ナロウシュ・ナーロッパその人がいかに満足するかまで
リハビリを永遠に続けるのが老後の人生だよ
ナロウシュ、おおよそ小説家になろうとして主人公を作った時、大体の主人公はこう呼ばれる。
だがナロウシュ・ナーロッパはそういう名前であったし、主人公としてはいまさら論じる意味があるのか物語る意味があるのかよくわからないキャラクター造形をしていた。
ナーロッパというのは中世西洋ヨーロッパの牧歌的な封建主義であったりファンタジーのギルドが中心にあって出来上がってる土地の名前となり、ナーロッパという名前はすなわちナーロッパ世界の領主であることの証となり、つまり一般的にナロウシュと呼ばれるものが何世代か経たのちにナーロッパの領主になったものか、はてさてナーロッパの支配者になったというものか、計り知れないが、とりあえず、そういう名であった。
ナロウシュ・ナーロッパがやりたいことはとりあえず、世にいう所のありとあらゆる、小説家になろうとして作られる作品のナロウシュ、すなわち主人公たちの形質をして俺ツエー体験を繰り返したりその世界にダイブして自分だけがナロウシュの中での特権階級であり、自分だけが世界最強のナロウシュであることを決めたいという欲求が何よりも強かった、なにせナーロッパの主であるので、ありとあらゆる小説作品は彼のための世界観に過ぎないからである。
では説明終わり。
ここはナーロッパでもっとも栄えた場所ナーロッパ、伝説のナロウシュ・ナーロッパが人智を越えたチート能力でナーロッパ人を使って作った超すごい土地である。 故にナーロッパと呼ばれている。 仮にナーロッパ以外で表せる言葉があるとしたら、それは国父たるナロウシュ・ナーロッパに対する冒涜である。 ナーロッパのナーロッパ地方になあるナーロッパ公爵領のナーロッパ邸である。
「このナロウシュ・ナーロッパが命じる、今すぐ海鮮丼が食べたいので、マグロとかが取れるとこで一杯魚介類を捕まえて活き締めして冷凍して、発達した陸運でここまでもってきてすごく食べたいから早く食べたい海鮮丼持ってきてと命じる」
「は、ナロウシュ様、このカイセンドン大臣確かに申しつけを承りましたが、どうすればいいの?」
はあ、やれやれという空気があたりに漂った時、カイセンドン大臣はこれは失態かなとちょっと心配になったので部下をしかりつけることにした。
「どうすればいいのとは! なんたることを言うのだ! このブカブカ部下!」
「は? このブカブカ部下、カイセンドン大臣がどうすればいいのというのを言ったので、てっきり私ブカブカ部下がどうすればいいの? と思ったの心を悟ってナロウシュ様にフレンドリーに接していたのかと思いましたが、まさかカイセンドン大臣ではなくこのブカブカ部下がどうすればいいの? と口走ってしまっていたとはすごくつらいです」
一同はざわついた、カイセンドン大臣は死よりも重い懲罰、美少女になると誰しもが確信していた。
「まさかとは思うが、お前たちは海鮮丼の作りかたはおろか、材料であるマグロやホタテやウニとイクラというものを知らないというのか? もしかして知らないの? ナーロッパに住んでて海鮮丼のこと知らないでカイセンドン大臣とかそういう名前のやつがたまたま海鮮丼の使命を受けたのに、というか日頃からカイセンドン大臣の名前の由来が海鮮丼だってこと知らないで今日の今日までずっと過ごしてきたの頭ナーロッパなの? というかナーロッパは俺だったわ」
「もしかして、ですが海鮮丼にはきざみのりが必要なのでは?」
ここで口を開いたのがカシコマリアである直訳すると賢いマリアであるが男である。
「よくわかったな! カシコマリア、お前ほどの切れ者がまだこのナーロッパに存在していたとはな! 褒美として100ナーロッパドルをあげようね、ほれ金巻き部隊」
さっと長々い赤のカーテンから現れた金髪碧眼の可愛らしい男の子たちが1ナーロッパドルを百回に分けて投げると、カシコマリアが一生懸命ひらひらまってるナーロッパドルと喜びいそんでキャッチしていました。
「カシコマリアどのがお金を拾うのに忙しい間に、我々に海鮮丼についてお教えねがえないでしょうか? このままでは意思疎通の取れないナーロッパ人が大失態をおかしかねません」
ようやく、やれやれという気分でお答えになるナロウシュ大公爵。
「よかろう海鮮丼について教えてやろう、海鮮丼というのは海の幸であるところのマグロの赤身を良く切れる刺身包丁とかマグロ解体ショー刀とか和ものの良質の職人が作ったものだから、お魚を斬っても繊維をぶちきりにせずに懇切丁寧に美味しいまま出来るという話だが、ナロウシュの実家では割とお魚包丁使わずに普通の料理包丁で切っても美味しく食べてるから、つまり職人が使う包丁だともっとおいしいと思うのだが、そういうの一度テレビっていう機械装置が映すヴィジョンで見たことあるから、きっとそれみたらなんとなく分かると思う」
「はっ、このカイセンドン大臣、確かに承りました、が、そのテレビというものはどこにあるので?」
「うん、テレビの話をするにはまずマスメディアの話をしなければならないな、ナロウシュの元居た世界においてはマスコミという存在が世界を支配していて、マスコミに逆らうと大概の人間は自分で自分を殺して死んじゃうの」
「自分で! 死ぬ!?」
一同は恐れおののいた、一応、ヨーロッパがベースのナーロッパであるから、自分で自分を殺すのは悪いことだ、自害するのが文化なのは日本人くらいじゃない? つまり日本すげーと一同はナロウシュ修羅の道を生きてる、まじスゲーわとどよめいてリスペクトを示した。
「まあ要するにあれだねマスコミは万物の理を支配して国家より偉大なんだね、マスコミが無かったら今頃、異世界転生とかアニメ化しないし、マスコミのおかげで世に言う小説家になりたい作家は生きていけてるんだよ、だからマスコミの悪口を言うやつはナーロッパ嫌いなんだ」
人を自殺に追い込む神ってどうなんだと、めっちゃ怖くなってきたが、とりあえずナロウシュの言っていることは絶対だ、絶対にマスコミに逆らっちゃいけないぞ、マスコミに逆らったら囲まれてカメラのフラッシュたかれて犯罪者になって犯罪者の息子がすごい苦労して少年院にいくことになって、あげくに少年院でめちゃくちゃ叩かれることになるし、マスコミに騒がれたことを苦に一家心中とか日常茶飯事で、さらにあらゆる宗教よりも家の中心にテレビディスプレイがあるくらい一日に何度も人間たちの視線を向けられる神なのだと、そういう具合で落ち着いたけど、やっぱり国王とかより強いマスコミの怖さでナロウシュ様の部下たちは怖くて泣いてたよ。
「まあマスコミの言うことは絶対だから、大体、マスコミの言う通りに生きていれば人生損しないんだけど、そもそもここナーロッパだからマスコミないしどうしようか?」
「ということはテレビもありませんな、どうしたらいいの?」
「それを考えるのが大臣たちの仕事なんじゃないかと思うんだけどどうなんだろうね?」
「このカシコマリア100ナーロッパドルを手に入れて、
さらなるナーロッパドルが欲しいので言いますが、テレビを作ればいいと思いますよ」
「まじ、まじそれ、カシコマリアまじかしこ、テレビ作ろうね、ほら金巻き部隊200ナーロッパドルをばら撒くんだよ」
テレビを作ろう!
テレビの作り方は簡単ですよ、まず魔晶石を製錬魔法で平べったくしてドワーフが鍛えし額縁っぽいフレームにおさめると、普通にフレーム部分と連結する台座に組み合わせるのでハイ完成!
ちなみに魔晶石は毎日このテレビをつけてログインボーナスを稼げば貰えるから、永久機関ができちまったな!
「やったぞカシコマリアとカイセンドン大臣とブカブカ部下! これで海鮮丼が何かわかるな!」
テレビのディスプレイには遠くの風景とか、色んなファンタジー世界の街並とか、とりあえず部下が魔晶石製のビデオカメラっていう魔道具で撮影したものが直で流れてきてチャンネルになってみんな、テレビで魔晶石のログインボーナス貰って、そのログインボーナスの魔晶石からテレビを作ってあっという間に世の中はテレビ社会になったけど、いまだに海鮮丼は出来ず。
「なんで? なんで! だれも海鮮丼を思いつかないの? ふつうここまで文化が発展して進歩したら自然と海鮮丼を作るやつらが生まれて海鮮丼がブームになって、ナロウシュの食卓に運ばれてくるはずだよね?」
「もうしわけございもそん! このカイセンドン大臣としたことが! 教育テレビを作り忘れておりましたぞ!」
「そうだった、寿司と海鮮料理は教育番組で知れ、これマスメディアの特徴にしてナロウシュの実家の一般教養だったよ、うちはみんなテレビっ子でアニメ大好きだから、海鮮丼を作れるのがナーロッパ人の一般的な水準だと思っていたがそんなことは無かったよ」
海鮮丼つくるのすごい大変なんだよね、だってまず船とか冷凍設備完備して置かなきゃいけないし、大量にものを運搬する必要性から陸路もしっかりしとかないといかないから、冷凍トラックとか無かったら直通でマグロとか海鮮丼に必要な品物を仕入れられないよ、というかお魚市場で競り落として安い値段で提供できなかったらいつまでたっても高級食で庶民の味で激安じゃないからナロウシュの舌に合わないかもしれない、ここは漁師たちに煮え湯を飲んでもらって、ナロウシュ様水準の海鮮丼がうまいことここに流れ着くまでをがんばるしかないよ。 と、ここで息を切らしてブカブカ部下が来たよ。
「た、大変ですナロウシュ様! 海鮮丼を作るために遠洋漁業に出発した最新鋭の海鮮丼艦が海のでかい体長40mの魔物クラーケンに破壊されました!」
「なんだってー! なんでナロウシュが一生懸命欲しいと言ってる海鮮丼の邪魔を魔物がするのー?!?!?!? というかなんでいまだに魔王が倒されたのにクラーケンとかがいるのー!?!?」
「この守銭奴であるカシコマリアが解説いたしましょう、人類は自分の住める場所生きやすい場所で繫栄しているので、ノータッチの場所はとことん魔境でノータッチでお触りなしなのです」
「なるほどさすがカシコマリアすごいわかりやすいので500ナーロッパドルを金ばら撒き隊が巻くと良いと思うよ」金ばら撒き隊が金ばら撒いたよ、ログインボーナスとかのほうが価値がある気がするけど、ナーロッパドルはナロウシュの顔が入ってるお札なので信用度が魔晶石の千倍あるよ。
「わーい」
で、なんだったっけ?
そうだ、軍議をしようね。
「クラーケンを倒すよ」
「ナロウシュ様、ここに勇者隊がやってまいりました」
「勇者隊はせ参じました」
勇者隊は槍の勇者隊が五百六十七人、剣の勇者隊が三百八十二人、盾の勇者隊が六百七十七人
「待て待て待て、なんか全員数が微妙だし、全員近接武器でクラーケンを狙い撃ちできるような武器を使える奴がいないじゃないか? 相手は200m級の海鮮丼艦を沈める怪獣なんだぞ、君たちはそんな貧相な武器でどうやって勝利して勝ってかっこうつけようというわけ?」
「ふっ、この勇者隊指揮官勇者、神器の勇者センバイン・ダーナマムシュリを舐めてもらってはナロウシュ様が廃りますよ」「はい」
「ここに集いし歴戦の武器の勇者たちの武器はぁ!! 神々の地上再臨イベでばら撒かれた神々の忘れ形見である本来なら神器たる武器を持っているラグナロッカーたちなのだああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「やめろ、今は簡単なことで飛沫感染するから、叫ぶと怒るよ?」「すみません」
「で、そのラグナロッカーというのはいったいなんなのか説明が無いよ? カシコマリアは知ってる?」
「は、このカシコマリアはナーロッパドルを集めるのに忙しいですが、先ほど百ドルでナーロッパドルを拾うメイドさんを雇ったので手が空いておりますから答えます、ラグナロッカーとは神々が楽器代わりに使った武器である神器を持つロック魂を受け継いでるやつら、つまり武器で音楽を奏でて相手を倒すタイプの音楽隊ジョブであって、たとえばあの剣の勇者の持ってるエクスカリバー1012モデルは、神々の武器屋では百年に一度の傑作と呼ばれるモデルで、限定三十二本しか出回らなかったのですが、たまたま神が一目ぼれした地上の女ロッカーに音楽を教えるという手ほどきをする理由でギフトとして送って手取り足取りラグナロッカーのなり方を教えたので、今ではこんなに色んなラグナロッカーたちが神器である武器の真なる使い方を知っていて集まってるという話なのです」
「うん、おもったより長話だったから疲れたと思うので1000ナーロッパドルを金ばら撒き隊」
「そして、この神器の勇者センバイン・ダーナマムシュリはぁ! 全ての神々の忘れ形見たる神器を真なるチカラに覚醒させる神器ソウジョウコウカを持っているので無敵です!」
「うるさいよ、無敵ならとっととクラーケン倒しに行こうね」
「一緒に行きましょうね」
「うわ、待て、船酔いすると死んでしまうから助けて」
そして決戦のバトルフィールド遠洋漁業場へと新造海鮮丼艦でやってきた一行である!
「よく考えたら異世界でマグロとかいるのかよくわからないよ」
「そんなことよりクラーケン」「はい、というかさっきからブカブカ部下の分際でうるさいよ」
「現れたかクラーケン! この神器の勇者センバイン・ダーナマムシュリとその仲間たち勇者によるオーケストラにより死ね!」「うわ、すごくうるさいよ」
武器を次々と鳴らし始める、なんかよくわからないけど武器についてる色んな飾りだったと思ってた部分、実を言うと演奏するためには必要な部分だったって後で気づいたけど、まさか神様の楽器が武器とか分かるわけないよね。 ということで荒れ狂う海の中から現れたクラーケンはうるさくて苦しくて、ゲロ吐いたよ。 オロロ。
「うわーすげー生きのいいマグロとかホタテとか海鮮オンパレードやーオロロ」
「ナロウシュ様船酔いしてらっしゃる、はやく陸に戻して、とりあえず海鮮丼を食べさせるよ」
陸についた、海鮮丼が出来た、食べるよ。
実食。その味は?
「たぶん宝石箱だとおもったよ、うん、イクラがおいしかったよ、というかイクラが無きゃ海鮮丼を宝石箱とか言わないよね、まさにイクラが海鮮丼のMVPだったよ」
一同の歓声がこだました!
ここにクラーケンのゲロ、もとい海鮮丼がナーロッパに無事誕生した!
我々はナーロッパで海鮮丼が食べれることに、多くの戦いが必要であったことを忘れてはならない! ナーロッパ万歳! ナロウシュ万歳!
なんとかなったね、良かったと思うよ