11話 〜俳句会〜
「あー何か退屈だなぁ?」
「ホントだよね、毎日毎日その赤い顔見せられてさ」
「あ、マスター?そんなこと言うともう来ないよ?」
「どおぞ、どぉぞどおぞ!」
「ちょっとは惜しんでよ」
「ははは、いいわね。私もこの人のいない『なみのり』でゆっくりしてみたいもん」
「アーサーミぃ、おいテメェ」
「あー、とうとう番頭まで私のことを……」
「いいですね、みなさん楽しそうで?」
「いや、楽しくないから何かしようかな?て」
「そうですか?なら私から一句いいですか?」
「へ?句?」
な、何でそんな……
しかし、
「はは、マスター苦手そう?」
「お前は出来んのか?アサミ」
「私結構出来るかもよ?」
「じゃ、言い出しっぺの私から、女将さんへということで、
『来る人の
襟を見て取る
鍋の蓋』
というのはいかがです?」
「おお、意味は分かんないけどいいね?なんか」
「そうですか?ありがとうございます。じゃ次は番頭さんいけますか?」
「うーん、あっ?じゃあ、こんなの、
『揺れ知らず
暖簾見つめて
ビール呑む』
どうよ?」
「あー、番頭分かってる。いつものこの人のこと」
「でしょ?マスターの待ちぼうけが目に浮かぶもん」
「待ちぼうけて何だよ!ウチの店を暇みたいに」
ふふふ、図星らしいわね、マスター。
でもポイント稼ぐわよ、私は!
「まあまあ、マスター。私が仇を取ってあげるからさ」
「お前が1番信用ならないよ」
「酷おーいマスター。じゃあコレ聞いて良かったら一杯頂戴ね!」
「やっぱりかお前は?」
て、女将さんまでもぉ〜。
気をとりなして、
「じゃあ、行きますよ、
『燗の数
口は忘れど
足覚ゆ』
どお、どお?」
「はは、確かにこの呑んだくれはね?」
「うん、俺も認める。自分で分かってるよ、へへ」
「はいはーい、女将さん一杯いただきっ」
「調子に乗るなっ」
「あたっ、んもぉ〜、じゃあオーダーで」
「仕方ねぇやつだな?一杯だけな」
「マスター大好きぃ」
「はいアサミ」
「ありがとうございますマスター」
で、次は誰かしら?
おっ、マスターいくのか、
「じゃあ思いついたから俺行くよ、
『飯酒に
溺れて逃す
夢の君』
こんなのど……」
「マスターっ!」
「分かった!ごめん、ごめん、アサミ。ホンっトごめん」
「もお、もう一杯で許しますよ」
「あ、マスター俺も俺も」
「結局こうなるんだよな?」
アンタが悪いよマスター。
「うーん?」
「どしたんですか?女将さんそんなに考え込んで」
「ええ?きっしーのせいで3杯もただ酒になったから、仕返しに何かいい句が思いつかないかな?て」
「あ、仕返しですか?そうなる前に、じゃあ私もいただいて4杯目てのはどうですか?」
「きっしートイレ近くなるよ?」
「番頭さん、これくらいでは、さすがに私も平気ですよ」
「あ!?思いついた!」
「あ、女将さん思いついたんですね?良かった。提案して」
「じゃあ行くよ、
『叩くたび
出るものも出ず
トイレの戸』
これドンピシャでしょ?」
「はははっきっしーだこれ!」
「ふふふ、みなさん悪いですよ」
「はーぁ、良かれと思ったのに結局これですか?」
完




