かんなの魔法がすごい!?
無理
かんなの魔法、すごい!
「共癒永環!」
かんなが叫ぶと、目の前が緑色の光に包まれた。
その光はまるで森の精霊が舞っているように美しく、やがてふわりとこちらへ近づいてきて――
「パァーン!」
軽やかな音が響いた瞬間、かんなたちのHPが一気に全回復していた!
「き、傷が……!」
「傷が治ってるぞ!?!?」
「クロは、疲れがなくなったクロ!」
りゅうとも、クロも、そしてかんな自身も驚いていた。
この魔法は、上級魔法使いの中でもほんの一握りしか使えない回復魔法。
(さすがグランファリーさん……! でも、精霊の力ってこんなにすごかったんだ……)
しかも、魔力切れで倒れることもなく、かんなはしっかり立っていた。
(私……本当に、魔法全部使えるようになっちゃったの!?)
かんなが驚いていると、グランファリーさんがそっと近づいてきて、かんなだけに聞こえる声で囁いた。
「かんなさん……実は……(こしょこしょ)」
「え!? 本当ですか!?!?」
かんなは目を見開いて驚いた。
そして、試してみることにした。
「グランファリーさん、りゅうと、クロ! 私の魔法、よーく見といてね!」
「ふふふ……一体どんな魔法を使うのやら……」
「分かったけど……見といても何も起きないんじゃ……」
「りゅうとひどいクロ! そういう時は、かんなに倒された方がいいクロ! そして好きなら告白……いや、キス……」
「好きじゃねぇし! キスなんて恋人同士がするやつだろ! してたまるか! せめて告白……いや、なんでもない……!」
でも――そんなやり取りは、かんなには聞こえていない。
胸がドキドキ、ワクワク。
グランファリーさんの言葉が本当なら、すごいことが起きるはず。
「零相絶界!」
かんなが不安を抱えながらも、力強く唱えると――
「パッ」
静かな音とともに、かんなの周囲に煙が立ち込めた。
「かんな、大丈夫か!?」
りゅうとはすぐに助けに行こうとしたが、煙が部屋中に広がり、何も見えなくなってしまった。
(くそ……見えない!)
やがて煙が薄れ、完全に消えた――
でも、そこにかんなの姿はなかった。
「う、嘘だろ……」
「面白いクロ!」
「なるほどですね……いいですね」
「おい、どこが面白いとかいいですねなんだよ! かんなは……ここで炎魔法を使って……くそ! 最初からやり直しかよ!」
りゅうとは悔しそうに拳を握る。
でもクロもグランファリーさんも、なぜそんなに悔しがっているのか分からない様子。
「炎魔法ってどういうことクロ?」
「クロさんの質問に同意です」
「は……?」
りゅうとの言葉の意味――
それは、まだ誰にも分かっていなかった。
また、りゅうともグランファリーさんとクロの言葉の意味が分からなかった。
無理




