし、その周りに円状に柱を立てるだけで、基礎は完成だ。
(あの木を切り倒せる人は協力して~!)
(はいは~い! 魔法でちょちょいのちょいよ!)
(では、私も)
フーコとボレアスの魔法で、直径1メートルはある大木が、根元から輪切りにされていく。目の前で倒れていく大木は迫力がある。
はえ~、凄いな。
あの魔法は、中位級の魔法かな? 恐ろしい威力だ。
俺も、短剣アウラを使って、風刃を使ってみたが、木の表層を抉るのみに終わってしまった。しかし、もっと魔力を注ぐことが出来そうだと、チャレンジしてみる。今度は木の半ば、4割くらいには届いた。
よしよし、アウラはかなり使えるじゃないか! 大事にしよう。
ズバンッ!!
斬撃音が響いたので、そちらを見ると、リンカが大木を両断していた。
リンカは、剣のような何かを持っている。
そう言えばリンカは、『魔力形成』と言うスキルを持っていたな、どうやら、魔力を物質の様に固めて、使うことが出来るようだ。
便利過ぎませんかねそのスキル。これなら、『剣術』も無駄にならなくて済むな。
強くなった魔物達なら、この程度の作業は苦にならないって事か。自分の能力も把握出来るし、良い事尽くめである。
残った切り株はどうするかって? 簡単だ。ウチのガンドが、土を操作すれば、あら不思議。切り株が宙を舞うのだ。ボコッ! と切り株が、根ごと飛び出してきたのを、初めて見た時は、俺もびっくりした。空を舞う、切り株の奥に、ノームのガンドが居て、納得した。
そこから、切り株の水分を、ウンディーネのミズネが吸収し、しおしおになった所を、サラマンダーのカルが焼く、という連携を見せていた。
流石は精霊、自然の力を身に付けているだけあって、有能すぎる。特に、ガンドとミズネの能力は、替えが効かなそうだ。
ちょっとリザードマンの仕事が多いな。屋根や壁用に資材集めをして貰っていたが、今は大木も運んで貰っている。人手が足りていない。
リザードマンの魔石は、もう切らしてしまったからな。代わりに強化してあげよう。
リザードマン10体に、魔石を与えて進化を促す。
やはり魔物にとって、進化は特別なのだろう。皆喜んでいる。
(感謝します! ご主人様!)
(まあまあ、これからもよろしくね。人型の皆には、やって貰う事が多いし、細かい事とかも頼むだろうしね)
(はい! なんなりと仰ってください!)
なんともお堅い種族である。進化前もそうだったが、言葉が流暢になると、更にそれが際立つ。全員が、という訳ではないが、程度の差はあれど、そういう気質は、種族に備わったものとしてあるのだろう。
彼等は皆、ドラコニアンへと進化した。肉体は屈強になり、猫背だった姿勢が真っ直ぐに、より、人型に近くなった。とは言え、蜥蜴顔は変わらずである。スマートさは、増したかもしれないが。
因みに、種族としての等級は、C-だった。
人手か・・・、森に拠点を築くに当たって、必要なものが見えてきた。
数は力だ、と言うけれど、この森で安全を得ようと思ったら、数は大事だ。森の魔物に対抗するにしても、拠点を造るにしても、数は必要になって来る。その質が高ければ、なお良しだ。後は、細かな作業に、リザードマンのような人型は有用だ。
人型の魔物は、ダンジョンの奥に進めば、まだ居るかもしれないな。もし、見つけたら、魔石を多めに確保しておきたい。
森にも、まだ居ると思うんだよなぁ。コボルトやゴブリンも居たもんな。
まだ1日目だ。ゆっくりじっくり、やって行けばいい。
ワイアームとウィルムはwyrmの読みが違うだけで同じ意味なんですが、雰囲気でウィルムを上位種設定してます。