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ひとつの願い  作者: 猫ヶ崎 デオ
3/3

怪盗レスフィア

1週間空いてしまいました...

言い訳なんですけど今回は今までにないくらい長いんですよ。

多分誤字脱字のオンパレードです。

怪しい女性を発見。

20歳は絶対に超えてない顔つき。

この街で初めて見る顔だ。

つまり旅人や商人だろう。

「しかし妙だな」

国から国を渡り歩いている身なりじゃない。

ドレスを着ているのだ。

考えられる理由は2つ。

金持ちの旅行客。

もうひとつはこの国に来てすぐ人を騙しまくって荒稼ぎしている詐欺師。

飲食店に1人でいるところ前者ではなさそうだ。

ならやつは詐欺師だ。

多分やつの腹は着ているドレスの色と同じくドス黒いのだろう。

いや、絶対にそうに違いない。

思い立ったが吉日だ。

「お姉さん、相席いい?」

黒ドレスの女性は俺を怪訝そうに見てきた。

以降彼女を黒ドレスと呼ぶことにする。

「あっちの席空いてるけど...」

何たる失態、こうなることは予想できたと言うのに。

「え〜っと、そう!景色を見たいんだ!この店の窓からの景色は絶景と呼ぶに相応しいけど、窓辺の席が埋まってしまっていて」

最高の言い訳、自慢したい気分だ。

黒ドレスは窓を見て質問してきた。

「私には景色の善し悪しはわからん。この景色のどこがいいんだ?」

またしてもピンチ!次はどう切り抜ければ...

いや、これはチャンスだ。どうにか切り抜ければタスクは完了したも同然だ。

「え〜っと...そう!例えばあそこを見てくれ」

俺は大通りを指さした。

「あそこはいつも輝いているんだ。朝から夜まで賑やかで、煌びやかな飾り付けに行き交う人々の笑顔」

笑顔はここからは見えないが。

「そしてすごく繁盛している!な?とても見ていて気持ちいいだろ!」

「はぁ」

「そしてその横には...」

俺はそう言った瞬間後悔した。

「あれは...スラム街?」

黒ドレスがそう呟いた。

ここからどう巻き返そう...

「なあ、お前にとっての絶景は貧しい人を見下ろす景色のことなのか?」

そんなはずがない。

「違う...」

「じゃあなんだっていうんだ?」

「俺は嫌いなんだ」

「嫌い?」

黒ドレスが「何言ってんだ?」って顔で見てきた。

「俺は嫌いなんだよ。貧しい人を見て見ぬふりをする大通りの人間も、あんな不幸な人をたくさん生み出したこの国も」

しまった、少し本音が漏れてしまった。

「ごめんな、少し話すぎてしまった。俺はこれでお暇するよ」

俺は店を後にした。

黒ドレスから盗んだ財布と共に。

それから俺はその日は他に盗みはせずに家に帰った。

「ただいま」

「あ、おかえり兄貴!」

「遅いよ、どこに行ってたのさ兄貴!」

俺は身寄りのない子供を育てている。

目の前で死にそうだったやつを助けて、家族のように振舞った結果3人の子分ができた。

背丈が腰くらいの小さい男ガキ2人と、背の伸びが止まりつつあるくらいに成長した女のガキが1人。

いや、もうガキじゃなさそうだな。

「お前ら、今日は大漁かもしれねえぜ?」

そう言って俺はポケットから財布を取り出した。

「やっぱりすげえや兄貴!」

「早く中を見てみようよ!」

俺達は宝箱を開けるかのごとく心を踊らせて財布の中身をみた。

「あれ?」

全く金が入ってなかった。

少しは入ってたよ?でもごく一般人とあまり変わらない。

「まさか成金野郎だったのか?」

「そういう日もあるさ」

「そうだぜ、金はあったんだし、喜ぼうぜ!」

「それもそうだな!」

その日の夜。

俺は大きな計画のための作戦を考えていた。

そんな時部屋に子分のひとりが入って来た。

「兄貴?」

「なんだ?子供はもう寝る時間だぞ?」

「その...兄貴、僕に盗みを教えてよ!」

欲しい物があるから頼みに来たのかと思っていたが、全く違ったようだ。

「ダメだ」

「なんで?僕だって上手くできるよ!」

「お前に危ないことさせれるかよ、」

「でも...」

「ほら、早く寝るんだ」

「うん...」

「...しゃーねっな。次にいじめっ子に喧嘩売られた時に返り討ちにしてやったら教えてやってもいいぜ」

「本当?!」

「ああ、だから今日はもう寝ろ」

「わかった!おやすみ、兄貴!」

「ああ、おやすみ」

ちなみにいじめっ子は俺が以前に成敗していて。子分に近づくことはないだろう。

話を戻すが、大きな計画とは城に潜入して国家予算を盗み、貧しい人々に配ることだ。

だが、問題が多い。

城の設計図もないし、どこの部屋に金が眠っているかも分からない。

「まあ、今日は俺ももう寝るか」

明日の自分が閃いてくれるだろう。

俺れは子分達が寝ている部屋に行って子分の隣で寝た。

朝、視線を横にずらすと目の前で黒ドレスが寝ていた。

「は、はぁぁぁぁぁあ?!」

なぜここに?!

「ん、おはよスリ君」

「俺の名前はスリじゃねぇ、レスフィアだ!」

「知ってるよ。私の財布を返してくれ」

「ふん、取られる方が悪んだ」

「そうか。なら」

「おい、お前何をする気だ!」

黒ドレスは子分の方を見て悪い笑みを浮かべた。

と思った瞬間ポカンとした顔になった。

「そうだった。店に払えないお金の代わりに武器を預けたままだった」

形勢逆転、この勝負はもらった。

いや待て、相手は大人だ。

子供を絞め殺すくらい容易いのでは...

「ん...おはよう兄貴...それとおはようドレスのお姉さん」

頭にハテナが現れた。

「お、おい...こいつのこと知ってるのか?」

「今日仕事から帰ってたら道端で見つけたの。お金が無くて泊まるところに困ってるんだって。私ご飯買ってくるね。お姉さんの分もあるからね」

そう言って子分はパンを買いに行った。

「私の財布返してくれないか?」

「断る!」

「じゃあ次はこの子を人質に...」

「おはよう兄貴...ってこの姉ちゃんだれだ?まさか新しい仲間か!」

「むにゃむにゃ、朝からうるさいなぁ...って兄貴、この人誰?」

他の子分も起きたようだ。

「そう、彼女は新しい仲間だ!名前は...ドレス...そう、ドレスって名前なんだ!」

黒ドレスの痛い視線を感じる...

「そうか。ドレス、俺のことは兄貴2号と呼んでくれ!」

「じゃあ僕は兄貴3号で」

「ご飯買ってきたよ。私は兄貴4号ね」

いや、お前は姉貴だろ...

飯を食ったあとは各々自由に行動する。

子分達は勉強したり遊びに行ったりしている。

俺はと言うと、黒ドレスに付きまとわれていた。

「なんだよついてきて。今日は盗みはやんねーよ」

「財布を返してくれ」

忘れてた。

「ほらよ。ところで、どうやって俺の家を見つけたんだ?」

「そりゃあ...頑張った」

話したくないらしい。

「こんな少量の金も血眼になって探すなんて金持ちのくせにみみっちいな」

「私が金持ち?」

「その高そうな黒いドレス着てんのに金持ちじゃないはずないだろ?」

「私は財布俺見ての通り金持ちじゃない。まさかわ私が金持ちに見えたから財布を盗んだのか?」

「少し違う。金持ちに見えたからってんのは合ってる。俺が狙うのは金のないやつから搾取するクズ人間だ」

「貧しい人のためか?」

「あたりまえだ」

「子分を使えばもっと多くの金を盗めるんじゃないのか?」

「そんな危なっかしいことさせられるか!」

そう聞いて黒ドレスはクスリと笑った。

「レスフィアは優しいんだな」

その時いきなり甲冑を着込んだ兵士が俺と黒ドレスを取り囲んだ。

「レスフィア皇太子、城まで同行願えますかな?」

甲冑の兵士の奥から高価な身なりの男が質問してきた。

一体何が起きているんだ...?

俺の城の襲撃の計画がバレた?皇太子ってなんだ?

「早く捕まえろ」

甲冑の兵士が大人数で俺を拘束した。

薄れる意識の中、男が黒ドレスになにか話しかけているのが聞こえた。

「レスフィア捕獲の依頼達成感謝するぞ」


ーーーーーーーーーーーーーーー


レスフィアに財布を盗まれったすぐ後のこと。

「そこの君、君に依頼をしたいのだが」

高貴な服装の男が話しかけてきた。

「私に?」

「そうだ。君、さっきあの店に剣を預けてたな?武芸に精通してると見た」

「依頼内容は?」

「場所を変えよう。どこかで聞かれてるかもしれん」

私たちは城へ移動した。

「この男、レスフィアの捕獲だ。生きたままな」

高貴な服を着た男、もとい宰相殿は懐から写真を取りだした。

絵に写っているのは私の財布を盗んだ男だった。

「それで報酬は?」

「この額でどうでしょうか?」

「引き受けよう」

二つ返事で返したものの、金がない。

レスフィアを探そうにも手がかりがない。

そんなこんなで道で困っていた。

「お姉さん、お姉さん。もしかして、家を追い出されたのですか?」

そんな私に話しかけてきた変人がいた。

そして今に至る。

「ご協力感謝する」

「私は何もしてませんよ」

「ご謙遜を、それとこれもお渡しすべきですね」

宰相殿は店に預けていた武器を渡してきた。

「私はもうおいとまします」

「かしこまりました。くれぐれもこの件のことはご内密に」

私は城の出口へ行った。

「あの、待ってください!」

1人で通路を歩いているとメイドに声をかけられた。

「なにか用でも?」

振り向いた瞬間その要が分かった。

「兄貴を助けてください、ドレスのお姉さん!」


ーーーーーーーーーーーーーーー


「う...ここは...」

「目が覚めたかね?レスフィア」

「お前は!」

さっき黒ドレスと話していた男だ。

そしてこの鉄格子と鎖、牢獄のようだ。

「お前を捕まえるためにどれほど苦労したか」

「こそ泥がそんなに捕まえたいのか?」

「こそ泥!レスフィア皇太子殿下がこそ泥!?面白い冗談だ!」

皇太子?この俺が?

「知らないのか?お前の親は現国王だぞ?」

ドレスと話していた男は昔話をした。

曰く現国王は若かりし頃、女遊びに夢中だった。

正式な妃が20人、使用人は100人ほど、城下町に数え切れないくらいの人と肉体的関係を持つ欲も体も化け物だ。

俺はその城下町との子供で、1番最初に産まれたらしい。

よって俺は王位継承第1位だ。

「国王陛下が病に伏している今、お前が国王になる日も近い。そこでだ、私がお前を支配すれば私はこの国を支配したことになる!」

「誰が外道に従うかよ!」

「威勢はいいな。王の威厳は無いがな!おっと、私はこれから来客をもてなす用事があってな。これで失礼するよ」

外道は部屋を出ていった。

それから数分後、女の使用人がやってきた。

甲冑を着た死体を担いで。

「ちょ、なんてもん持ってきてんだ!ってお前子分?!」

「静かに、バレると脱出出来なくなる」

しかし声が子分じゃない、黒ドレスの声だ。

「特殊メイクをしたが、どうだ?あの子そっくりか?」

どうやら黒ドレスのようだ。

黒ドレスは牢の鍵を使って開けた後、甲冑を追い剥ぎした。

「早くこれを着ろ。それで脱出する」

「分かった、でもその前に探し物があるんだ」

「それも早くしろよ」

俺は甲冑を着た後外道の個室に入った。

そこまでの道のりで何度か使用人とすれ違ったが、顔が隠れているせいか全くバレなかった。

「宰相はいないのか?」

「来客をもてなすって言っていた。ならいないはずだ」

「何を探すんだ?」

「もう見つけた」

「それじゃあ行くぞ」

そうして俺達は部屋を出た。

「出口はこっちだ」

出口手前で兵士を初めてすれ違った。

「おい、お前どうしてここで使用人と一緒にいるんだ?」

「そ、それは...そう!こいつが重い荷物があってそれを運びに...」

「その声、誰だ!」

どうやら運悪く目の前にいる兵士はこの甲冑の持ち主の声や口調を知っているようだ。

兵士は笛を吹いた。

その瞬間たくさんの金属の擦れる音がした。

兵士が来ている。

「レスフィア、早く逃げるぞ!」

黒ドレスは話しかけてきた兵士にナイフを突き立てて、走り出した。

俺達は逃げた。

しかし追い込まれた。

後ろは堀だ。

水が張っているため、運が良ければ助かるかもしれない。

しかし俺は甲冑を着ている。

すぐ沈むだろう。

「手こずらせやがって...このクソガキが!」

外道がやってきた。

「貴様、なんてことをしてくれたんだ!」

「私が捕まえたんだろ?なら私が逃がしても文句はないはずだ」

「その声は君か!レスフィア捕獲の次は脱出か!」

「しょうがないだろ、そういう依頼なんだから」

「幾らだ!幾らで雇われた!」

「言えないな。それにもう代償は貰っているんだ。それと...」

黒ドレスは悪い笑みを浮かべて言った。

「私はこいつが気に入った!飛び込むぞ!」

「え、はぁあ!?」

黒ドレスは俺の首根っこを掴んで飛び降りた。

俺は運良く助かった。

黒ドレスが高速服ぬがしで甲冑から逃れることができた。

「はぁ、はぁ、」

「これからどうする?」

黒ドレスの特殊メイクとやらは水で流されたらしく、前見た顔になっている。

「あの外道を失脚させる!」

「そうか、頑張れ」

「手伝ってくれないのか?」

「私の依頼はお前を逃がすことだ。これ以上は依頼に含まれていない」

そういえばそんな依頼を出したのは誰なんだ?

俺の人脈は皆無のはずだ。

「言えないな。そういう約束なんだ」

「じゃあさっき言ってた代償くらい教えてくれよ」

「皮だ」

「皮?」

「ああ、依頼人の顔の皮膚だよ」

俺の頭は真っ白になった。

「は...?そっれって...まさかさっきの顔は子分の皮膚を剥ぎ取ったのか...?」

「察しがいいね。好きだよ、そういうの」

「ふざけるな!お前も絶対に許さん!」

俺は殴りかかろうとした。

気がつくと俺は家のベットで寝ていた。

「...まさか夢オチ...」

「兄貴!起きたんだね!」

子分が1人泣きながら抱きついてきた。

「どうしたんだよ、そんなに泣いて」

「だって兄貴2日も気絶してたんだぜ?前にいたお姉さんが兄貴を担いで連れてきたんだ!」

「...そうか...それと、子分は全員いるか?」

「それが...姉貴がいなくて...」

「まさか...」

俺は街中隈無く探した。

だが、子分も黒ドレスも見つけることは出来なかった。

それから数ヶ月後、王が変わった。

前国王は病気で無くなったらしい。

その王位継承の式に外道、もとい宰相はいなかった。

俺は脱出してすぐに、あいつの部屋から盗んだ汚職や国家転覆の計画を民衆にばらまいた。

それからすぐに宰相は牢屋行きとなった。

この国は少し良くなっただろう。

だが、俺は黒ドレスを許すことは無いだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「兄貴を、レスフィアをこの城から逃がしてください!」

「それがお前の願いか?」

「うん」

「本当にそれなのか?」

「どういうこと?」

「いや、なんでもない。願いを叶えるには代償が伴う。それでもいいのか?」

「命だって構わない」

「そうか。なら、」

黒いドレスのお姉さんは両手を私の頬に触れさせた。

「君の顔をくれ」

それから私は城を追い出された。

無理もない、顔の皮がないんだ。

不気味がられるのも納得出来る。

こんな顔じゃ兄貴のところにも戻れない。

でも、私は兄貴が生きてるだけで幸せだ。

「やっと見つけたぞ...」

この声は...

「兄...貴...?」

「包帯で顔隠してたから直ぐには分からなかったが、俺が子分を顔だけで覚えてると思うなよ?声、背丈、癖、どれも俺は知ってるんだぜ?さあ、帰ろう」

私は腕を引っ張られた。

嬉しかった。

でも抵抗した。

「どうした?帰りたくないのか?」

「だって...私はもうこんな顔だし...仕事なんてできないよ...」

「なら俺が一生養ってやるよ!だから俺と一生一緒にいてくれ!」

私は世界一の幸せ者だ。

もしかしたら黒ドレスさんは兄貴を逃がすのではなく、兄貴を結ばれるように仕向けたのかもしれない。

次会ったらありがとうと伝えよう。

次回は「ヒーローミネロラ」の予定です。

次は来週に更新します...

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