Ⅱ.その溢れてやまない透明は……
なぜこんなに心踊るのだろうか?
・深夜の探検のように、
・子供の陰謀のように、
・個々の決意のように、
・一夏の邂逅のように、
・男女の友情のように、
・真冬の朝陽のように、
・偶然の再会のように、
深夜に、心地いい緊張を感じ友人と暗闇のなか駅まで歩む。遅くまで共に勉強した後、僕は自転車、彼は歩き。そんな透明。
子供が、大人に逆らって公園に集合する。沢山の微力、それぞれの長所を活かした作戦を建てる。そんな透明。
個々が、それぞれの悲劇に苦しみ、そして立ち向かう。互いに短所に向き合い、明日へと歩き出す。そんな透明。
一夏に、透明のような貴方に出会い、貴方の混濁も知り共に駆け抜ける。白いワンピースにアルカリ性の空。そんな透明。
男女が、性別を越えて心から笑い合う。隔てるものは何もなく、ただただ相手を敬い汚す存在。そんな透明。
真冬に、薄暗い早朝の汗のかいた窓を見つける。遠くが赤く焼けた、世界が始まる少し前、孤独な予感。そんな透明。
偶然に、故郷から遥か離れた辺境で、貴方に逢う。こんなに慣れない地に、場違いなほど馴染んだ酸性の温度。そんな透明。
なぜこんなに心踊るのだろうか?
きっともっとずっと透明なところ。
【俳句】
帰り道三二一と数え日や
音ひとつ上げたるテレビ数え日や
──そして残り29篇。
次はボカロ、また明日。




