7-9 教皇アイリス
ーーーオリオンーーー
聖都を陥落させて一ヶ月ほどが経った。それだけの時間が経っても、まだ聖都を離れられずにいた。それは反乱が相次いでいるためである。あちらを潰せばこちらから、こちらを潰せばあちらからーーというようにまるでモグラ叩きでもしているような状態だ。拠点となっているのは東部。まだ帝国が進出していなかった地域である。
とはいえずっと帝国軍が居座るわけにもいかない。次の作戦に備えて主力は既に引き上げており、治安維持は第二旅団と第二軍から増派された部隊(およそ一万)で行なっていた。警察その他の行政機構は整っておらず、そちらの整備も急務である。
「オリオン様。ここは教会を利用してはいかがですか?」
「わたくしが教皇として即位し、各地に司祭を派遣すべきだと思います」
シルヴィとアナスタシアの二人がそのように意見具申してきた。しかし、俺の返答は否である。
「それはダメだ。この地を教国のままにしておくならそれでもいいが、帝国領とする以上は帝国本国のやり方と同じようにしなければならない」
「ですが、このままでは治まりません」
「そうだな。そこでまず懐柔すべきは教会勢力だ。そもそもこの暴動の原因は何だ?」
「それは帝国が教国を滅ぼしたことではありませんか?」
「ああ。それもひとつの要因だが、大きいのは教会が壊滅した状態であることだ。反乱に参加した者を取り調べた結果、帝国が教えを破壊するのではないかと危惧しているからだということがわかった。その背後にいるのが、大王国に逃れた教皇だということもな」
「信者を動かし、自分は安全圏から高みの見物ですか……」
アナスタシアは嫌悪感を隠さなかった。うん。俺もクズだと思うわ。まあそれはいいとして。
「だから俺は早急に教皇を立てることにした」
「アナスタシアさんですか?」
「いや。アナスタシアでもいいが、もっと直接的なメッセージを送ろうと思ってな」
「「?」」
二人は疑問符を浮かべていた。そこへ兵士がやってきた。
「失礼いたします。皇帝陛下。アリス皇后陛下、ならびにアイリス皇女殿下がお着きになられました」
「アリスさんが!?」
シルヴィが驚くのも無理はない。皇帝である俺が親征している今、名目上であれ帝都を預かっているのはアリスである。その彼女がわざわざ出てきたというのだから。
「……オリオン様、まさかとは思いますが」
「ああ。その『まさか』だよ」
ーーーーーー
二人が到着した翌日、聖都の中央に建つ大教会で盛大な式典が執り行われた。教皇の即位式である。誰が即位するのかって? それはもちろんーー
「新教皇、アイリス・アリス・フィラノ猊下、御入来ッ!」
我が娘、アイリスである。まだ幼い彼女は、母親であるアリスに手を引かれて絨毯の上をちょこまかと歩く。その姿はとても愛らしい。
俺が考えついたのは、新たに教皇を据えることだった。そこに自身の娘をつける……これで、教会の教えを否定するつもりはないということを印象づけるのだ。
赤い絨毯を歩いてきたアイリスは、俺の前で立ち止まった。正しくは俺に抱きつこうとしたところをアリスに止められた。不満そうだったが、アリスが何かを耳元で囁くと大人しくなる。何を吹き込んだのか気になるところだが、ここは我慢だ。
「竜帝国皇帝オリオン・ブルーブリッジが、教皇アイリス・アリス・フィラノの戴冠を保証し、冠を授ける」
俺は高らかに宣言し、侍従として横に侍っていたシルヴィから受け取った冠をアイリスの頭に載せる。子どもなので王冠のサイズもミニである。そしてアイリスは教皇が座る玉座へ腰かけた。アリスに補助されて。大人用のサイズだったので仕方がない。
皇女が教皇に就いた影響は大きかった。皇帝に教義を破壊する意思がないことを明確にしたからだ。ただ、目ざといものは別の思惑にも気づいている。つまり、皇帝は教皇よりも権力が上であることに。即位式で俺が冠を授けたりとかなりあからさまだったのだが、教義が守られたことに対する安堵感がそのことをすっかり忘れさせていたようだ。彼らが気づいて騒ぎ始めても後の祭り。そのころには教皇は神祇官の下に置かれ、旧教国各地の行政機関も整っている予定だ。
このような対策をとった結果、内乱は急速に終息していった。残るは教皇位にアイリスが就くことをよしとしない連中のみ。そいつらをサクサクと倒していくだけの簡単なお仕事は治安維持部隊に任せた。アナスタシアは教会領総督として行政にあたってもらう。
戦後処理を終えると、俺は近衛師団とともに帝都へ凱旋する。アイリスも一緒だ。幼い彼女を異国の地に置いて帰るなどありえないからな。代わりはアナスタシアが十分に勤めてくれる。
帝都では戦勝を祝う市民たちから熱狂的に迎えられた。王国に勝利し、教国を滅ぼした。その戦果にお祭り騒ぎだ。だが戦いはまだ続いている。カレンの第四軍は規模を縮小(第二軍の分遣隊のみ)されつつも、大王国南部地域の切り取りを行なっていた。大王国は王国と南部で領土が接している。今回はその分断が目的だ。第三軍は占領した旧教国東部から大王国に睨みを利かせ、第一軍は帝国東部より侵入を図る大王国軍をよく防いでいた。
帝都に戻った俺はすぐさまこれらの対応にあたる。王国は沈黙させ、教国も滅びた。残すところは大王国のみである。大陸全土を相手取った戦争だったが、いよいよ勝ちが見えてきた。だが最後まで油断せず、確実に勝ちにいく。そのための準備を念入りに進めた。
「ソフィーナ。財政はどうだ?」
「あと一年は大丈夫。華帝国との交易でかなり儲けているから。でもそれを超えると厳しいわよ?」
「ああ。だからここで切り札を使う」
「それってーーうっ!」
何かを訊こうとしたソフィーナだが、急に口元を押さえてうずくまる。悪阻だ。彼女は三人目の子を身籠っていた。妊娠の回数は現状、妃たちのなかでトップである。もっともアリスとラナ、オーレリアにも兆候が見られるとのことなので、残念ながら三日天下に終わりそうだった。
別に子どもの数で優劣をつけるわけではないが、ソフィーナのような内政組の妊娠確率が高いのは事実だ。逆にシルヴィ、クレアのように軍に属しているといつ有事になるかわからないので俺も遠慮していた。内政組が三人になろうかというところで、軍政組はクレア二人、シルヴィひとりである。
「無理せず休め」
「別にこれくらいーー」
「いいから休め。命令だ」
「……わかった」
ソフィーナは大丈夫だと言っていたが、強く言うと大人しくなった。ここ最近わかってきたことだが、強く言われると逆らえない性格のようだ。やはり無理をすべきではない。俺に彼女たちの苦労はわからないが、辛いことくらいはわかる。ならば少しでも労ってあげるべきだろう。
俺はソフィーナを抱き抱えーーもちろんお姫様抱っこーーベッドまで運んだ。
「しばらく横になってろ。少し休んだらまた仕事な。無理をせず、小まめに休憩するんだぞ」
そう言い聞かせて立ち去ろうとしたのだが、服の袖を掴まれて引き留められる。
「どうした?」
「す、少しだけでいいから。ここにいて?」
恥ずかしいのか顔を赤く染め、シーツで顔を半分隠している。それでも精一杯の勇気を出してそのように請願してきた。
「わかった」
俺は手近な椅子を持ってきて、そこに座る。そしてソフィーナの手を取った。……決して彼女の涙目+上目遣いのコンボに負けたわけではない。
あれほど強気で傍若無人な彼女に、今はこうして甘えられるようになるとは……。時の流れを感じる。そしてとても愛おしい。彼女もまた、俺の大切な最愛の妻だ。
「ありがとう、お兄ちゃん」
「え? なんだって?」
「知らない!」
ツンツンヒロインがデレた瞬間に発動するのが、突発的難聴。俺もそのお約束に従って聞こえていないフリをした。すると案の定、ソフィーナは怒って顔を背けてしまう。俺は笑いながら、横になった彼女の頬を撫でる。
「元気な子を産んでくれよ」
「もちろん。とびっきり元気な子を産んであげる」
ソフィーナは自信満々に答えた。それから俺たちの間に会話はなく、気づくと彼女は眠っていた。俺は後のことを部屋の外に控えていたメイドに託し、政務に戻った。
ーーーーーー
最近の政務は軍事関係のものが多い。まあ戦争をしているのだから当たり前だ。いずれは完全に委任する予定だが、今は皇帝が立法、行政権をーー軍事関係はほぼ完全にーー掌握していることが原因である。
今回、特に多いのは部隊関係の書類。これは先日発効された『国家総動員法』が原因だ。日本のそれと同じように、国内のヒト・モノ・カネをすべて戦争に使うという法令である。カネについては国債を発行し、それをオリオン商会が買いつける。要は資金を借りているわけだ。ヒトは徴兵の強化ーーというより、予備役になっている者を現役兵に復帰させたのだ。彼らには本土の防備にあたってもらう。代わりに残っていた部隊をすべて前線へ投入した。モノに関してはまだそこまで差し迫っていないため規定はない。だがそういった事情もあり、部隊の新設と移動に関する書類が増えたのである。
「陛下。第四軍司令官のクレア・パース第四皇妃殿下からの報告書です」
「そこに置いておいてくれ」
侍従武官が書類を持ってきたが、まだ手許のものが途中なので置いておいてもらう。そしてやっていたものが片づくと、報告書を手に取った。
「南部の平定は、大王国の城ひとつを残して完了。残ったものも落城は時間の問題か……」
これで陸路の分断はできた。あとは念のために海路も封鎖する。そのための準備は整えていた。俺はすぐにパースの艦隊に出動を命じる。すべてクリッパーで構成された高速艦隊だ。彼らは西回り航路をとり、補給のために王国の港を襲撃しながら大陸を南下。第四軍が確保した港へと入った。そこで警戒活動に従事し、航行する船舶を片っ端から拿捕していく。鈍足の商船では、快速を誇るクリッパーからは逃げられない。残された手段は外洋を航行することだが、王国にも大王国にもそれを可能とするノウハウはなかった。
軍の配置も終わりつつある。旧教国の情勢も落ち着きを見せ、統治を行なっているアナスタシアからも順調との報告が上がっていた。第三軍は正規の編成(二個師団と一個旅団の計三万五千)で大王国の西部を窺っている。第一軍は増強され、四個師団と一個旅団の計九万五千に膨れ上がっていた。これに近衛師団と海兵師団を加えれば、合計十六万の大軍が大王国に攻め入ることになる。物資も揃ったし、そろそろ決着をつけるときだ。
翌日。俺は会議を招集した。その席で、Xデイ(作戦開始日)を一ヶ月後とし、それを各部隊に連絡するように命じた。
ーーーーーー
その夜。俺は母さんに呼ばれた。呼ばれた先は水明園。母さんが暮らしている離宮で、ゲイスブルグ家の屋敷跡地に建てられている。本屋敷があるのはかつて、俺が暮らしていた離れの場所だ。
「オリオン。よく来ましたね」
「お久しぶりです」
母さんはわざわざ出迎えてくれた。俺は挨拶を返す。このところ忙しく、年に数回しか会えていない。パーティーなどの貴族的な催しは母さんの気質に合わなかったらしく、あまり出てくることはない。必然、エンカウント率も下がる。この水明園にしても、皇族の住居とは思えないほど質素だ。それに狭い。使用人もおらず、母の他にはメリッサさんとアーロンさん一家(子ども三人)が住んでいるだけだ。
「忙しいのにわざわざ呼び出してごめんなさいね」
「いえ。大丈夫ですよ。かなり落ち着いてきましたし」
と、そんな会話から世間話へと移行する。そして話は本題へとシフトしていった。
「ところでオリオン」
「はい」
「街で、聖都の話を聞きました」
「……」
その瞬間、俺は嫌な顔をした。俺にとっての痛恨事であり、嫌な思い出だからだ。あまり思い出させないでほしい。
「その……まずかったでしょうか?」
俺はわずかな怯えとともに母さんに問うた。妻たちはもちろん大切な存在だが、それに負けないくらい大きな存在が母さんだ。あのときは最善を尽くした。そのつもりだ。だが、その一方でもう少し上手いやり方があったのではないかと思う自分もいる。今はあれが最善だったと思うことで罪悪感から逃れているが、もし母さんに否定されたらーー自信を失ってしまいそうだ。この世界にきて超人的な能力を得て、その裏打ちもあって恐怖した記憶はない。だが今、始めて俺は恐怖していた。
「よくやりました」
「ーーえ?」
望んでいた、けれど予想を裏切る言葉に俺は呆然とする。その反応に母さんは苦笑した。
「あら。どうしたの? 怒られると思ってた?」
「う、うん」
隠すことでもないーーというよりバレバレーーなので、強がることなく素直に頷いた。
「たしかにオリオンはたくさんの人を殺したわ。でも、なるべく殺さないようにしたんでしょう?」
俺は頷く。
「なら、何も恥じることはないわ。世間はあなたが悪逆非道だと言っているけれど、出来るだけのことをしたのだから」
「……ありがとう、母さん」
それ以上は言葉にならなかった。ただ、ようやく自分の気持ちに整理がつけられた気がした。
「ところでオリオン。久しぶりにここでご飯を食べていきなさいな。泊まってくれてもいいのよ。アンソニーもメルヴィンもメロディーも、あなたが来るのを楽しみにしていたのよ」
「そうなんですか?」
「ええ。メロディーなんて夜も寝つけないくらいで」
母さんは微笑ましいと言わんばかりに目を細めた。名前の上がった三人はメリッサさんとアーロンさんの子どもたちだが、同時に母さんの子どものようなものでもある。この三人に育てられた子どもたちは誰もが優秀で、魔法も剣術もかなりの腕前だ。男二人は士官学校が密かにマークしているとかしていないとか。メロディーにはーー俺の母親の友人の子ということもありーー貴族からの縁談がひっきりなしにやってくるという。すべて断っているようだが。
「そういえばあなた、王国から新しい子を迎えたそうじゃない。ついでにメロディーももらってあげなさいな」
「それは誤解! カレンは留学生みたいなものだから!」
「ふふっ。新しく来た子はカレンちゃんというのね。また今度、紹介してね」
しまった。気が動転して余計な情報を与えてしまった……。母さんにはまだまだ敵わないな、と俺は苦笑する。ついでに知られているようなのでーー別に隠していたわけではないーー今度来るときはカレンを連れてくることにした。
護衛には今晩はここに泊まると伝えて城に帰した。当たり前の話だが、母さんがいくら貴族的な生活を嫌っているといっても、それは内輪だけの話。外から見れば立派な皇族であり、不埒なことを考える輩も出てくる。そういう者を未然に防ぐために、水明園の周囲には近衛の一隊が駐屯して警護にあたっていた。だから警備面の心配は不要だ。だからこそ俺は軽々に宿泊を認めるし、母さんもそれを勧める。
なお、離宮になったとはいえ内装はあまり変わらない。昔のままだ。変わったことといえば、生活する人数が増えたので俺が能力を使ってレイアウトはそのままに拡張したくらいだ。
キッチンからはいい匂いがする。メリッサさんが作るシチューかな? そんなことを思いながらダイニングに足を踏み入れる。瞬間、鳩尾に何かが追突した。
「お兄様!」
「なんだ、メロディーか……」
ホッとした。もし暗殺者とかだったら死んでいたぞ。というか、まったく気配を感じなかった。また腕を上げたな、こいつめ。
「『なんだ』とはなんですか。レディーに対して失礼ではないですか?」
「それを言うなら、レディーは今みたいに他人に頭突きをすることはないよ」
「まあ、失礼ですね。今のは頭突きなんて野蛮なものではありません。親愛のハグですわ」
うん。君はそのつもりでも、身長の関係で頭突きになってるからね。なんだか昔のソフィーナを見ているようでほっこりとする。同時にほんの少しの懐かしさも。
「こら。メロディー。あまり陛下に無礼を働いたらいけないよ」
「そうよ。もしあなたが陛下と何も関わりがなかったら、罰せられても仕方がないのよ」
アーロンさんとメリッサさんが注意する。これまで何度も言われてきたことだ。だがメロディーはどこ吹く風とばかりに態度を改めない。なかなか強情である。
そんな彼女だが、ひとつだけ弱点がある。それは、
「皇太女殿下はそのようなはしたない真似はしないわよ」
「っ!? エリにできて私にできないはずがないじゃない!」
我が娘エリザベスである。なお、なぜメロディーがここまで対抗意識を燃やすのかは不明だ。女性陣やアーロンさんはわかっているっぽいのだが、教えてくれない。なぜに……。
「メロディーは相変わらず陛下のことが好きだな」
「へーか。また戦争の話して!」
メロディーの態度を微笑ましく見ているのが長男のアンソニー。俺を『へーか』と呼び、戦争の話をせがむのが次男のメルヴィンだ。アンソニーは終始落ち着いた物腰が特徴の好青年。メルヴィンは近所のガキ大将なのだそうだ。
「おい、メルヴィン! 皇帝陛下にちゃんと敬語を使わないか!」
ここでアーロンさんから怒声が飛ぶ。メロディーのときのそれとは違い、かなりの凄みがあった。男の子ということで厳しくしているらしい。母さんはその辺りが緩い人だが、二人は違うようだ。しかし怒られてばかりなのはあまり気分がよくない。だから問題ないことを伝えた。
「まあまあ。メルヴィンはまだ九歳じゃないですか。そこまで厳しくしなくても……」
「いけません、陛下。こいつはこうでもしないと言うことを聞きませんから」
「そうですよ。ダメなことはダメ、ときっちり教えないとダメなんです」
と言われた。うーん。そういうものか。うちの子たちはそういう方面に関しては手がかからなかったからな。いや、もしかすると俺が知らないだけで苦労はあったのかもしれないが。俺はその辺りはルーズな性格をしているので十分あり得る話だ。……心配になってきた。今度訊いてみよう。
「さあさあ。そんなに怒ってばかりだと、せっかくのご飯が美味しくなくなっちゃいますよ」
そこへ母さんがのほほんとした声とともに登場した。両手には鉄板が乗っている。これはもしや?
「おっ! ハンバーグだ! オレこれ好きなんだよなぁ」
メルヴィンがはしゃぐ。俺もハンバーグは好物だ。だから作ってくれたのだろう。俺が地球の料理を懐かしんで作ったのがきっかけだが、今や母さんの方が作るのが上手い。味も美味い。アリスをはじめとした一家全員が母さんの手料理の虜になっている。夕食は母さんお手製の料理に舌鼓を打った。
夜はメルヴィンの要望通り、戦争の話を聞かせてやる。戦争は悲惨だが、なかにはクスッと笑えるような話もある。不謹慎だと言う人がいるかもしれないが、大事なのはあくまでも分別だと思う。三人は俺の話を熱心に聴いていたが、やがて睡魔に負けて眠ってしまった。三人にシーツをかけてやり、風邪をひかないようにしてから、俺も床に就いた。
【お知らせ】
次回は10話、11話を同時投稿いたします。よろしくお願いいたします。




