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居酒屋なみのり  作者: マメ
居酒屋なみのり2

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22/28

5話 〜晴れやかに〜


1月も終わりに近づき、寒さに厳しさが増してきた。


そんな、ある日だった。



「来週は雪かもだってね」


「ああ」


「ああって、売り上げに響くんだからね」


「ああ……何かあったかい物でも用意してあげないとね」


「ふふ、そうだ……ね」


曇り空の下にあっても、晴れ渡るような2人だった。



今日はせっかくの休みだということで、鎌倉辺りにでも食べ歩きならぬ、呑み歩きをといそいそと繰り出す、ナミとノリ……そう『なみのり』の2人だった。



「はぁ、良いねたまには朝から呑むのも」


「アンタはいつも呑んでんじゃん」


「はぁ、お前もだろ?」


「ハハハっ」


そんな笑い声に干されて行く生ビールだった。



軽く呑み歩いたところで、


「ねぇ、たまには横浜まででようか?」


と、ナミの提案だった。


「良いけど、どこに行こうか?」


「そうだねぇ?」


「ま、取り敢えず行ってみるか?」


そして適当に決めようと、相変わらずな2人であった。



「あぁ、あれ?あんなだったっけ?」


「ホントだ。あまり電車で来ることないからね」


いつもは横横道路に、首都高を通る2人。


さすがに呑み歩きとなると、今日は電車である。


そんな窓からの景色が、懐かしくも目新しい2人であった。



「さぁて、どこに行こうかね?まだお腹空いてないでしょ?」


それなら、雑貨か服でもぶらぶらとと、ナミに気遣うノリだった。


「あ、じゃあさぁ、ラウの服とかも見ようよ」


「そうだね、犬用品の店とかもたくさんありそうだしね」



ぶらぶらよりもふらふらとの方が似合う2人は、歩きながらウインドウショッピングと洒落込むのだった。


「あ、あれは子供服じゃない?」


「ルイにか、見てこっか」


孫へのプレゼントを選ぶのも、2人にはまた楽しいひと時と言えた。



そんな時、不意に呼び声がした。


「よう、ノリじゃないか?」


え?


と、振り返ると、それは会社員時代の上司だった。


「ああ、お久しぶりです」


元上司には大人しいノリだった。


「珍しいところで会ったな?」


と、言いつつも、どこか面白くないという面持ちのその男。


「こっちはナミと言います」


「ほぉ、嫁さんか?楽しそうに……人に押し付けといて良い気なもんだ」


「いや、ですからアレは……」


変な雲行きに戸惑うナミ。


「ふっ、どうだったかな?しかしお前はなぁ」


「あの、お世話になったか知りませんが、何ですか突然」


「おい、やめろよ。いいから」


「女の陰にでも隠れるのか?」


「そんなつもりはないですよ。それに……」


口籠るノリ。


「ハッキリ言いなさいよノリちゃん」


「いや、いいんいだ」


女の人の前だからと強がりを見せるような男ではない。


普段の行いこそが?と考えるのがノリなのである。


「ふ、まぁいいや。ママに庇ってもらいなノリちゃんよ」


と、立ち去る元上司の男であった。



先ほどから明らかに口数の減ったノリ。


何か小骨でも引っかかるような顔で、スタスタと歩く彼だった。


気になるナミは、


「ねぇ、やっぱ言いたいこといえば良かったんじゃないの?」


「ん?いいよ。俺はもう辞めた身だから、残っている人や、目をかけてくれた上司だってまだ居るからね」


「ふーん」


と言いつつも、ノリのことを信頼するナミだった。



「じゃあさ、白楽まで行かない?」


「おっ、アレか?聖地巡礼だな?」


「そう、リョウが行ったらしいけど、美味しかったってよ」


「行くかっ、でもモエにバレたら怒られるな?」


「ホントだね。一緒に行こうって言ってたからね」


「今度、どっか連れてってやるか?」


「ま、ウチでも良いんじゃない?鍋パとかさ」


「おお、そしたらアレだ、みんな呼んでパァとやっかぁ?」


「ははは、結局そうなるよね?ノリちゃんらしいわ」


「そうだろ?俺はこうじゃ、なくちゃな」




帰りの夜風はいつになく身体に堪える寒さだった。


しかし、2人を温かくしているのは、酒のせいばかりではなかったようだ。



そして、まだまだ眠ることを知らない今夜の月は……



2人を横須賀の街へと誘うのだった——





            完








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