EPISODE 3 - 33 √朱音
現状を打破する為の
道筋が漸く見えてきたと思った時、
ジャックさんから、懸念事項の指摘をされた。
【私がアキトさんの
救助に向かった場合、
施設の全権限を朱音さんに
譲渡するんですが………】
「何か問題でもあるんですか?」
ジャックさんが残ってウチの
サポートをしてくれたおかげで
大分楽をさせて貰ったけど、
元々は一人でやるはずやった事や………。
そう思い、アキトの救助を
優先して貰おうとした時、
予想していなかった事態になってもうた。
【決まった行動パターンはあるのですが、
基本的に、この施設の防衛システムは、
誰かが介入して操作しないと、
ただ動いてるだけのロボットと大差ないんですよ………】
おぉ………。
まさか、そんなカラクリに
なってたとは思っても
みいひんかったわ………。
でも逆を言えば、
さっきまで無人で動いていたはずの
ドローンや戦車部隊等が、人が乗っていたのと
遜色ない動きをしてたのは、
ジャックさんがシステムに
直接介入して動かしてたからか………。
「やったら、ウチがシステムに介入して
操作したら問題ない訳ですね?」
【確かにその通りなんですが………】
作業量が増えるのは、
痛手やけど今は人命優先や。
そのまま、システムの全権を
譲渡して貰おうとしたけど
ジャックさんにしては、珍しく歯切れが悪い。
「(まだ何か懸念事項でもあるんやろうか?)」
ベフィモスの動向を確認しながら
ジャックさんの言葉を待っていると………。
【端的に言いますと、
私の場合は『サポート特化タイプ』の
アンドロイドなので、施設運用等の
『マルチタスク』でも、脳への負担が
少なく済むので問題ないのですが、
朱音さんのように『戦闘特化タイプ』の場合、
無理をすると、脳の負担が大きくなるんですよ】
「………マジですか?」
【残念ながら………】
それは困った………。
全身が機械で出来た『サイボーグ』やったら、
ある意味、問題はなかったのかもしれんけど、
ウチらのように生前の自我を引き継ぐ為に
『脳』だけを代用している場合、
話が少しだけめんどくさくなる。
生体部品でもある『脳』に
高負荷が掛ると、
全システムがフリーズ………。
強制終了してしまうから
再起動までの間、無防備になってしまう。
何処まで高負荷に耐えれるかは、
人によって変わるから、
具体的な例はないけど………。
「(ウチの場合、この施設の
全域をカバーするのは、
まず無理やな………)」
どの程度までなら、負荷に耐えれるかは、
実際やってみいひんと、分からんけど
今それをやるのは危険や………。
やったら………。
「施設内に展開している、
無人外骨格の制御権だけやったらどうですか?」
全ユニットの制御が無理なら
半分だけでも良い………。
少しでも作戦の成功率を上げる為に
ジャックさんに確認して見た所………。
【恐らくですが、数台の無人外骨格だけなら
運用は可能だと思います】
よし!
それなら問題なしや!
「了解です!早速、無人外骨格の
制御権をウチに下さい!!
制御可能台数一杯まで同期したら
残りは自動迎撃モードで対応します!」
【了解しました。ただちに準備します】
こうして、施設内に展開されている
無人外骨格の制御権がウチに集まってくる。
ご覧頂きまして、誠にありがとうございます。
まだまだ、朱音√が続いて行きます。
出来る限り、違和感がないように
していきたいと思っているのですが、
思うように書けるか………。
これからも、
ご覧頂いております皆様に
楽しんで頂けますよう
精一杯頑張りますので
変わらずのご贔屓を
宜しくお願い致しますm( _ _ )m




