EPISODE 3 - 20 √アキト
「ここに居た連中は、
何て物を作りやがったんだ!!」
『生体CPUによる実用実験』と、
表されたそれは、あまりにも悲惨な内容だった。
『○月×日………。
部隊の連中が、
何処かのコロニーから
大量の若い『モルモット』を捕獲。
これで、あの実験が出来る』
『○月×日………。
実験の前段階である『脳』の
抽出作業を開始するものの、
『何匹』かは、抽出作業中に死亡。
これだから、『ガキ』は嫌なんだ………』
『○月×日………。
無事抽出できた『脳』を
特殊な『培養液』の入った
『金属筒』に投入………。
負荷テストを開始。
さて………。何匹が、
これに耐えれるやら………』
『○月×日………。
負荷テスト中に、
耐えれず『破裂』した『脳』を発見。
まぁ、まだ替えはあるから続行だな………』
『○月×日………。
最終フェーズの負荷テストまで
耐えた『脳』が数個出来上がった。
思いのほか豊作だったのは嬉しい誤算だな』
『○月×日………。
最終フェーズまで
耐えた『脳』を使った
『強化外骨格』の運用実験を開始。
テスト用の『外骨格』に順次、投入を開始する』
『○月×日………。
3機の『外骨格』に放り込んだ『脳』の内
一際、良い動きをする個体を確認。
元が何だったかを確認する為に
資料を見返すことにした』
『○月×日………。
一際、良い動きをしていた
外骨格に搭載された『脳』の持ち主は、
どうやら何処かの『スラム』に住んでいた
『女の子』だったようだな。
まぁ、使えれば何でも良い事だな』
『○月×日………。
この分ならあの巨大外骨格
『ベフィモス』の運用も可能かもしれない………。
駄目で元々なので、
今度試しに搭載してみるか………』
『○月×日………。
素晴らしい!!
まさか、あの巨体が動くのを
この目で見ることが、出来るとは思わなかった!!
何時までも『モルモット』では可哀想だな………。
この私に感動をくれた『脳』には、
持ち主の名に因んで『AOI』と命名してやる事にした』
ここからは、『ベフィモス』の運用テストと
それによる各種ステータスと改善点などだった。
それにしても、何て事をしやがるんだ!!
年端も行かない子供から脳を摘出した挙句、
戦闘兵器に投入して戦わせるなんて………。
「まさか………」
そこで俺は、ここに突入する
前の出来事を思い返す………。
『人間臭い』動きをした『無人の外骨格』。
『生身』では到底、『耐えれない』はずの『衝撃に耐えた』事。
その後に見た『金属筒』と『溢れる液体』………。
この資料の通りなら
俺が殺したのは、実験材料にされた子供??
「………」
そこまで考えた俺の頭は
怒りを通り越して、逆に冷静になっていく………。
弱い者が死に
強い者だけが生き残る
こんなご時世だ………。
可哀想だとは思うが、
同情はしない………。
だが………。
実験と称して、無駄に命を弄んだ
ここの連中だけは、俺がこの手で………。
皆殺しにしてやる………。
それに、資料にあった文字で
気になる物が何個かあったが、
取り分け気になるのが、
『スラム』、『女の子』、『AOI』と
言う文字だった。
まさかとは思うが、
ベフィモスに入れられているのが
朱音の捜している『妹』だとしたら………。
「ここから早く出て、朱音に合流した方が良いな」
念の為、ここの資料を持ち帰ろうと
八汰烏のストレージに
データのバックアップを
開始した頃、異変が起きた。
【警告!警告!
当施設に侵入者を確認!!
全隔壁の封鎖を開始します】
「!?」
念の為に切っていたはずの
セキュリティーが何故か作動を開始。
完全に閉じ込められてしまった。
「クソ!どうなってるんだ!!」
急いで、操作パネルを使って
システムにアクセスを開始。
セキュリティーの解除を試みるが………。
「………パスコードが書き換えられてる??」
何度も解除コードを送ってみたが、
俺の解除よりも早い速度で、
何者かによってコードが書き換えられている。
「バカな………。何度も『スキャン』をして
完全に無人だったことは確認したはずなのに………」
今いる施設に関わらず、
この廃墟に踏み込んでから
ずっと、こまめに周辺を『スキャン』したにも関わらず
『見逃し』があったと言う事は………。
「八汰烏と『同等かそれ以上』の
スペックを有した機体の持ち主が、
今回の事件に関与している………?」
このままでは、朱音が危険だ!!
必要最低限のデータの
バックアップが完了したので
急いで隔壁の突破に取り掛かろうとした時、
更なる異変が俺を襲った。
【警告!警告!
メインシステムへの不正アクセスを確認。
当施設は、これよりデータ流出を防ぐ為、
自爆シークエンスを開始します。
解除するには既定のコードを入力してください。
繰り返します………】
「なんだと!」
アナウンスの内容もそうだが
俺が確認した時には、
自爆コードなんて無かったはずだ!
だけど………。
アナウンスの内容が
正しいと証明するように
中央に備え付けられたモニターに
表示された『60』と言う数字………。
それが刻一刻と減少を開始した。
恐らく何者かによって、
追加された物なんだろうが
今は『追求』よりも『脱出』が先決だ!!
急いで隔壁に向かうと
直ぐに横に設置されている
操作パネルにアクセスを開始。
隔壁の開閉作業に入るが、
どうやらこの施設のシステムを
完全に掌握している何者かは
何が何でも俺をここから脱出させたくないようだ………。
先程と同じで、何度解除コードを
送ってもやはり弾かれてしまう。
「だったら!!」
陽電子ナイフを取り出し、
隔壁に突き立てて、
強引に隔壁の突破を試みるが
如何せん厚さ数十cmの鋼鉄の扉を
切り裂くには少し時間が掛りそうだ。
それでも現状では、
打開策が無いので、
ナイフを使い扉の切断を続ける。
「後………。少し!!」
で、切断出来る所まで来たんだが
どうやらタイムアップだったみたいだ………。
モニターから強烈な閃光が溢れると同時………。
俺諸共、敵拠点は大爆発に見舞われた………。
ご覧頂きまして、誠にありがとうございます。
ここで一度アキト√を終わりまして
朱音√に戻りたいと思います。
如何せん書くのが遅くて
モヤモヤされている方が
いらっしゃるかも知れませんが
何卒ご容赦下さいませorz
それでは、
読んでいらっしゃる方が
居るか分かりませんが
もし楽しみにしている方が
いらっしゃいましたら
これからもご贔屓の程、
宜しくお願いいたします。




