4話 〜すがり過ぎた男〜
「はぁ〜、今日は疲れたね?」
「うん、でもまぁノリちゃんが焼き場回してくれて助かったわ?」
「まぁ、今日はどっちみち呑める時間なかったからな?あ、あとグラスだけなら浸けとけばいいよ」
「いや、いいよ?明日までは長いから」
「そう、じゃ俺は準備しとくか?」
「そうして」
チリン、チリン、
「えっ!?」
「マスターまだいい?……よね?」
「電気消えてんのに……そんで今、ダメだろうなぁ?て聞き方したよな?」
「あ、ツマミはなくてもいいから。渇きもんでもいいし?」
「うっせえ、何も無しだわっ」
「ごくっ、ふぁ〜!」
「あ、呑みやがった~俺たちのお疲れ様をっ」
チリン、チリン、
「今度は誰?」
「まだやって、アレ?お前っ」
すみませ~ん、閉店後の『なみのり』を騒がせてしまって。
ちょっとカズヤと呑んでいたら……
「何で課長がここにくるんですかぁ?」
「いやカズヤ、俺もここの常連でな?」
「俺もて?俺がここに来ているの知ってたんですか?」
「いや、まあ?何となくだがな?」
「嘘つけ、カズヤのことを探ろうとして、店長に断られたクセに?」
ノリさん?ちょっと余計なことを……
「しかも奢ろうとまでしたのになっ!」
ナミさんもシャぁ~ト アップっ!
「なんだよそれ?普通来たら、『お前もだったのかぁ?』くらい言いますよね?」
「いや、そうなんだが、、、」
「だって、探り入れて失敗したのバレるしぃ?」
だから、ノリさん黙ってて!
「しかも奢り拒否ぃ。ぷっぷー」
しつけぇ、お前ら。
「もお、でも俺の方が先なんだから、今日は邪魔しないで出てって下さいよぉ?」
「分かった、でも聞いてくれ?」
「いや、お前も出てけよ!」
あれ、ナミさん……マジギレ?
ごめんなさいホントに、、、
「だからぁいいんすよもお、いつも俺のせいでしょ?」
「だからアイツにはちゃんと言って聞かせるから?」
「ああ、アイツは言っても聞かないよ?」
ええいっノリ、静まれ!控えおろうっ!この紋……
て、違った。
「ノリさんも言ってくださいよぉ?どっちが正しいか?」
「タダシはコイツだろ?そんで呑むなっ?お前も!」
あっ、いかん、ついつられて呑んじゃった。
て、とうとう呼び捨てandコイツかぁ?
切ないっ、、、
「だから、この店にも大切なのは、課長たちじゃなくてぇ?」
「いや、カズヤ。会社だってお前が大切だ。それは分かってくれ!」
「そんなこと言ったってホントすか?課長」
「本当だ?そして、ここもですよね?ノリさん」
「う〜ん、ナミどっちにする?」
どっちて何だよおいっ、我々の大切な話に?
「あ〜?はぁあ、あ」
アクビかっ?
カズヤの人生が掛かったアクビかっ?
「ナミさあ〜ん、俺っしょ〜?」
「じゃっ、タダシチームでっ!金使うしっ」
おおっ!勝ったぁ!
て、ダメだダメだ喜ぶとこじゃないっ!
て、今……金使うしって言ったぁ?
この女?
あ、女将さんに、失礼な言い方をしてしまったな?
いや、待てよ?
ススムと2人でチーム扱いされたぞぉ?
それはどうなんだ?おいっ!
「はい、決まり帰った帰った?」
「いや、ちょっとマスターお願いします」
「何よぉ?まだなんかあるの?」
「いや、あのパーカーなんですが?」
「ぶあっははっー!」
そんなに笑うかアンタらのせいなのに?
「着てんの?アレ、もえ……ンゴォごご」
「ちょっとマスターぁ!」
「ぶふぁ、苦しいよ?殺す気かぁ?」
「いや、ごめんなさい、そういう」
「分かっとるわ」
焦ったぁ?
カズヤに聞かれたら威厳がぁ?
ガチャ、ガチャ、
ん?ナミさん何を?
「もお、呑も。面倒臭えわぁ」
これかぁ、ナミさん男ver.というのは?
「タダシ。そんで今モエ呼んだから!」
えっ!? 早くもversion upかぁ?
「そんでここで着ろよ」
ちょっとそれは……
あ!?今パーカー持ってないしセーフ!
「そしたら、気が済むまでここで呑んでっていいよ」
「俺もいいっすよね?」
「いや、お前は帰りなさい。明日もあるんだから?」
「男がそんなこと気にすんなっ、明日は必ず来るっ!」
「出たっ!男ver.2,0」
え!もっとヤバくなるのか、この人は?
チリン、チリン、
「女将さん来ましたよお?」
「あっ?ダーリンっ!」
「だ、ダーリン?」
こら、カズヤの前でその遊びは?
ススムにどんだけ口止め料を……てそれは置いといて。
「課長ぉ?」
「何だね、カズヤくん?」
「写メ撮らせてもらいますからね?」
「いや、着替えないぞ?てゆーかモノがないしっ」
「モエ、やれっ!!」
「ラジャー女将さんっでありますっ!はいっダーリン。ハートパーカーぁ!」
「グワァっーあっ……」
さらば、威厳よ——
完




