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Act.4

「安静にしてくださいよ?」


「ご飯持ってきてくれるの?」


 あんまり動いても良くないからなぁ。先輩のご飯の好みは把握している。それに一人では食べたいと言わないはず。仕方ない。私の分も運ぶか。同部屋のよしみ。


「雪も――」


「思ったんですけど、散夏と一緒にご飯しなくていいんですか? 私なんかとで」


「今日も、雪がいいの」


 口元が緩む気がする。嬉しい。そうやっていってくれるのは。少しでも私を選んで欲しい。恋は叶

わずとも一緒にいれたら。それでいい。


「ご飯とってきますね。」


「おまかせするわ、その間に部屋義に着替えておく」



○●○



 ドアを開けると、いつも通り双子の妹の散夏が待っていた。


「お姉ごめん。また手間取らせて……あいつがうるさいから私……」


「あいつなんて言い方しちゃダメって何回もいってるでしょう? ほら、怒ってないから。でも今度またやったら、一週間、口聞きません」


 押し黙る散夏。目がうるうるしている。自信がないらしい。


「お姉以外に触られたくないし、キスもしたくない。お姉は私のことどう思ってるの? 僕は大好きだよ。愛してる。最高に」


 この子は何故かこの懐きよう。愛してるとまで言わせるのはまずい。


 死んでしまった両親に申し訳がたたない。って私もか、普通なら男の人を好きになって結婚して、子供作って。って。


 思わずブルーになる私。


「散夏、その思いは嬉しいけど、私は答えられないって……何度もいってるけど」


 またその話。成長しないなこの子。嬉しいけど、先輩の思い人を奪うという残酷な事をしている苦しみ。


「お姉……諦めないから。絶対! ……あの人に取られてたまるものか……」


「何なにか言った? お叱りモードよ」


「ううん。別にってお叱り勘弁してよー」


 散夏は表情が硬いけど、いくらか緩ませ食事を取りに行くがてらお灸をすえてやった。


「お姉。あのセンパイを尊敬するのは無理だよ。迫られるだけで吐き気する。無理。無理! 有能なのはわかるけど。それでも尊敬は無理かな」


「貴女の態度はちょっと目に余る。態度を改めろっていってるの。お姉ちゃんだってフォローしてあげるから」


 丸め込み作戦を行うもだめだった。はぁ。良いご身分なのになんたる仕打ちをするんだろう。羨ましいな。あーあ。


「お姉ちゃんのマナを無駄に使わせないで。いざってときの厄敵に対してどうするの? 貴女も無駄なマナを使うのはやめなさい」


「うぐ、お姉は女心のわからない男なの? 好きって言ってるのに……こんなに好きなの

に。僕の気持ちも考えてよ! お姉ひどすぎる!」


『好き好き』いわれてもぶっちゃっけ嬉しくもなんともない。私の最愛の人を独占する散夏。どうしても許してあげられない。


 私もわがままだな。散夏と一緒。私はあの人が好きなだけよ。一方通行。この恋の行方が知りたいと切に思う。


「散夏の聖銃の腕がいいのはすっごく認めているのよ? とっても頼りにしてる。でも私は誰も好きにならない。なれないの。ごめんね」


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