035 その錬金術師と薬草~金蓮花編~
愛国心という花言葉を持つ金蓮花は、若葉や花を食用として栽培される。
また、その美しい花は観賞用としても好まれる花だ。春の中頃から秋の終わりくらいまで、長く花を付ける事でも人気がある品種である。
花の色は橙や黄色、赤に桃色等の暖色系が中心で、女性がよく好むのも特徴だろうか。
味としては和蘭芥子、別名クレソンと呼ばれる枕水植物に似た辛味がある。未熟な種子は塩漬けにして、棘風蝶木でありケッパーとも呼ばれる物の代わりにしたりもする。
ようするに、香辛料代わりになる植物だ。
ただ、
「辛っ!」
そのおかげで、キンレンカを使ったサラダは辛い辛い。
元々辛いのは苦手なんだが、それでもたまに無性に食べたくなる時がある。不思議だ。
そして、食べてみてやっぱり「辛い!」となるのはお約束である。何で作った、自分。
「おおう、こりゃ、サラダとしては無理だな。」
せいぜいが燻製魚の薬味程度だろう。今後はエシャロットと一緒に使うようにしとくか。
「何にしろ、辛いなっ!」
しかし、作ったからには食さねばなるまい。残すのは、最終手段である。その前に手は加えるが。
まず、焼いたパンに森で見つけた卵と酢を混ぜて作ったお手製マヨネーズを塗ります。
そこにサラダに使ったキンレンカを敷き詰め、更にマヨネーズを塗ります。
本日のメインだった焼き魚を解し、それを更に乗せます。
マヨネーズ塗ります。
残りのサラダを敷き詰めます。
マヨネーズ塗ります。
パンを重ねて――完成だ。
「うん、これなら食えるな。」
即席サンドイッチ。マヨネーズが多すぎるが、そのマヨネーズが辛味を紛らわせる。やはり辛味成分へのマヨネーズは有効だ。
無駄に錬金術師としての知識を活かしてるが、まぁいいだろう。使えるものは使わないと勿体無いはずである。多分。
「今後は種の塩漬けだけにしとこう。」
俺に辛味成分は無理だ。
なんでかって?お子様舌のままなんだよ!
辛すぎるのは苦手である……。
お子様舌なのはある意味錬金術師では必須かもしれない。
舌先の感覚で毒の有無を最終的には調べる職業でしたし、それには味覚が鋭敏でないといけない。
味覚が鋭敏という事は味蕾が多いという事。それがイコールでお子様舌になります。大人は味蕾が子供の三分の一程らしいので。
つまりは、現実でも過去の偉大な錬金術師はお子様舌だったという事ですね(マジか!?)。




