あなたなんていつでも殺せるから
ボケ:陛下。お茶をどうぞ……私は暗殺者。死ね皇帝!
ツッコミ:ふん。茶か。……好きだ。
ボケ:ぐはっ!
ツッコミ:どうした〇〇!?
ボケ:い、え、いえいえ何でもないのです!……やばっ。不意打ちくらったわ!
ツッコミ:ふん。毒殺でもする気かと思ったところだ。……顔色がわるいぞ。まじ心配。我の未来の妃ほんと大好き。
ボケ:ほ、ほほほ、我が母国は既に滅んでおります。それに私は末娘。冷遇されて人質として妃候補になった一人に過ぎません。……母国の皆の仇! 討たずにいられるか! てか私の一族じゃあるまいに陛下カンが良すぎて私の心臓がパンクしかけた!
ツッコミ:ふん。そんな女を側において毒味もつけない俺も酔狂なものだ。……だってひとめあったときからマジボレだもん! 心臓パンクしそう!
ボケ:わたくし、貴方様の正直さが気に入っていますから。……やばい! やばい! 我が一族の心を見る力、殺しに役立つと思ってたのに殺される! 主にわたくしのハートが!
ツッコミ:ふん。権謀術数入り混じるこの後宮でそのような見え透いたことを抜かす愚かな女はおまえだけだがな。……ほんとこの子大丈夫かな。警護増やさねば!
(暫し二人、胸を押さえて視線を逸らし合う)
ボケ:お、おお、お茶が冷めてしまいますわ。……死ね! 死ぬがいいわああー!
ツッコミ:うむ。いただこう。……ところで毒味を彼女がしたとするならこれは間接キスなのでは。
ボケ:(顔が真っ赤になる)うわ、うわわわわわ! だめです陛下ああああああ!
ツッコミ:うわぅ! なんだなんだ!!
(ボケ、スライディングしてお茶を奪う)
ボケ:ど、どどどど毒味をわすれていましたわわわ!
ツッコミ:お、おい、一気に煽るな! あああああ!
ボケ:し、し、舌を舌をやけどしました陛下!
ツッコミ:吐き出せばかものー!
ボケ:し、し、しにそうです。……主に自分の入れた毒で!
ツッコミ:慌ててのむな! 毒でも入っていたら妃を失うことになるではないか!
ボケ:も、もうだめですへいか。……抱きしめるのはやめてやめて心臓がマッハで動くから、ど、毒が回る! 毒には強いはずなのに心臓がパンクしちゃう!
ツッコミ:ばかもの! 舌を軽くやけどしたくらいで死ぬか!!
ボケ:ほんとだめだめあたし毒には強いけど陛下に抱きしめられたら何故か死にそうなのです離して離してお願い!
ツッコミ:この手を離すものか真っ赤な誓いだ!
ボケ:うおおおお! うおおお!
ツッコミ:歌詞じゃないから許してくれ! 妃!
(暗幕が降りる)
ボケ:こうして、毒を自ら煽った妃により、皇帝の命は助かりました……ああ。私、何故か生きています。
ツッコミ:今日は正式に君が妃になる日だからな!
ボケ:あの、あの陛下。
ツッコミ:なんだ妃。
ボケ:私、実は暗殺者でして。
ツッコミ:しっている。
ボケ:私、心を読む力があります。
ツッコミ:それがどうした。私にも相手がどれだけの割合で自分や他人のことを考えているのかわかる力がある。
ボケ:まじか!
ツッコミ:マジだ。おまえは私のことばかり考えていてくれていた。
ボケ:いえ! わたくしは貴方を殺すことしか考えていなかっただけです! なので私は正妃には向いていません。
ツッコミ:妾たちには納得させた。皆がおまえを正妃にしたいと言っている。かわいいし最高だと。
ボケ:いえいえいえ。皆様誤解されています。わたくし男です!
ツッコミ:知っていた。俺も妾たちも。
ボケ:え。
ツッコミ:え。
ボケ:なにそれ怖い。
ツッコミ:世継ぎ問題は妾たちが『任せろ』と。彼女らはフとかいうのに理解あると。
ボケ:許せるわけないでしょう!?
ツッコミ:いや、これは決定だから。おまえを逃す方がデメリットだし普通に惚れた。性別とかどうでもいい。
ボケ:いやです離して!
ツッコミ:この口、どうやって塞ごうかねえ(ニコ)。
(こうして、お姫様は王様のキスで呪いを解かれて幸せになりました。)
ボケ:納得できません逃がして!
ツッコミ:だめだ。
ボケ:こんな変態の国嫌だあ! 出て行ってやるぅ!