第4話 ようやく犯人を突き止めたぞ!
『Silver Cat』という名の盗撮犯を追い求めて校内中を駆け巡ってみたものの、大体返ってくる答えは二つに一つだった。
「いや、知らないですね」と颯爽と俺の元から離れていくか「投稿見ました! あれってやらせですよね? だって、ほら……ね?」と俺の顔をまじまじと見てくるかのどちらか。
やかましいわ! ……って、今はそんなことどうでもいい。どうでもよくはないけど。
つまりだ、この投稿の件については校内的に大した問題にしていないらしいのだ。
まあ、全校生徒に直接確認をしたわけじゃないので、あくまでも推測でしかないのだが……。
「とはいえ、このままほっとくわけにはいかないんだよな……」
問題の火種は、今でもSNSの中で燻っている。
何が原因で炎上するか分からないし、早急に対処する必要があるだろう。
彼女自身あの性格だし、狼煙が上がるのは時間の問題かもしれない。
「でも、『Silver Cat』の手掛かりが一つもないんじゃどうしようもないよな……」
学生の身分である俺では、ここまでが限界だ。
こういう時、名探偵ならどうするだろうか。
思い出せ、あのアニメを!
思い出せ、あのドラマを!
そして、俺は一つの回想シーンを思い出した。
——————最初の現場に見落としがあるかもしれない。
推理モノではよくある話だ。
話が先に進みすぎて最初の出来事を、あたかも何もなかったように錯覚してしまうことが……。
答えが見つからないのなら、最初の前提条件が間違えているのかもしれない。あったあった、そんな話。
そして俺の場合、その最初の事件現場といえば――――――あの告白現場だ。
そこに重要な見落としがあるかもしれない!
俺は通行人をかき分けるように告白現場へと走って向かう。
途中、七ノ宮さんと出会ったが、置き去りにするように難なく乗り越えていき、俺は無事に告白現場へと辿り着いた。
桜の花弁がだいぶ散ってしまっているが、それでも桜の主張は他を圧倒している。
「さて。ここに来たのはいいんだけど、ここからどうすればいいんだろう」
胸の前で腕を組みながら唸る。
……よし! 思いついたことから始めてみるとしよう!
盗撮、と言えば隠し撮りだ。
まずは隠れポイントとなる場所を探してみよう。
それから、一体どのくらいの時間が経過しただろうか。
西日が眩しくなった頃、ついに俺は盗撮犯が利用したであろうスポット――――――草むらの茂みを見つけた。ここで間違いない!
再度確認しようと、ポケットからスマホを取り出してSNSを起動する。
……そこで俺は、ようやく気が付いた。
「って、投稿確認したのって煌のスマホでじゃん!」
俺のSNSと言えば、ほとんど未使用の放置アカウントだ。最後に使ったのは何ヶ月前だっけ……。
そのぐらいSNSの世界とは無縁なのに、どうして今の今まで気が付かなかったのだろうか。馬鹿すぎだろ、俺。
「とりあえず、もう一度投稿を確認しないとな」
そう言って俺は、素早くSNSを起動する。
そして起動と同時に『Silver Cat』のアカウントを見つけた。
……そう、『Silver Cat』という名でアカウント検索せずにだ。
数週間前にフォローリクエストがあった上に、メッセージまで送ってきていたのである。
俺の身体に悪寒が走る。
だって、そのメッセージ数は百にも及ぶのだから……。
「いや、怖すぎだろっ!」
メッセージを見るのは、流石に無理だ。
と、とりあえず、投稿を確認するためにフォローリクエストだけでもしておこう……。
指を上下左右に震わせながら承認ボタンをタップした、その時——————
「——————あひゃっ!?」
なんか、物凄く可愛らしい声が俺の後ろから聞こえたような気が……。
恐る恐る振り返ってみると、数十メートル先に水色のパーカーを着た少女がスマホを両手に取ってわなわなと震えていた。
猫耳の付いたフードを深々と被り、はみ出す髪の色は輝く銀色。
そこで俺の脳裏に浮かんだのは……。
「……『Silver Cat』……? 『Silver Cat』見つけたぞぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
「あひゃっ!?」
急に大声を出しながら走り寄ってきたことにびっくりしたのか、体勢を崩した彼女はその場で尻もちをついてしまう。
だから、無駄な手間なく『Silver Cat』を捕獲することに成功……したのだが。
「君が……、『Silver Cat』なのか?」
俺の表情が思わず強張る。
それもそのはず、フードの奥に隠れる『Silver Cat』の素顔は見惚れてしまうほど美少女だったのだ。
透き通る白い肌に、サファイアのように輝く蒼玉の双眸。
フードからはみ出す美しくも可憐な銀色のお下げは、彼女のあどけなさをより一層際立たせていた。
まさか、こんな女の子が盗撮をしていたなんて……。
「……ご、ごめんなさい……」
庇護欲をそそられるか細い声が、俺の鼓膜を強烈に刺激する。
「あ、いや、こちらこそ、すみません……」
俺はただ、謝ることしかできなかった。
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