EPISODE 2 - 7
「じゃ、一体ここは何処なんだ?」
「ここは、『ダアト』と言いまして、
各国家に所属していた科学者たちが
集まって出来た『第四の国家』ですね」
「『第四の国家』…………『ダアト』?」
さっきも言ったが、権力者が作る小さな国『みたいな物』は
今までもあったが、多くは資源不足などにより
国としての維持が出来ずに衰退するか
よしんば、好立地な資源採掘ポイントを見つけたとしても
独占しようものなら、その資源を巡って大国に潰されるかだ。
つまり、今ある『三国家』に割り込んで
新たに国を作るのは、ほぼ不可能に近い。
俺が居た『アトラス』ですら、『国』では無く『都市』だからな。
まぁ、あそこは何処にも属さない『中立』だったが
主に『貿易』で、繁栄していたからな。
「アト………ラス………?」
そうだ!アトラスだ!!
何で今の今まで、思い出せなかったんだ?
『ダアト』の事も気になると言えば気になるが
それよりも今は、『アトラス』に帰らなければ………。
「どうかされましたか?」
突然黙った俺を心配して、
ヤヨイさんが声を掛けてくれるが、今はそれ所ではない。
早く、アトラスに帰って、無事?を二人に知らせなければ………。
助けて貰って、勝手なのは重々承知だが
二人に俺の安否を知らせたら、
改めて挨拶に来れば良いかな。
そうなると、まずは現在地を知る必要があるな。
心配そうに俺の顔を覗き込んでいる
ヤヨイさんには申し訳ないが善は急げだ。
「すみません。質問なんですが、
『ダアト』は、何処にある国なんですか?」
「ダアトですか?え~っとですね」
そう言って、手元にある別の資料を差し出してくれた。
それを受け取って確認してみると、
俺が最後に見たものより、新しく更新された世界地図だった。
地図を見た限りだと、昔と三国家の位置は変わってなさそうだ。
まず、北の山岳付近に『マルクト』。
東の湿地付近に『ケテル』。
西の平野付近に『ティファレト』。
ここまでが、俺が知っている各国の地理で
南の荒野付近に新たに『ダアト』が追加されていた。
『アトラス』は、前は三国家、今は四国家の
中心に当る場所にある。はずだったのだが………。
「………ない?」
確かに、アトラスは国ではないが、
傭兵等の人材派遣も行っていた。
この『傭兵』を一番利用していたのが、他でもない三国だったりする。
それゆえに、アトラスには三国の『機密情報』が集中………。
その結果、各国家がお互いを牽制しあい、アトラスは不可侵の中立へとなった。
もし『機密漏洩』を恐れる、もしくは『機密情報の強奪』をする為、
アトラスを襲撃しようものなら、他の国家が黙っていないからな。
それにアトラス自身にも腕に覚えのある傭兵や
それに見合った、装備が集中しているので
並みの兵力なら跳ね除けるだけの軍事力がある。
それが、地図から消えているのはどう言うことだ?
一体俺が眠っていた間に何が起こったんだ??
こういう時は、事情を知っていそうな人に聞いてみるのが一番だな。
「すみせん、ヤヨイさん地図の件で聞きたい………」
ヤヨイさんに事情を聴こうとした矢先、
室内に備え付けられた、警報装置が
けたたましい音を立て始めた。
「どうした?」
さっきまで人をおちょくっていたのが
嘘だったように、まじめな顔つきになったエミリーが
何処かに状況を把握の為、連絡をしていた。




