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居酒屋なみのり  作者: マメ
居酒屋なみのり3

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6話 〜冨田山〜


「ホントだね、車で来てなかったら結構大変だったかもね?」


「そうでしょ?新幹線の中で呑んでたら、ここまで来てても行くのやめよ?て言ってたでしょ?」


「うん、言ってたな」


今日は、お休みを利用してノリちゃんと、昔懐かしい故郷に来てみました。


「でも、もう誰もこっちには親戚とか住んでないんだもんね?」


「うん、多分知ってる人に会うこともないかな?」


「ふーん?」



車の窓から見る景色は、懐かしいのやら、懐かしくないのやら……


最後にこっちに来たのは何十年前だったか?


「で、何だっけぇ、あの行きたいて言ってたとこ?」


「ああ、グリーンプラザ?」


「そうだった、見るだけでいいんだ?」


「うん、あ!?アレだよ」


「へぇ〜、懐かしい?」


「まぁね、でもやっぱ変わってるみたいだね?昔は上に丸いタンクがあったような……」



「ふ〜ん、あっちはプール?」


「うん、子供の頃よく来たなぁ?消毒槽を通ったりねぇ。あと、監視員の人がいて、笛吹くと水から上がって休憩タイムになったり」


「ふーん、ちゃんとしてたんだね?」


「うん、少し歩こうか?」


枯れたような松の木にも、どこか懐かしさが滲んでいた。



「グリーンプラザの中にね、レストランがあってさぁ、弟が小さい時ね、姉がねナポリタンにこの赤いのをかけるとイチゴの味がするよって」


「え!?まさかタバスコ?」


「そう、ばぁ〜ってかけて食べたら、唇真っ赤にして大泣きしてたよ」


「ひどっ!」


ホント酷い姉でしょ?


ま、それを止めなかった私も同罪かぁ?


「ね、騙されたの私じゃなくて良かったよぉ」


「そこなんだ?」


「ねぇ、そういえば山があるって言ってたね?」


「ああ、ここがその山……かな、、、」


「へ?」


「はははっ、地元の人からしたら、ここが冨田山なの」


「山?つーか、あの空き地みたいなところは、逆に低くなっているけど?」


「いいの、冨田山は冨田山」


あそこでソフトボールとか、子供会のキャンプファイヤーとかやってたなぁ。



「ちょっと川も見てみたいなぁ?」


「そうだね、ノリちゃん」


堤防に上がり、その向こう側には……


「うわぁ〜、デッカっ!?ナイル川か?」


「そんなわけあるかっ!」


「ははははっ!」


あの、高速道路下で遊んでたなぁ?



「じゃ、そろそろ宿に向かいますか?ノリちゃんも疲れていることだろうし……」


「そ、だね?呑も呑も」




バタンっ、


「じゃあ、出発するよぉ?」


「うん、さぁて、今日はどんなものが食べられるかね?」


「名古屋コーチン!食べようよ」


「いいねぇ、じゃあ明日は味噌カツ食べ比べだぁ?」



「あー、この辺りとかお父さん呑み歩いてたんじゃないの?」


「何軒かはあったみたいだね?ああ、あれ起小学校っ」


「あそこに通ってたんだぁ?へぇ。で、お父さんは、今日ももう雲の上で呑んでんのかね?」


「そうだね?それと、あの人は酒があれば、ここにも下りてくるんじゃない?あの恵三光さんは」



『プンっ、次の信号を左方向です』


「おっ、あと少しだぁ、そしたら呑めるぞぉ!」


プシュッ、


「お疲れ様、うぐぅ、んぐぅ」


「え!?1人で呑んでんの?」


「え!?さっき、もう呑んでいいよって言わなかったっけ?」


「いや、いつも待っててくれてるじゃん?」


「あれ、いや……私、何で開けたんだろ?」


「呑みたいからでしょ?まぁ、開けちゃったんなら呑んじゃえば?」


「うん……そうだ!?恵三光さんが乗り移ったんだ?だからだ……」


「都合いいこと言ってぇ?」


「いや、ホント、、、ああ?手が勝手にああ……んぐっうぐっふぁ〜っ」


「上手いかっ、1人で呑む酒は?」


「上手いなぁ——生き返ったなぁ」


「え!?本当にお父さんが?」


ふふふっ、ごめんねノリちゃん。



『ナミ!お前も大概にせぇよっ』



「ひやっ!恵三光さんっごめんなさぁ〜いっ」



             完



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