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居酒屋なみのり  作者: マメ
居酒屋なみのり1

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12話 〜ばち当たり〜


「はぁ〜あ、ふーん」


「どしたの今日は?外なんか出ちゃって」


「ええっ!雨だからさぁ、人が少ないなあ?と思って」


「ふーん?」


「ふーん、て?アンタも呑んでばかりいないで気にしたら?マスターなんだし」


「ま、お前に任せるよ」


「なっ?また……て、お姉さん」


「こんばんは、雨が強いね」


また言い合いしているのか、この二人は……


「アンタ、お姉さんがいらしたわよ」


「ん?あぁ……そう」


な?なんて気のない返事。


別の店に行こうかしら?




そう、私はマスターの姉です。


年齢は非公式。あ、非公開でした。



そして私もここ『居酒屋なみのり』のファンなのです!



「どこ?カウンターね。はいどうぞ」


聞く意味なかったよね。


ま、いつものことか?


「お茶もらおうかな?」


「お茶?えっ、お姉さんどうかしたの?」


ちょっと、女将さん、私を何だと……


「ふ、どうせすぐ呑むんだろ?姉ちゃんお前は」


お前は、をつけるないちいち。


「いや、なんかまだ……」


要らないかなぁ?


「え、ホントに具合がとか……」


待って、アンタたちと一緒にしないで、


「いやそうじゃないから平気よ」


うん、心配してくれるのは嬉しいけど、そこまで呑兵衛でもないからね。



「あ、お姉ちゃん、あれ、レレレ?ホントに呑まないんですか?」


レレレてお前は、いつも箒で掃いてるあのオッサンか?


番頭さんよ。


「いや、後で呑むよ。今はなんか……」


「じゃ、歌でも歌っとけばぁ?ほらっ」


て、弟よ何だその扱いは?


「いや私、呑まないと歌わな、歌えない人だし」


それより何か食べさせて、腹ごしらえが大事、今は多分。


「はは、言っとけ」


口悪いなぁ?


お前はもう酔ってんのか、マスターのクセにさー。



「はい、お姉さん」


「ん?あ、ありがとー」


いいね女将、これ美味しそう。


呑みたくなるやつじゃん。


「で、本当にどうしたんです?」


まぁ、あまり心配させてもいけないか、ちょっと恥ずかしいけど、


「いやねぇ、昨日お母さんが夢に出て来てね」


「は!?おフクロが、それで?」


食いつくな弟よ。


何なら流したいのに……


「いや、何か久しぶりに見たから気になって」


そして、『なみのり』て言ってたなんて、何か悪くて言えない。


「ふーん、アイツ元気にしてた?」


「マスター、アンタのお母さんでしょ?言い方」


うん、まあ普通そう思うよね。


しかし、酔った時の口の悪さはお母さんも知ってるし、この子の中身は……


「じぁまだ呑まないんですね?」


さっきからそう言っているよ私は、番頭さん。




「あ、いらっしゃいませ」


「あのぉ、今から25人て入れますか?」


「あぁ、は、入れます……よ、ねぇ?」


マスターだろお前。


しっかりしろー。


「はい、大丈夫ですよ。今、お席をご用意いたしますね」


お、動じない女将いいね。


それに引き換え我が弟は……


「じゃ、お飲み物は何になさいますか?」


ふむふむ、ふーん?みんなバラバラと?


「えーと、サワーが3つの、ハイボールがと……」


あ!?コレかっ!お母さん。


「おい、私やろうか?」


「おおっ、姉ちゃん。いや、ありがとうお姉様っ」


変わり身早っ!


弟よ。




「ありがとうございましたぁ」


うんうん、相変わらず一見さんでも外まで見送ってるね?


いいね、いいね。


て、


「さぁーてと、皿洗うかね」


「あっ?お姉さんいいですよ、そんなのマスターが」


いいよ女将もう少し手伝うよ。


「あ?そんなのお前らやっとけ」


は?


お前、お客さん帰ったら、お姉様から『お前ら』に変わるのか?


しかも今の口調からすると、私はお前らの『ら』の方だよね?




「あったま来た!」



「うわっ姉ちゃんごめんなさ〜い。呑んでってぇ奢るから、ね、ごめんてホント」




             完




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