165 閑話 その錬金術師を変えし者達
あけおめことよろ(明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします(2019/01/01時点))。
こういうネットの簡略化した言葉って分りやすいしテンポ良くて好き。
尚、作中は魔女ドロシー視点です。でもあれ、リリィでも大差無い……?
「成功したかな?」
「どうかな?」
「もう確認してみる?」
「えー?どっちがー?」
狭いテントの中、ギュウギュウになりながらもコソコソと話し合う。
夜は明けて来たから、周囲はちょっぴり明るくなってきた。
だけど、テントの中を照らせる程じゃないから、まだまだ暗いし確認はし難いところ。
それでも待ちきれなくて、気を失ってる今の内に――なんて思ってしまって、揃って入ったんだけど。
「どっち?私?」
「私でも良いよ?」
「私も見たい。」
「私だって見たい。」
こういう時、双子って意見が揃うんだよねー。
貰ったお菓子がどっちが大きいかでも良く揉めたし、同じ考えに至りやすいから困る。いや、良いこともあるんだけどさ。
今回なんかは特にそう。お菓子じゃないし、見るだけだから別だもんね。
そんな考えに同じく至ったのか、揃ってベルトに手を伸ばしていた。喧嘩しなくていいから、今回は『一緒に』だね。
「「――せーの。」」
そうして、ベルトを外してからは、声を揃えて、一気にズリ下ろしに掛かる!
一瞬、口から勝手に「キャー」なんて黄色い声が出ていったけど、無視無視。気にするのは後だし、それよりも気にする事が眼の前にあるから!
そうして、恐る恐る指の隙間から見たけど、
「――無いね?」
「うん、無いね。」
確認してみたズボンの下、下着までズリ下ろされたそこには、無かった。
男性にはあるはずのアレが、無かった!
「「イエーイ!」」
見なくて良いモノが見えなくて、でもちょっぴり残念で、それでも成功した事に揃って歓声を上げた。
小さくハイタッチしつつも、上のシャツもいそいそと脱がしにかかる。
そこには――って、こっちも無かった!?
「ペッタンコ?」
「ペタペタペッタンコだねー。」
まな板だよ!?トリプルAどころじゃないよ!?全然膨らんで無いって、これはこれで凄く無い!?
「え?あれ?」
「もしかして失敗?」
ただ、ちょっとこれは予想外。
大人の女性になるはずなんだし、多少なりとも膨らむと思っていたから。
その事へ、顔を見合わせてみるけど、
「まぁ、下がついてないなら、それでいいんじゃない?」
とリリィが言ったので、あっさりと私も頷いていた。
「胸が無い女性も、ほら、いないわけじゃないしね。」
「そうそう。」
お互いの脳裏に浮かぶのは、里のとある女性。
ガリガリに痩せてて、何を食べても太れないって嘆いてた女性。
その女性と目の前の人を見比べてみるけど、あんまり大差無い気がする。
「胸も脂肪って言うし、ガリガリだもんね。無くてもおかしくないかな。」
「うんうん。全体的に胸にやれる脂肪が無かったから、膨らまなかったんだよ、きっと。」
「そうそう。」
二人してウンウンと頷いて、確認を済ませたから服を着せ直す。
その途中で気付いた。
「あ、パンツどうする?」
「ブラも一応いるよね?スポーツブラ?それとも肌着だけでいい?」
自分達のじゃサイズが合わないし、予め大きいのは買っておいたけど、下着類は調整しないと駄目かもしれない。
思ってた以上に線が細いし、骨からして細くて男らしさが全然無いんだもん。予定が狂っちゃった。
でもまぁ、性転換薬飲ませたんだから、女っぽくなるのは当然なんだろうし、誤魔化しやすくなるから良いんだけどね。
だから、
「「まぁ、起きてからでも良っか。」」
二人して、同じ事を口にしてから、クスクスと笑う。
起きたらどんな顔するんだろうな?やっぱりビックリかな?それとも、戻れないって焦る?
「起きるの楽しみだね。」
「うん――一体、どんな顔するんだろう?」
なーんて、笑ってた私達だったけど、目を覚ました『彼』が『彼女』になっているのに気付いて、思ってたのと全然違った行動を取るのは、それから数時間後の事だった。
主人公災難。
最近扱いが酷いけども、元々そういうキャラ設定です。歯車だしね、仕方無いね。←
尚、作者に「キャー」なんて黄色い声を上げられる乙女な時代は無かった模様。故に、この「キャー」がどっから出てきたかは不明です。
2019/01/03 加筆修正を加えました。魔女のこの年頃にありそうな怖いもの(性的なもの)見たさを追加。




