訓練は走る?
第九話です。読んでね。
「まずは走って来い!」
「え!?」
かんなたちは驚いた。
だって――剣の使い方を教えてもらえると思っていたのに。
「しかし……走って来い?」
クロとかんなは首をかしげる。
すると、ティアムは笑って説明した。
「ああ、剣のことを教えてくれるんだと思ったか。しかしそれは間違いだ。まずは体力をつけることが重要だからな」
「なるほどクロ」
かんなたちは納得した。
かんなはしっかりメモを取る。
しかし、クロは疑問を持っていたので聞いてみた。
「あの……。どこを走るクロ? 危ない道だと、モンスターに襲われる可能性があるクロ……」
すると、ティアムは指をさしながら答えた。
「大丈夫だ。ここの道には魔法をかけている。ここは全て魔法の結界で守られている。だから安心しろ」
「なるほどクロ」
**よかったーーー!**
走っている途中でモンスターに襲われたらどうしようかと思ったクロ。
クロがホッとした瞬間、ティアムが続けた。
「一応、どんなところを通るか説明しよう。まずは――」
**① 森の中**
「自然を楽しみながら進め」
**② 洞窟コース**
「ここはとても暗いから、明かりをつけている」
**③ ジャングルステージ**
「魔法で作り出されたジャングルだ。だから、木に触ろうとしてもスケスケだ」
**④ 氷山ステージ**
「こちらも魔法で作られている」
ティアムは話を続ける。
「それから――一つ重要なことがある。洞窟を抜けた後に**分かれ道**がある。**必ず右に進むこと!**」
「もし**左に進んだら迷子になる**からな」
「じゃあここからスタートだ」
ティアムは地面に線を引く。
やがて、線が引き終わり――
「じゃあ合図で始めるぞ!**3、2、1……GO!!**」
その言葉とともに――
**クロとかんなは走り出した。**
もちろん先頭は――**かんな。**
**この世界に慣れているからかな?**
一方クロは――**もうすでに疲れている。**
「休憩を挟みたいクロ……」
でも、多分休憩を挟んだら訓練にならないクロ……。
しかし――
**クロとかんなの差が予想以上にすごかった。**
**クロが5分で進んだ距離:50m。**
**かんなが5分で進んだ距離:750m。**
それを聞くと
「クロ、少なすぎクロ!!!?」
とクロは驚いている。
カメラで見ていたティアムも驚いている。
ちなみに――
**ティアムは5分で900m。**
それを聞いたクロは
「……速いクロ。かんなよりも速いクロ!!!」
その時かんなはついに――**森を抜けて洞窟へと入っていった。**
「ふぅ……やっと森を抜けられた……」
「もう疲れてきちゃった……」
かんなはくたびれている。
一方、クロは――
「はぁ……かんなはどこに行ったクロ?」
「かんなに引っ張って貰おうと思ったのに……」
**すでにバテバテ。**
なのに今いる場所はまだティアムさんが見えるぐらいの所。
ティアムは、その様子をじっと見つめていた。
「うーん……クロは大丈夫なのか?」
「まだまだ出口は先だが……この距離だと、俺の声も聞こえるはず……」
「かんながここに来るまでスタート地点に戻すか……?」
**いや、これは訓練だ。**
「やらせた方がいいよな……?」
しかし――
**その選択は間違えていたのかもしれない。**
**なぜダメなのか?**
クロ、遅すぎるなと思ったらメールで送って!




