特別な者が持つべき責任
いつからだ?
いつからだ?
力なく叫ぶ手足、両目、歯が無いスーパーマンの頭を地面に押さえている男の姿。
男「いつからこの世界は、こんなゴミになったんだ?ええ?おい」
スーパーマン「く、くそお!!卑怯だぞお!!貴様あ!なんだその力は!正々堂々戦えばお前なんて私の足元にも及ばないくせに!!!!」
男「ならば、普通の人間相手と喧嘩したお前はどうなる?お前の特別な力を使って!人間を殺してきたお前がどの口がほざく!」
スーパーマン「うああ・・違う!!私は正義を成してきただけ・・私がやらなければ、私が・・私は!!正義だ!!」
男「俺も正義だ、俺が何故警察と喧嘩していたのか、確かめようともせず、俺を悪党だと決め付け殺しに来たお前らを逆に殺した、それだけよ」
スーパーマン「!?」
隣ブロックの街のビルから糸でぶら下がる上半身だけの死体。
スパイダーマンだ。
その他のヒーロー達も死んでいる。
男「本音を言えよ」
スーパーマン「!?」
男「正義が好きなんじゃないんだろ?」
スーパーマン「なにを?」
男「カッコいい正義を執行する自分に酔いしれ、俺ってやっぱり強いって感じたいだけなんだろ?」
スーパーマン「馬鹿な!そんなことはない!」
男「ならば何故、俺が散々悪いのは警察だと叫んだのに、無視した?」
スーパーマン「そ、それは」
男「俺は何度も避けんだのに何故だ?」
スーパーマン「あの状況なら誰だって!!」
男「力は皆と違う自覚はあるのに、思考パターンは都合よく、皆と並列化、凡人なんだな?今、お前は自分で認めた」
スーパーマン「うぐ!?」
男「自分の行いは本当に正義なのか?という自問自答を辞めた正義人間など、大衆の投票で選ばれた学級委員長か、生徒会長か、もしくは、病院のワンマン経営者と何が違う?大衆の意見に流された正義など、正義ではない!!」
スーパーマン「・・・・私は・・私達は・・それでも・・大勢救ってきた!!救ってきたんだ!!」
男「救ってきた者の中には悪党もいた筈だ」
スーパーマン「それはない!」
男「そこで、あるかもしれないと、何故考えられない!!そこが貴様らの限界だ!!恥を知れ!!心弱き者よ!!」
スーパーマン「私は正義だ!絶対間違えない!!私は間違えて等いない!今までも!これからも!私は!私が正義だああああ!!」
男「正義等ない!!」
スーパーマン「!?なに?」
男「戦争で勝った国だけが、歴史の教科書を作る権利があるように、正義など、幻想に過ぎない、どれだけ残酷な手で勝ったとしても、自国民には、敵の残虐さだけを歴史にのせる、自分達がしてきた敵よりも遥かに残虐な行為を棚に上げてな」
スーパーマン「・・」
男「お前からやられた悪党達にも、家族は居たんだ、話をしようとせず、一方的に悪党だと叫び、皆と虐めるだけの正義など、踊らされてこん棒振り回す馬鹿な鬼だ」
スーパーマン「黙れ」
男「馬鹿鬼」
スーパーマン「黙れ」
男「馬鹿鬼」
スーパーマン「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れええええ!!」
男「傲り高ぶる高慢という罪を重ねた罪深き鬼よ」
指に触れた部分からスーパーマンの頭が、分解されていく。
スーパーマン「うあああああああああ!!うあああああああああ!」
男「審判の時だ、問おう!お前は、罪を犯したか!?過ちを犯したか!?犯したかもしれないと思う心!振り返る心!反省の心!それを主に示せ!!」
スーパーマン「うあああああああああ!私はああああ!間違えない!間違えてなどない!!あり得ない!!絶対に私はああああ!!すぅー・・私が正義だあああ!!!!!!」
男「高慢だな、自分が間違っているかもと考えられない時点で、お前に正義を語る資格は無い、あるのは、間違えた事があるかもしれないという心を認められない弱き心だ、誰より強い体を持つ、弱き者よ、宇宙の輪廻に帰れ」
スーパーマン「何故だああ!!神よ!!私は間違えなかった!この者を滅ぼしてください!私は!!正義を行ってきた!!私は!!ただ!!守りたかっただけなのにいいい!!!!」
男「皆そうだ!!お前が一方的に滅ぼした部族も!宗教も!国も!皆皆、ただ、守りたかっただけだ!!」
スーパーマン「どうすれば良かったんだあ!!ではどうすれば良かったんだあ!!私はああああ!!一体どうすればああああ!」
男「反省し、悔い改めよ、自分の正義を疑い、常に迷え!!それが、強さだ」
スーパーマン「私は!正しい行いをしてきた!!間違ってはいない!!絶対だ!!」
男「例え本当に間違えていなくとも、もしかしたら間違えたかもと思う心が大事だと言っている」
スーパーマン「?・・なんだそれは?・・間違えてないのに、何故反省する必要がある?馬鹿なのか貴様?」
男「・・平行線だな・・さらばだ」
スーパーマン「いや、意味が《バフン!》
スーパーマンの全てが、微粒子となり、消えた。
男「・・正義を見張る心、それがあって初めて、正義だ」
男を取り囲む大軍隊、艦隊、人口衛星。
男「さあ・・審判の日だ」
両腕を広げる。
慌ただしく動き回る兵隊達。
男「全ての高慢に、審判を」
大砲、ミサイル発射。
男「正義という毒に、解毒剤を」
分解し続け、全く効いていない。
艦隊から、大型ミサイル大量発射。
男が腕を広げたまま、クルッと回ったら、艦隊、ミサイルが 《ボワサアア!》 消えた。
皆『!?!?!?!?!?』
男「私ですら神の足元にも居ないことを知れ、私に挑み続け、破れ続けるがよい、暴力の大きさでしか、本質の『大きさ』を測れない弱き者らよ」
黒い霧が海から発生。
その黒い霧を吸い込んだ女性は、子宮のみ不能になった。
その黒い霧を吸い込んだ男性は、ぺニスのみ不能になった。
心が強さ者らだけが、不能にはならなかった。
不能な者らが、不能ではない者らを魔人、魔女と呼んだ。
火炙りの刑にした。
数の理で、圧倒的に不能でない者らが不利であった。
不能な者らは、移植をした。
結果、腐った。
それが、世界中で起こった。
生き残った者らは、全員不能ではない者達だった。
生殖器から腐った者らは、死ぬ間際に神に言った、救ってください、救ってください、我が子だけでも、救ってください。
神は答えなかった。
答えない神に向かって不能な者らは、酷く、醜い、言葉を神に吐いた。
腐り、死んでいった。
不能ではない者らが、何故腐るのかを、真剣に語ったにも関わらず、不能な者らは信じなかった。
不能ではない者ら『誰かを救うふりをして、良い人を演じるのを辞めなさい、まずは、自分の醜さを反省し悔い改めなさい、そうすれば、助かります!そうすれば、助かりますから!!』
不能な者ら『反省してます!!悔い改めます!!だからお願い!!彼女だけは!妻だけは!息子だけは!夫だけでも!母だけでも!娘だけでもお!!助けてえええ!!!!』
不能ではない者ら『違います!!他人、家族、関係ありません!自分が!自分の道を振り返り反省すれば良いだけです!助かりますから!早く!』
不能な者ら『祈ります!!助けてくれるなら!!頑張ります!!反省しますから!!してますからあ!!助けてください!!早く助けてえ!!反省してるっいってんだろがああ!!早く娘を!!息子を!!彼女を!!彼を!!早く助けろよ糞があああああ!!!!』
不能でない者らは呼び掛けを諦めた。
神は何も答えなかった。
男「ひざまづく、反省する、自分が悪かったかもと考える、それが出来ない人間は、審判の時期から以後は必要ない、腐るがよい」
82億人。
繁栄を極めた人類の数は3億人まで減り、愛に溢れた生活を営んだという。
聖書の歴史のページ。
審判の日に何が起きたか書かれているキリストの再臨の章。
黒い霧の災厄。
神に選ばれし人間達は人間に依りすぎ、人間をも裁かなくてはならない運命から逃げ、恐れ、高慢になった、神はそれを許さず、一人の者を天から降り立たせた、その者の力は恐ろしく、何の自然現象、超現象、超能力でさえも、彼の前ではただの現象であった、彼は怒り、全ての高慢な選ばれし人間達を滅し、罰した。
彼の名はー・・。
《END》