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最果ての世界で見る景色  作者: ルカリナ
EPISODE 3
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EPISODE 3 - 51 √朱音

間違いなく、ウチの妹の声やった………。


「碧依!!

何処に居るんや!

早く、姿を見せてくれ!!」


それにしても、碧依は何処に居るんや?


この狭い室内にある物と言えば、

高さ50cm、直径30cm程の『金属筒』が、

操縦席と思う場所に設置されているだけで、

後はその、『金属筒』に接続されているに

無数のコード類、以外には何もなかった………。


「まさか………な?」


当時、碧依の身長はウチと

同じ150cm前後くらいやったはずや………。


そもそもの話、この『金属筒』のサイズでは

子供でも入る事は出来ひん………。


それやのに………。


「何でこんなに気になるんや?」


『確証』があった訳やない………。


ただ何となく………。


『金属筒』に近づいたウチは、

その表面を手で触れると………。


「この中に居るんか………?碧依??」


妹の名前を呼んでみた。


「………。何で私が、

ここに居るって分かったの?」


室内に備え付けのスピーカーから

少し悲しそうな、碧依の声が聞こえて来た。


「そりゃ………。

ウチは、碧依のお姉ちゃんやからな」


「それじゃぁ、答えになってないよ」


殊更、明るい感じで返してみたけど、

きっと、ウチが動揺している事は

碧依も気が付いてるんやろうな。


それでも可笑しそうに、

クスクスと笑いながら返事を返してくれる。


「なぁ、碧依?」


「なぁに………?お姉ちゃん??」


「ここを開けてくれんか?」


「………」


この『金属筒』の中が、どうなってるのかは、

実際に見て見んと分からんけど、

ベフィモスとの戦闘前で、

碧依が言ってた『生体部品』と言う単語と、

今の沈黙から察するに、碌な事じゃないんやろうな………。


「………どうしても?」


「どうしてもや………」


あの時、ウチを助けてくれた碧依が、

その後に、どんな目に遭わされたのかを

ウチは、この目で確かめんとあかん。


数秒間の沈黙の後、

意を決した碧依が『金属筒』の

周りをカバーしていた金属板を収納していった………。


そして………。


その中に収められていた物を見た瞬間、

息が詰まりそうになった………。


金属板の中から出て来たのは、

同サイズのガラス容器やったけど、

問題はその『中身』やった………。


ガラス容器一杯に満たされた

『緑色の液体』の中には、人間の『脳』が収められていた。


「あ………お……い……?」


何でこの状態で、

生きているのかが不思議で、

しょうがないけど、

それよりもショックやったのは、

ウチの妹がこんな状態にされている事やった。


「直ぐに………。

連れて帰ったるからな………」


碧依のあった境遇を考えると、

また涙が出そうになったけど、

ウチがここで泣く訳には行かん。


「お姉ちゃん………。

お願いがあるの………」


このタイミングで、

碧依がウチにする『お願い』………。


何となくやけど、

碧依が、どんな事をウチに

『願う』のかは、想像することが出来た。


「………何や?」


「お姉ちゃんい、私を『殺して』欲しいの」


やっぱり、碧依の『願い』は、

自分自身の『死』やったか………。


「訳を聞いても良いか?」


戦闘の前にも伝えたけど、

ウチに碧依を殺す事なんかできる訳がない………。


それでも、碧依が何を思って

『死ぬ』事を望んでいるのか、知らんとあかん。


「最初に言った通り、

今の私は、この怪物を動かすだけの

『生体部品』でしかないの………。

死ぬことも出来ず、ただ『奴ら』に

命令されるがまま、この怪物を動かして、

その結果、色々な人に迷惑をかけて来た………」


碧依が言う『奴ら』が、誰の事かは

今はまだ分からんけど、

恐らく『ダアト』に、何かしら思う事がある

連中の仕業何やろうな。


「そんなある日、『奴ら』の1人が、

私にある『提案』をして来たの」


「『提案』?」


「うん………。

今やっている『実験』が、

無事に終わった暁には、

私を『元の人間』に戻してくれるって

言われたの………」


「なんやて?」


ダアトの最新技術を使っても、

『生身の体』を作る事は出来んかったはずやぞ?


良くて、ウチみたいな

『アンドロイド』化が精々やろ………。


「そいつらは、本当に碧依を

『元の人間』に戻すって言ったんか?」


「うん………。

でもね………。

私が『元の人間』に戻る事が、

本当は出来ないと言う事は、

ウスウスだけど、気が付いてたの………。


本当は「奴ら」が、約束を守る気が無い事も

この『実験』が終了したら、『処分』されるってことも………。


それでも私は!

少しでも希望があるなら、『その可能性』にすがりたかった!!!

生きてまた!!お姉ちゃんに会いたかた!!

でも、今………。

私の望みはかなった………。

もう、思い残すことな何もないの………。

だから、お願いお姉ちゃん………。

私を殺して………。

他の誰でもない………。

お姉ちゃんに殺してほしいの………」


今までの想いを全て吐き出した碧依は、

そう静かに締めくくった。


「碧依………。言いたいことはそれだけか?」


「お姉ちゃん?」


『あの時』ウチを、助けてくれた碧依を

今度は、ウチが助けたる!!


「ウチもな……、碧依と『似たような状態』やねん。

それでも、いくつもの『幸運』と『出会い』に恵まれて、

ウチは今『人』で、いられてる………。

せやから今度は!ウチが碧依を『元通り』にしたるからな!!

だから碧依!!一緒に帰るぞ!!」


「お姉……ちゃん………。

私はまだ………生きてて良いの………??」


「当たり前やろ!!

寧ろ死んだら許さんからな!!」


「宜しく………お願い………します」


碧依の説得に成功したウチは、

早速、碧依を連れ帰る為に、

ガラス容器を最初に見た

『金属筒』の状態に戻させると、

今度は碧依の指示に従って、

操縦席から『金属筒』を取り外した。


取り外した『金属筒』を担いだウチは、

降りて来た時に使用した、梯子を使い

急ぎベフィモスから脱出する。


外に出ると、出入り口の傍に

待機させていた不知火に搭乗。


急ぎ同期を開始する。


「不知火のステータスを確認!」


【了解。現在のステータスを表記します】


「機体の装甲ダメージ90%。

メインブースター………。出力50%低下。

サブ・ブースター………。出力70%低下。

ジェネレーター………。一部破損。最大出力60%。

ラジエーター………。小破。冷却能力20%低下。

素粒子圧縮エンジン………。エネルギー生成率30%回復。

陽電子リフレクター………。再展開」


想像以上に酷いありさまやったけど、

後は帰るだけや!!


碧依から聞いた、タイムリミットは

残り2時間やけど、ギリギリ『ダアト』に

連れ帰る事は出来るな。


そう思い、不知火のメインエンジンを

点火しようとした瞬間………。


突然、不知火の近で爆発が起こった。


「今度は何や!!」


不知火の近くで起こる

断続的な爆発に翻弄されながらも、

如何にか解析を開始。


その結果、『何者』かによる

『長距離タイプ』の

『グレネードランチャー』による攻撃と判明した。


「次から次へと!!」


どうやら、この『実験』を仕掛けた

『何者』かは、ウチらを逃がす気は、

さらさら無いみたいやな。


それでもウチは………。


「絶対に生きて、

この場を乗り切ってやるからな!!」


そう………。


全ては碧依を救う為や!!


この度は、最果ての世界を

ご覧頂きまして、誠にありがとうございます。


予定通り、一旦朱音ルートがここで終わります。


執筆が遅くて本当にすみませんorz


これからも、3分間から5分間の

ささやかな楽しみを

皆様に提供出来ますように

のんびりマイぺースながらも

精進してまいりますので

何卒最後までお付き合いの程

宜しくおい願いいたしますm( _ _ )m

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