EPISODE 3 - 46 √朱音
色の違う装甲を力任せに引きはがすと
中から『操作パネル』が現れた。
本来はパスコードを入力する為のもんやけど
そもそも肝心のパスコードが分からん………。
だから………。
「今は時間短縮でいくで!!」
『操作パネル』の液晶部分を殴り壊し
基盤を中から引きずり出すと、
予め取り出していた不知火の有線コードを
直接基盤に接続する。
「うわああああああ!!!」
「うぉ!!」
『制御パネル』を破壊した事で、
ベフィモスの抵抗がより激しくなったな。
普通に考えて、
敵対勢力であるウチに
弱点とも言える『緊急停止スイッチ』の
あるこの場所に取りつかれるのは、
阻止したい事やろうからな。
「それなら………」
先ずは、ウチの事を碧依に
知らせるのが先決やな!!
幸いにも、
ベフィモスと不知火を有線接続している
今なら直接話すことが出来る!!
「不知火!ベフィモスの
内部スピーカーに接続開始!!」
【了解。接続を開始します………】
そして………。
遂に、この時が来た………。
【ベフィモスとの接続を完了しました】
不知火からの報告を受けたウチは………。
探し求めていた『妹』の名前を呼んだ。
「碧依!碧依なんやろ!!
ウチや!朱音や!!」
そう呼びかけると、
今までウチを振り落とす為に
その巨体を振り回していた
ベフィモスの動きが停止した。
「お姉ちゃん?お姉ちゃんなの……?」
ウチの名前を呼ぶその声は、
ノイズ交じりやったけど………。
紛れもなく、『妹』の声やった。
「やっぱり、碧依やったんやな………」
言いたい事や、伝えたい事が
沢山あったはずやのに………。
碧依の声を聴いた途端、
無事でいてくれた事………。
それだけで、今は十分やった。
「直ぐにそこから、出したるからな!
もうちょっとだけ、我慢してくれ!!」
「お願い………。お姉ちゃん!
私を……。私を、殺して!!」
不知火に暗号解析を
進めさせようとした途端、
碧依からウチには到底、
受け入れる事の出来ない、
願いをされた。
「何をアホなことを言うとんのや!
やっと……。やっと、見つけたんやぞ!!
それやのに………。
ウチに妹を殺せって言うとんのか!!」
漸く会えたと思ったのに、
まさか開口一番に『自分を殺してくれ』って
言われるとは思わなかった………。
「もう良い!!
そんなふざけた事を言う奴は、
説教してやる!!」
その為にも先ずは、
ベフィモスから引きずり出してやる………。
そう思い、作業を再開しようとしたウチに
碧依からの悲痛な叫びが届けられた。
「違うの、お姉ちゃん!!
駄目なの……。
今の私は、この怪物を動かす
だけの『生体部品』なの………」
「それは、どういう………」
『どういう事や?』と、聞こうとした時
突然、不知火のシステムに
不穏なアナウンスが流れて来た。
【警告。不明なデバイスの接続が確認されました。
システムに深刻な障害が発生しています………。
直ちに使用を停止してください。
繰り返します………】
「今度は何や!!」
「これは………。
駄目!お姉ちゃん!!
早く私から離れて!!」
「何か知っとるか!碧依!!」
事態改善の為に、
碧依から対処法を聞こうとしたけど
どうやら、一歩遅かったようや………。
この度は、最果ての世界を
ご覧頂きまして、誠にありがとうございます。
もう暫く程、朱音ルートが続きますが
これからも、3分間から5分間の
ささやかな楽しみを
皆様に提供出来ますように
のんびりマイぺースながらも
精進してまいりますので
何卒最後までお付き合いの程
宜しくおい願いいたしますm( _ _ )m




