EPISODE 1 - 10
起き上がろうとしたが、
スーツが言うことをきかなかったので、
急いで簡易チェックを開始。
そこで映し出されていく数値を見て、
想像以上にダメージを負っていた事に驚愕した。
頭部パーツ………。ダメージ率20%
胸部パーツ………。ダメージ率60%
左腕パーツ………。ダメージ率40%
右腕パーツ………。ダメージ率60%
左脚パーツ………。ダメージ率30%
右脚パーツ………。ダメージ率50%
胸部と脚部のダメージ率は、分かる。
奴に蹴られた胸部は、
外部装甲所か、インナーフレームまで歪み、
脚部に関しては、着地の負担を逃がしきれずに
右脚の衝撃緩衝シャフトが折れ曲り、
装甲を突き破って飛び出してしまってる。
意外だったのは、腕部のダメージが大きかったことだな。
一撃一撃が『重い』と感じていたが、
まさか打ち合っただけで、これとは………。
「これでも一応、最新鋭の装備だったんだけどな………」
バイパス変更で、取り敢えずの応急処置を完了。
辛うじて立ち上がる事が出来たが、
もう、そんなに長く動けそうにないな。
「ここまで、性能差があるともう笑いしか出ないな」
っと言うか、これ修理費幾らになるんだ?
そもそも修理できるのか??
此方に向かって、徐々に近づいてくるアンノーン。
迎撃するにも、手持ちの武器は
お守り代わりに持って来た「パイルバンカー」のみ。
「今の状態で当てるとなると、至難の業だな」
パイルバンカーが、相手に着弾するまでに掛かる時間は約1秒。
今までの攻防から分かる通り、
万全の状態でも当てられる確率は恐らく10%未満。
今の状態だと限りなく0%に近い………。
「俺もそろそろ年貢の納め時かな………」
だけどな!はい、そうですかって、納得なんか出来るか!!
バック装備のパイルバンカーを右腕に装着して、
此方に向かって来る、アンノーンを迎え撃つ体制を整える。
とは、言うものの、どうしたものか………。
実際問題、動けるようになったものの、
こちらの運動性能は大きく低下している。
それに比べて、敵さんの方はほぼ無傷ときている。
頭の中でザッと何通りかシュミレージョンをしてみるが
バッサリと切られるイメージしか湧かないな………。
如何にかして奴を《一秒間足止め》して、一撃を見舞ってやるものか………。
「(ア……キ……ト………。生き……てる……か……?)」
「アッシュ!無事だったのか!?」
「(無……事……とは、程…遠…い…けど…な………)」
あれこれ悩んでいると、死んだと思っていたアッシュから通信が入った。
破損が酷いせいか所々ノイズが混じってるが、生きてるようで安心した。
「(今の……状況………は?)」
「割と絶望的としか言えないな。今、生きてるのも奇跡だよ」
「(俺…も……似た…ような……もの……だ…な……。残って……る…武装……は?)」
「パイルバンカーだけだな。そっちは?」
「(無事……なの…は……ワイヤー……フック……だけ…だな)」
人数が増えた事と、残りの武装からもう一度シュミレートしてみるものの
やはり、起死回生の一手には程遠いな………。
「(アキト……『アレ』は……使…える……か?)」
「『アレ』?あ……O・Bの事か?なら問題なく使えるぞ」
《O・B》正式名所は、オーバー・ブーストと言って
俺が自分のスーツを改造して取り付けた補助装置の1つだ。
効果はシンプルで、内蔵エネルギーを瞬間燃焼させることで
超高速移動が出来るというものだ。
ただデメリットとして、ジェネレーター内のエネルギーが
空になるので暫くは、まともに動けなることだな。
「(なら……俺……が…時…間を……稼ぐ…から……お前……が…仕…留め……ろ)」
「おいおい。大丈夫か??」
「(大丈……夫だ……問題……な……い)」
不安しか残らないやり取りだが、今はアッシュに掛けるしかなさそうだな。
「なら俺はO・Bのチャージに入る。タイミングはどうする?」
「(どん…なバ……カに……でも分……かる……
合図……を送る……その……時を………逃す……なよ)」
「了解!」
初めて小説っぽい物を執筆させていただいております。
色々と手さぐりでやらせて頂いておりますので
至らぬ所も多々あると思いますが、よろしくお願いいたします。




