remains 6
『遺跡というのは、そんなに大事な物なのですか?』
『さぁな。俺にはアレの価値も使い方も存在理由も分からないし興味もない。が、先祖代々ずっと昔から大事にして来たモンだからな。俺はそれに倣うだけだ』
それは思考の停止だ。
あんなモノ、何の意味もない。
貴方が命を賭けて守るモノなんかじゃない。
気に入らない。
ただの古い建物のくせに。
『死ぬだと?ふざけるな!そんな事、この俺が許さない!』
気に入らない。
俺の知らない所で勝手な事を。
『あんなもの、壊してしまえば良い!』
『悪夢を見るんだ……何度も何度も俺は大事なものを失う……』
気に入らない。
気に入らない。
俺の思い通りにならないものは全て、気に入らない。
『国も、世界もどうでも良い!利用してやるさ、それが俺の復讐だ!』
俺に逆らうな!
俺の言う事を聞け!
『私が罪人?……それほどまでに憎いのですか?』
違う、違う!
傷つけたいわけじゃない!
俺は守りたいだけなんだ!
なのに、どうして、きいてくれないの?
いっしょにいたい、だけなのに。
わらってほしい、だけなのに。
それができないなら、せめて
生きていて欲しい。
本当はそれだけなんだ。
でも、世界がそれを許さない。
『事故ですよ、遺跡の。生き残った人はいません』
遺跡。
そうだ、アレがいけない。
アレはここにあってはいけないモノだ。
たとえ貴方が守ろうと、
貴方がいくら大事にしようと、
俺にはどうでも良い。
貴方がいない世界なんて認めない。
そんな世界、俺には必要ない。