4話:伊波ちゃん+酒=スーパーハイテンション
残業終わり。
約束どおり、俺ら2人は飲み屋へと繰り出していた。
「かんぱーい♪」「乾杯」
グラス同士を合わせた後、キンキンに冷えたビールを喉元へと一気に流し込む。
まさに一日の褒美。疲労困憊した身体に、黄金の炭酸水が染み込むわ染み込むわ。
「くはぁぁぁぁ~~~~♪ この一杯があるから、止められないんですよね~~~♪」
可愛いオッサンここにありけり。
目前の伊波も大満足。力強く握り締めた両手をブンブン上下させ、舌鼓をポンポン打ち続ける。
22、23歳の女子ならば、梅酒やカシオレ、ワインなんかを好んで飲むのだろう。
しかし、コイツの大好物はよく冷えた日本酒。地酒と刺身好きのガチ勢。
もう一度、クイッとグラスを傾ければ、
「ああ……♪ 日本に生まれて良かったなぁ~~~♪」
舌鼓10連コンボだドン。
周りに媚びず、自分の好きなものを美味しそうに飲む姿は、見ていて気持ち良さすら感じさせる。
とはいえ、年頃の娘が趣ありまくりな海鮮居酒屋の個室で満足してエエんかえ? と聞きたくはなる。
世のOLたちが、オシャンティなイタリアンバルやカフェ飯屋でインスタってるときに、
「えっと……、桃みたいな華やかな香りで、味わいはさっぱり爽やかで――、」
飲んでる日本酒の味をスマホでメモっててエエんかえ? とツッコみたくはなる。
俺らリーマンからしたら、高評価だけども。
しまいには、まじまじ見ているのがバレてしまう。
「先輩も飲みます? 福寿の純米吟醸っ♪」
「別に日本酒欲しさに見てたわけじゃねーけど」
「分かってますよー。私との間接チュッチュ欲しさですよね?」
「唇ちょん切ったろか」
「酷いっ! けど、その素っ気なさが好き!」
将来、DV癖のある男を好きにならないか心配。
『飲んでもいい』というより、『飲んでほしい』という表現のほうがしっくりくる。伊波は器用にもテーブル下に潜り込むと、するりと俺の真隣へ。
そのまま手に持ったグラスを差し出してくる。
「ささっ。後輩の勧めるお酒ですよ? 可愛い後輩の酒が飲めんと言うのか」
「……。俺初めてだよ……。後輩にアルハラされるの」
「えへへ♪ 先輩の初めていただいちゃいました♪」
何その嬉しいようで、悲しさしかない窃盗事件。
「先輩も日本酒好きじゃないですか。飲んで飲んでっ」と、共有という名の強制を余儀なくされ、受け取ったグラスを一口。
「おっ。美味いなこの酒」
「でしょ? 美味しいんですよ、この日本酒っ♪」
その笑顔、杜氏や生産者の方々に見ていただきたい。そう思わせるくらいの天使仕様。
んなもん、エチルアルコール勧められても美味いって言ってまうわ。
余程共有できるのが嬉しいのか。「前失礼しまーす」と俺近くにある御品書きを回収した伊波は、一緒に見てと言わんばかりに肩をくっつけてくる。
「先輩も次は日本酒を頼みましょーね。私、大好きな大黒正宗ー♪」
「まだ飲み終えてないのに、次の酒のことを考えるとか……。お前、本格的な酒飲み思考――、あっ! 俺のビール!」
酒飲みの本領発揮。伊波は俺のビールを回収すると、ジョッキに半分以上入っていたビールを豪快にもグビる。CM狙っとんのかというレベルで、あっという間にジョッキはすっからかん。
「うんっ! これで先輩も日本酒に突入できますねっ♪」
「……泥酔したら、捨てて帰るからな?」
「や~ん、捨てないで~♪」とさらに密着してくる伊波は、もう手遅れなのかもしれない。
【感謝】
『構って新卒ちゃん』が7/16(木)時点で、
なろう :日間ランキング4位
カクヨム:日間ランキング6位
にランクインされていました!
投稿間もないのに、ブクマ&評価していただき、ありがたい限りです……!
作家になってからは、学園ラブコメばかり書いていたので、自分自身とても新鮮な気持ちで執筆を楽しめています。
今後もマイペースにではありますが、色々と投稿や挑戦していければと(`д´)ゝ
重ねてとなりますが、本当にありがとうございます!
【お知らせ①】
明日は2話投稿します。
7時と20時に投稿しますので、お好きな時間に読んでいただければと^^
【お知らせ②】
今作品以外にも、
・書籍化を発表したばかりの『おっぱい揉みたい~』
・マスク女子にひたすら萌えようという話
も公開しています。
お時間あるときに是非是非。