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第3章の2

貴仁の実家が盗難に遭った。

その知らせを受けた時は驚いた。


実家には、亡くなった父が遺した研究成果がたくさん残されている。盗まれたのもその一部らしい。

「見に行ってみるか」

週末、貴仁は母・陽子の様子を見に実家に戻ることにした。


陽子は、貴仁が戻ってきたことで安堵しているようだった。


研究の資料を片付けながら、父のかつてやっていた研究を思い出す。

父は、ドローンやT-RFIDなど、様々な技術を開発し、多くの人々に貢献していた。

エンジニアを目指す者なら多くの人がその名前を知っているだろう。

自分が今も父の研究を引き継いでいることを改めて実感し、その重みに圧倒される。


同時に、その技術が作り出した結果についても思いを寄せる。

(この研究がなければありさや潤はあんな風にならなかったのではないか?)

何度も目を通した資料なのに、視点が変われば見え方も変わる。

完全無欠だと思っていた父のプロジェクトは、視点を変えれば穴だらけだ。

『T-RFIDのタグを持っていない人がいたらどうなるか』という視点が完全に抜け落ちているのだ。

意図的に無視したのではないか?と疑ってしまうほどに。


貴仁は父が遺した様々な研究資料に目を通した。

そこには、父がかつて研究していた、まだ未完成の技術やアイデアが記されていた。

見ると、T-RFIDの問題を1つ1つ消していくものだった。

父の贖罪だったのかもしれない。


研究資料を見終わった頃、陽子から1つの石のような物体を渡される。

貴仁の父・瑛介のものだった。

「昔、瑛介は海外の考古学の協力をしていたことがあるんだ。その時に持ち帰ったものらしいわ。詳しいことはわからないけれど、これも彼の研究の一部だったのかもしれない」

物体は、ひとつの大きな黒曜石に似た外観を持っている。その石は、長さ約10センチメートル、幅約5センチメートルで、独特の形状をしており、表面には複雑な模様が刻まれている。石の質感は滑らかで、手に取ると重みがあり、どこか温かみが感じられるものだ。

表面には模様のようなものがある。


貴仁は、石のような物体に興味を持った。

インターネットでの検索を試みたが、それらしい情報は見つからない。

電子研究部のメンバーにも相談するが、彼らも知らないようだった。


貴仁は、父の遺した物体についての情報を得るため、東京科学大学(東科大)の教授である考古学者の彩川真琴さいかわ まことに助けを求めることにした。

真琴は、国内外の考古学の現場での経験が豊富であり、数々の発掘調査や研究に携わっていることで知られていた。

彼女の知識や経験が、父の遺した物体に関する謎を解く手掛かりになるかもしれないと、貴仁は期待を胸に真琴に会いに行く。


貴仁: こんにちは、真琴先生。お忙しいところお時間をいただきありがとうございます。実は、私の父が亡くなった後に遺されたこの石のような物体について、何かわかることはありますか?


真琴: こんにちは、貴仁くん。これは興味深い物ですね。一体どこで見つかったのでしょう?


貴仁: 父が昔、海外の考古学調査に協力していた時に持ち帰ったらしいんです。でも、どこの国で見つかったかまでは知りません。


真琴: なるほど。まずは、この物体の材質や形状から推測してみましょう。しかし、すぐには判断が難しいですね。


貴仁: そうですか。困りました。どうすればこの物体について詳しく知ることができるでしょうか?


真琴: もしよろしければ、私がこの物体を持ち帰って、詳しい調査を行いましょう。その結果、何らかの手がかりが見つかるかもしれません。


実家が盗難を受けたこともあり、すこし考えたが、やはりプロに任せるのがいい。そう考えて調査を依頼することにした。


真琴: 私も興味が湧いていますし、貴重な研究材料になるかもしれません。では、調査が終わり次第、結果をお伝えしますね。


貴仁: お願いします、真琴先生。父の謎についても少しでもわかることがあれば、ぜひ教えてください。


真琴: もちろん、貴仁くん。何かわかったらすぐに連絡します。それでは、引き続き頑張ってくださいね。


貴仁: はい、先生。ありがとうございました。

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