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居酒屋なみのり  作者: マメ
居酒屋なみのり2

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9話 〜2人たち〜


「何で何で〜?」


「ふむふむ、、、ええェ?ウっソぉ」


何やら女5人集まって女子会のようなことを始めたアサミたち。


「いらっしゃ……おお、店長」


「よ、ノリちゃん。あれ?席空いてないな」


「ああ、悪いね。今日はこっちでいい?」


「あ、いいよ。おっ中田くん久しぶりっ!」


「あぁ〜こんばんは〜」


定位置を奪われても、違和感も嫌味もなく店に溶け込む店長は、さすがと言えた。



「ええ、教えて下さいよぉ〜。私も彼氏欲しい〜」


この間から仲良くなったキョウに縋るように教えを乞うのは、最年少のモエだった。


「あのね、何かぁ私も酔っててさぁ、タクシー降りる時にねぇ、怖いから家まで連れてってて言っちゃってさあ」


「ええ〜、キョウあんなに嫌だっつってたのにぃ?」


「そうなんよぉ、危なかったのよぉ?」


「て、もうアウトなんですよね?」


「アウトて何?モエちゃん。おいっ!モエオ」


「ごめんなさい、つい。て、モエオて何ですかぁ〜もぉ〜」


「ははは」


ところ憚ることを知らない若い笑いに、今夜はいつになく華やかな夜となった。



「そしたらさぁ、あいつカッコつけちゃってさぁ、いや、つけ込むような真似はしたくないって言ってきてさあ」


頭を突き合わせるような5人。


「ええ!?話が違ぁ〜うキョウ!そんなんじゃないじゃん」


「ちっ、ミナが居たんだったわっ。失敗、修正修正、路線変更するわ」


「もぉキョウちゃんたら、真剣に聞いちゃったし、私」


キョウに振り回されても楽しそうに笑うのはアユミである。


仕事の方は落ち着いて来たと見える。


「じゃ〜ホントのこと言うね」


「最初から言って下さいよぉ〜」


グラスに入れる氷を見ながらモエが急かした。


「マチダがねぇ、お前は空手やってんだから平気だろ?それにいざとなったら他の人まで守ってあげたいんだろ?て言ってきたの」


「えぇ、キョウちゃん空手を?今度から気をつけよ」


「て、何で店長ここにいんの?」


「ん?やっぱり定位置がいいかなぁて思ってさ」


酔うと帰巣装置でも発動するのか?この男。



「そうそう、その日それでさぁ夜中なのにキョウからバンバン電話かかってきてさ、それもあってコウちゃんとは……」


「ああっ、人のせいにしたぁ、ミナ〜」


「ええ〜だってぇ、いいとこになるとキョウから着信来るし、着拒すると後でキョウうっさいしぃ〜」


「ミナちゃんすごぉ〜い。友達を取る派なんだぁ?」


「意外ですねぇ〜」


「意外てなんだ、おいモエオ!」


「あぁ、ごめんなさいぁ〜い。モエオはいやぁ〜」


「つーか、アンタさっきからワザとやってない?」


今夜のモエの、どことないアザとさが見抜かれていた。



「いやぁ何か2人が羨ましくてぇ、つい」


すぐに素直に戻るのは、妹キャラのモエの良いところとも言えようか。


「ねぇ、わ・た・し・は?モエちゃん」


「あっ?ほんとに忘れてましたぁ、アサミさんにまさか彼氏が出来たなんて……えへへっ」


「はははは〜」


言われたアサミも呆れて笑ってしまう始末だった。



「でもさぁマチダはね、何かちょっと話したことまで覚えててくれてさ、そんで私の気持ちまで理解してくれてるって思ったらさ」


女心というものはそうなのか?


酒に見え隠れする心模様。



「ええ〜でもさぁ、キョウそれってホントはコウちゃんにアピールしてたやつじゃん?」


「ま、そぉ〜だけどさぁ、結果ね、結果マチダに響いてたってことだね?」


「ホントは他人を救おうなんてキョウらしくないしね」


「まぁ〜ねぇ〜」


「助けてもらおうと思ったのにぃ?」


「何かあったの?モエちゃん」


横の大男を黙って指差すモエ。


「あぁ?その男なら私に任せてモエちゃん」


と、胸を張って見せるのはアサミだった。


「店長ぉ、モエちゃんになんかしたらぁ〜!」


「いや、だから前から言ってるけど俺何かしたっけ?」


「もぉ〜店長、私の口から言わせるんですかぁ?」


「ええ、本当に何〜?」


困り果てる店長を横目に、ペロッと舌を出すモエ。


そのアザと可愛さに文句を言える者は、そこには居なかった。




チリン、チリン、


「いらっしゃい。アレ?3人揃って珍しい」


笑顔で驚くのも馴染みとなったマスター。


「いやぁ、下で会いましてぇ……」


「こっちこっちっ」


「こんばんはぁ」


「あ、私たちはあっちへ移ろっか?モエちゃん」


「そおですねぇ〜。居ずらしぃ」


それぞれ彼氏が来て、3つのカップルとなった。


「ほらっ店長も戻った方が良いんじゃない?」


「あ、女将さんこんばんは」


「あら、結局、ミナちゃんとマモルくんはくっついたんだぁ?」


「もぉ人を磁石か何かみたいにぃナミさんはぁ」


「こっちもっすよっ、コイツの磁力は強くて強くて」


「もぉ〜マチダっだらぁ、イヤなのぉ?」


と、急にノロけモードに入ったキョウ。


そんな彼女たち6人は、仕切り直しの乾杯をするのだった。




「はぁ良いなぁ、どお〜やったら男が出来るんですかぁ?アユミさん」


「ええ!?私に聞かないでよぉモエちゃん」


「ホントだよね、こんな美人さん2人がねぇ?」


「何なんでしょうね?マスター。これは?」


「いや、俺に聞かれても……」


「これでも食べて元気出して」


「ありがとうござ……何ですか?コレ」


渡されたグラタン皿の中身が、当然グラタンかラザニア辺りだと思い込んだモエが珍しく不機嫌な顔をする。


「いただきます。ナミさん」


と、対照に満面の笑みを浮かべるアユミ。


「あ、ノリさんお酒をぬる燗で」


「はいよ」



「う〜ん、美味しいっ」


小刻みに足をバタつかせるアユミ。


「モエちゃんも食べてみて美味しいから」


「はあ〜」


どこまでも気のないモエが箸を付ける。


「うえェ、苦いよお〜」


「そこでお酒を呑むのよぉ」


言われるがままに試すモエ。


「ああ〜ホントだぁ?美味しい〜」


「でしょ?」


しかし、また何やら腑に落ちないといった顔をするモエ。



「う〜ん?」


「どしたぁ?モエ。キョウたちを見て」


「私はこのままでいいんでしょうか?マスター」


「何がぁ?」


「いや、アユミさんが美人なだけに……同じ物を食べて同じことをしていると……私も一緒独身のまま終わる気がして……」


「ちょっ、ちょっとモエちゃん。私まだぁ〜」


「あぁ、ごめんなさい。アユミさん、そういうつもりでは」


「ど、、、どんなつもりなら私にこんな大っきなトゲを刺せるのよぉ〜?」


「あ、いやホラ、あのアサミさんだってあの歳でね、ねっ?マスター」


慌てふためくモエ。



「コラぁモエオぉ〜。正体を現したなぁ?」


「うわぁアサミさん、ごめんなさい、ごめんなさい。そういうつもりじゃあ……」


と、椅子に片膝を上げるアサミ。


「て、ははは、アサミちゃん、パンツ、パンツ!」


「あら、やだ私ったらホホホ」




苦笑いしかできないマサユキだった。





             完


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