かんな、実はここに、、、、、、
無理
かんな、実は、、、、、、、ここにいた!?
りゅうとは混乱していた。
かんなはさっき、炎に包まれて宿にリスポーンしたはず。
なのに――なぜ、クロもグランファリーさんも笑っている?
(え……なんで? かんな、いないはずだよな……?)
その時、クロがぽつりと口を開いた。
「りゅうと、かんな、ここにいるクロよ」
「は? いや、そこには誰も……」
「そうですよ」
りゅうとは目を凝らす。
クロが指差した先には、何もない。
空気しかない。
完全に“空っぽ”だ。
「……おい、意味わかんねぇぞ」
するとクロが、さらっと言った。
「あ、そうだったクロ。りゅうとはバカだから分からないクロね」
「バカじゃねぇし! でも……教えてくれよ」
素直に頼むと、クロは得意げに答えた。
「かんな、実は透明になってるクロ!」
「透明!? どういうことだ? このゲームに透明魔法なんて……」
りゅうとは考え込む。
透明魔法なんて、どこにも書いてない。
攻略記事にも、公式サイトにも。
(そんな魔法、存在しないはず……)
もう一度、確認するように聞いてみる。
「なぁ、嘘はほどほどにして、本当のことを教えてくれ」
するとクロは、首をかしげながら言った。
「え? 嘘じゃないクロよ?」
「だって、公式サイトにも“透明魔法は存在しません”って書いてあったぞ!」
その時、グランファリーさんも静かに言葉を添えた。
「サイト? 何か分かりませんが……かんなさんは、確かにここにいます」
「グランファリーさんまで……!」
りゅうとはさらに混乱する。
からかわれてるのか? それとも本当に……?
頭をフル回転させて考える。
(グランファリーさんが“すべての魔法を使えるようにした”って言ってた。でも、透明魔法はそもそも存在しない。なら……かんなが自分で生み出した?)
(いや、そんなこと……でももし、本当に使えてるなら……)
りゅうとは、思い切って叫んだ。
「かんな! いるなら返事しろ!」
……シーン。
返事はない。
聞こえるのは、外からのセミの鳴き声だけ。
(やっぱり……いないのか?)
そう思ったその瞬間――
「ここだよ」
そんな声が近くから聞こえた。
無理




