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居酒屋なみのり  作者: マメ
居酒屋なみのり1

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6話 〜じいさん〜


「ああ、これ美味しいねぇ、日本酒が欲しくなるやつだぁ」


おぉ、おぉ、こいつはまた呑んどるなぁ。


「あ!?あるよいいの」


ん?何か思いだしたのかマスター。


「え、何かあったっけぇ」


「ほら、この間の……まだ開けてないよ」


その顔はいい酒でも思い出した顔だな。


「そうか、忘れてたわ」


女将、それはダメだろ?お前も”おちょ”だなぁ。




お、持って来た持って来た。


「これこれ、ほら呑もうよ」


「おお、いいね、冷えてるそれ?」


「もうギンギンよっ」


マスターそれキンキンじゃないのか?


「いいなぁそれ、呑んでみたい」


「えー、番頭の好みに合わないかもよ」


「ママちゃんそんなこと言わないで俺にもちょうだよ」


この男も酒好きだからなぁ。


「じゃあ、みんなでこっちで呑も呑も」


おお、みんな集まって乾杯か、いいのお。




「うん、うまっ」


「いいね、これ。あっ、あれ欲しくなった。作って」


「えぇ、今から〜?」


「やれよぉ、注文されたんだから」


「じゃあお前やれよ」


「な、俺はマスターだから、ここに座ってんの」


調子のいいやつめ。


「いや、いいよ後で。あ!?忘れてた」


「何!?」


「じいさんのコップ」


おぉおぉ、忘れとったんかお前、俺の分を。


「あ、ホントだぁ。俺のはねえのか?てうるさいからなあの人は」


おい、女将!いや、娘よそんな風に思っとったのか?



「じいさんのはこれでいいか?て、あれ何やってんのコレ」


なんじゃあ、どうした?


「あっ忘れてた。豆腐焼いてみたんだった」


「マスターやっちゃった?」


真っ赤な顔してお前はまったく。


「少し焦げたけどいいんじゃない」


お前は気楽やなぁ、娘。


「ならさぁ、味噌カツの味噌やろうよ」


おぉ、豆腐田楽かぁ!?


「はい、じいさんのコップ」


「おぉ」


おお良いなぁ俺の酒かぁ。


「何かこの辺にいたりするの?そのじいさんて」


赤い顔して怖がるなよ。


「いるんじゃない?酒置いたから寄って来てるよ多分」


お前は俺を何やと思っとるんやぁ。



「はい、山椒は好みでね」


分かっとるな娘よ。


「じゃあ、いただきま……て食べないの?」


「まだじいさんが食べてないから」


ありがとうな娘。


「もう良いんじゃね?」


「まだ早いでしょ?いくら何でも」


「いや、どうせあいつ死んでるし、一瞬で食べるんじゃねぇ?」


おいドボ、なんじゃワレぇ。


「ああ、そうかあんたのお父ちゃんでもあるのか」


「じゃ頂こか」


うまそうに食べて呑むなぁ。


さすが俺の子だ。



「やっぱうまいなぁ、じいさんがこんな食べ方してたから俺も好きになったよ」


そうかそうか、お前に伝わったか。


「ホントだウマっ。これメニューで出してみるか?」


おおっ、マスターも気に入ってくれたか?


「で、アレはまだ作らないの?」


「番頭うるさーい。まだ覚えていたのかよ」


「ママちゃん口悪くなってるよ、ハハっ」



お前らも大概、呑兵衛やなぁ。




「おーい、いつまでふらついとるんじゃ」


て!?


「あっ、オバンくさっ!?連れ戻しに来やがった?」


ばあさん迎えに来たから、素直に戻るかの?




「じゃあな!お前たち。フッフーンだっ」





            完


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