泣き顔、見られた、、、、恥ずかしい、、、、
無理
泣き顔、見られたー!!!!!!!!
「あっ……っ!!!!!!」
かんなはようやく気づいた。
学校では一度も泣いたことがなかったのに――
今、りゅうとの前で泣いてしまった。
(うわ……恥ずかしすぎる……!)
顔が熱くなる。
怒りたいけど、怒る余裕もない。
「う、うっさい!! お前だって泣いたことあるでしょ……!」
かんなは言い返すけど、声が震えてる。
すると、りゅうとがニヤニヤしながらからかってきた。
「あれれ? かんなって学校じゃ真面目キャラじゃなかったっけ? おかしいな〜」
「っ!!!!!!!!!!!!! 泣いてなんかないし!」
かんなが必死に否定すると、今度はクロが口を挟んだ。
「りゅうと、かんなをいじめるのはやめるクロ!」
「ク、クロ……」
かんなは感動した。
でも――それはほんの一瞬だった。
「かんなは家では、ワンワン泣いて……」
「なんでもない!!」
かんなは慌ててクロの口をふさぐ。
クロはぬいぐるみだから、かんなが家で泣いてることを全部知ってる。
それを聞いて、りゅうとが少しだけ真剣な顔になる。
「ふーん……お前さ、泣くの我慢しなくていいんだぜ。真面目なイメージなんて、壊してもいいんだぜ」
「え……でも……」
かんなは戸惑う。
今の真面目キャラを壊したら、友達が離れてしまうかもしれない。
でも、りゅうとは続けた。
「お前は、お前のままでいいんだ。俺は……本当のお前が好……いや、なんでもない!」
好――その言葉が、かんなの心に深く響いた。
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今は夏。
みんなは半袖・半ズボンで、マスクもしていない。
給食の時だけ、ちょっと気をつけるくらい。
でも、かんなは違う。
半袖だけど、ズボンは長ズボン。
マスクも常に着けて、真面目キャラを保っている。
でも――本当のかんなは、そうじゃない。
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本当のかんな vs 偽装かんな
• 本物のかんな:半袖・半ズボン、可愛いキャラの服。遊ぶのが大好き。勉強はちょっと苦手。家では泣き虫。
• 偽装かんな:マスク常時着用、長ズボン。勉強好きでゲームはあまりしないと言っている。泣かない。
(もう……偽装かんなは、どこかにやりたい)
そう思うかんな。
でも――イメージを壊すのが怖い。
その気持ちも、強く残っている。
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そんなことを考えていると、クロがふわっと言った。
「かんな、りゅうとと話したいことがあるクロから、席を外すクロね」
「うん……変なこと話さないでよね!」
普通なら止める。
でもクロは、命の恩人であり、私の大事なぬいぐるみ。
だからこそ、止めない。
「いや、止める時もあるけど……今回は、大丈夫な気がする」
それが???だということに、りゅうとはまだ気づいていない。
これは――クロとかんなの黒歴史作戦の始まりだった。
無理




