9話 〜お邪魔しまぁす〜
「いらっし……おお、中田くん久しぶり」
ドアが開き、相手によって歓迎の仕方を分けるマスター。
「はは、お久しぶりです。コレなんですけど……持ち込みできますか?」
んん?あれは一升瓶、中身は酒かな?
「そうだね、どうしようか」
ん?マスター女将さんの顔色をチラチラと、アンタが大将じゃないの?
「あ、女将さんたちも呑んでもらって。コレ娘の入学祝いの時のなんですが、ウチでは呑み切らなくて……」
「そういうことなら良いんじゃない?ね、ねぇ?俺も付き合うし」
お前は関係ねぇだろ、番頭はんよ!
「ま、今回だけね。お祝いものだしね」
おお、女将さん気前いいね。
「じゃあアレだ、番頭ツマミたくさん頼んでよね?その代わりに」
おお、マスターも推すね推すね。
「ま、私1人あっちに居るのもおかしいんで、そっち行きましょうかね?」
いそいそと。笑
「あ、おまっ、アサミ来やがったな」
と、マスターに咎められたのは、そう私アサミ40歳でー、あ、39、いや……38歳でーす。
「じゃ、じゃあ、アサミちゃんも俺とツマミ担当で」
おいっ、猫背気味にスリスリしてくんじゃねぇよ番頭はんっ!
「いやぁ、私は一口だけしかいただかないし。ん?一杯とか……」
「増えてんじゃん、どうせガバガバ行くんだろ?お前」
ま、マスターちょっと酷いよ。汗
「はは、まあまあ、いいじゃないの祝い酒なんだから」
おお、女将さんありがとおっ!
いつも腹の中で文句言ってごめんなさい。
そして美味しそうなそれは何かしら?
「じゃ、いただきましょか、おめでとう!」
「おめでとうございます」
マスターに続け〜。
「あ、ありがとうございます、ここに持って来て良かったぁ」
「いや、こっちがありがとうだわ、こんな美味しいお酒」
うーんうーん、分かる分かるよぉ、賛成女将さん。
「うんうん、この苦いのが酒のスッキリにまた合うねぇ、うまい!」
「はは、番頭、お前もう真っ赤だな?」
「ええ、そういうマスターもぉ」
ははは酔っ払い同士やり合ってろ。
その隙に二杯目と!
「あ、アンタ一杯だけて言わなかった?」
女将さんやめて〜、
アンタのその顔はマジなのか冗談なのか?
分からない時があるのよぉ。
あっ少し笑ってるか、ほっ。
「何かお刺身とか食べたいですね?俺出しますよ」
おお、アンタはへへ人やねぇ中田っち。
「いいよ、中田くんは。コイツが出すから、ブンブンと寄ってきて」
ま、マスター、とうとう私を虫扱いにするのかい、まだそんなに酔ってないよね?
と、アレっ、女将さんは?
あ、いたいた。
何か出してくれるとか?
「はい、これみんなで食べよ」
うわぁ〜!
「すごっ、ママちゃんいいのこんなに?まさか、俺の奢り?」
おい、アンタはいつからそんなこという男になったんや?
ワテの知っとるアンさんはそんな人やないっ。
私に矛先が向いたらどぉーすんのさっ。
そんでもって、こんな贅沢は久しぶり〜、ありがと中田っち!
はぁ、食った食った、呑んだ呑んだ。
幸せぇ〜。
「今日の分はお前に付けとくからなアサミ」
ええ!?女将さぁ〜ん! 汗
完




