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②兄の修学旅行

PM16:00、やっと帰宅できた。

あの拷問のような時間から解放されたので僕たちは帰宅早々リビングのソファーに溜息を吐きながらもたれかかった。

安心して寝落ちしそうになりかかっていたら、

「疾風買い物忘れたから一緒に買いに行こう。」

と、お姉さんが言ってきた。

僕は正直お姉さんと違って、このソファーの魔力に取り憑かれたようなので、離れたくない。

だから僕はこの面倒な事態をどうにかするために知恵を振り絞ってみた。

そして導き出した答えは、

「お兄さんに連絡して買ってきてもらおうよ。どうせまだ部活だし。」

である。

お兄さんを奴隷扱いするような解答をしたのは、こう答えるとお姉さんは大抵の確率で「さすが疾風。ナイスアイデアだね。どうせ部活だし帰宅ついでにおつかい頼んどこうっと。」

と、このように答える。

僕の戦略に狂いはない。

メールを送信した後お姉さんはテレビを、僕はうとうとしていた。

PM18:00、どうやら僕は寝てしまったみたいだ。

起きた頃にはお姉さんは夕食の支度をしていたので、お兄さんは帰ってきたらしい。

けどお兄さんの姿が見当たらない。

「お姉さん、お兄さんが帰ってきたみたいだけれどどこ行ったの?」

すると、お姉さんは

「どうしたの疾風。お兄ちゃんならいつも帰ってきたら自分の部屋に夕食までこもっているじゃない。」

と言われたので今までのお兄さんの行動を思い返してみると、確かにお兄さんは帰宅した後すぐに自分の部屋にこもってしまう。

今日はたまたまお兄さんに聞きたいことがあったので、とりあえずお兄さんの部屋に行ってみた。

「お兄さん、いる?」

と、とりあえず人の部屋に入る前の常識だから僕は言ってみると、

「疾風か?少し部屋を片付けるから少し待ってろ。」

と言われたので待ってその場で待機することにした。

10分後くらいに部屋の扉が開いてお兄さんが出てきた。

「どうした?何か聞きたい事でもあるのか?」

と、この馬鹿な人が意外にも空気を読むことができるのにたいして驚いてしまった。

そのせいでしばらくの間硬直してしまった。僕が何を考えているのかはわかってないと思うがとても失礼なことを考えていることはわかったのかお兄さんは少し嫌な顔をしながら、

「お前が俺を呼びに来るときは何か裏があるからな。と言っても今日はクラス替えとホームルームぐらいしかやってねーからテストは無いけどな。」

答えた。

頭が悪いという自慢を無視して、僕は今日先生に聞いたことをお兄さんに伝える。

話をし終えるとお兄さんは笑いながら僕に質問してきた。

「で、それを聞いてお前はどう思ったんだよ。かっこいいと思ったか?それか、モテないのがおかしいと思ったか?」

と言われたので、さっきまでの僕は素直にかっこいいとか見直したとか思っていた、、、のだけれど、今の発言でその思いはただ、過去の栄光にいつまでも縋る(すがる)ただの馬鹿な兄の言葉になってしまった。

だから、僕は素直に答えた。

「最後の二言を言わなかったらかっこよかったかな?」

そういうと、さっきまで高笑いしていたお兄さんは高笑いから苦笑いに変わってしまった。

無駄話をし過ぎたと思い、そろそろ僕が珍しくお兄さんに尋ねに来た本題を話すことにした。

「お兄さん、去年の修学旅行で一体何があったの?」

すると、今まで苦笑していたお兄さんが真面目な表情に変わり、まるで僕の、この話を聞く覚悟を試しているかのような声で

「その話をしてもいいが、お前はその後いつも通りに過ごせると思うのか?」

と言った。

僕はいつもと違うお兄さんの対応に少し怖いと思った。

だけど僕はお姉さんと違って、感情が顔や態度に出にくいから、縦に首をふった。

すると、お兄さんは少しの間下を向いて、話す気になったのか顔を上げた。

「この話は真琴に言うなよ。」

と言うと、暗い表情になりながら話してくれた。

「修学旅行の3日目のとき、俺たちが泊まっている宿の近くで強盗が起こった。そして、その強盗の1人が俺の幼馴染の白木花凛(しらぎ かりん)を含む4人の女子と男子2人を魔質(まじち)にとり引きこもっていた。俺はそのとき親父とお袋が死んだ時のことを思い出したのか居ても立っても居られなかった。もちろん春風先生には止められた。だけど俺はそれを押し切り1人で強盗らがいる宿に突入した。またあの日みたいに何もできずに逃げたり大事な人が殺されるのをただ見ているだけが嫌だったんだ。そして俺は闇に呑まれた。その後のことはよく覚えていないが、先生と花凛の話を聞く限りでは、俺は気絶していたらしい。だが、6人の生徒は全員無事に生還し、強盗の奴らも重症は負っていたが捕まったらしい。」

僕は1つ疑問に思った。

「強盗の人達に重症を負わせたのって、もしかして。」

そう言い終わる前にお兄さんが答えた。

「十中八九俺がやった?だろうな。闇に呑まれた後、多分俺は散々暴れまわった後、疲れて気絶したんだろうな。」

僕はこの時、なぜお兄さんがお姉さんに話すなと言った理由がわかった。

お姉さんは花凛さんととても仲がよかった。あと僕たちが感情を暴走させて、闇に呑まれるようなことがないように気をつかってくれていたのだろう。

闇は感情に左右して、力を与えてくれたり、闇に呑まれると魔物化することもある。

闇は魔人にとって、最大の武器であり最大の危険物、いわゆる諸刃の(もろはのつるぎ)なのだ。

僕は初めてお兄さんの話を真面目に聞いたので、感じたことがない気分になった。

「おにーちゃーん、はやてー、ごはーん。」タイミングが悪いと思いつつ台所にお兄さんと一緒に向かった。

その日は大丈夫だったけど、いつ口を滑らせてお姉さんにこの話がばれるのか不安に思いながら僕は寝た。

4月9日、AM6:30今日は珍しくお姉さんより早く起きた。

だけど、あまり寝た気がしない。

だから僕は二度寝をすることにした。

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