かんなの過去③ あの日の誕生日パーティ!
無理
かんなの過去③お母さんにネオフォース・ザ・ワールドを、、、、
お母さんはしばらく考え込んだあと、静かに言った。
「かんな、一つ約束してくれたら買ってあげる」
「ほ、本当に……!?」
「ええ」
その言葉を聞いたかんなの瞳はキラキラと輝いた。
これで――りゅうととネオフォース・ザ・ワールドができる!
かんなは、誕生日が待ち遠しくて仕方なかった。
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そして――10月25日。ついに誕生日がやってきた。
「お誕生日おめでとう!」
友達も誕生日パーティに来てくれて、かんなは笑顔。
本当は、りゅうとにも来てほしかったけど――それは叶わなかった。
(少し寂しいけど……みんなが来てくれて嬉しい)
「みんな、ありがとう!」
かんながそう言うと、友達のルリがにやりと笑って手渡してきた。
「これ、かんなへのプレゼントや。欲しいやろ?」
ルリは元気で関西弁を使う、お調子者の親友。
名前はおしとやかっぽいけど、実はパワフルタイプ。
「いるよ! ありがとう!」
箱を開けると――
「わぁ……ありがとう……!」
中に入っていたのは、かんなが大好きなキャラクター、アリイ・ロベリットサールのバッジ。
アイドルの彼は女の子のように可愛いけど、れっきとした男子。
ウインクしてるものや、踊ってるものなど、種類も豊富で全部宝物。
すると別の友達が驚いて声をあげた。
「え! かんなもアリイ・ロベリットサール推しだったの!? サーベル・ルライダーミリー推しかと思ってた!」
「あぁ、それは違うアニメだよ!なんの話してんの!?」
そして、耳を疑うような噂が飛び込んできた。
「聞いた? りゅうとがアリイ・ロベリットサール好きなんだって!」
「え、うそ!? りゅうとが……あの可愛い系男子を……!?」
かんなの心がふわっと跳ねた。意外すぎて、頭がフリーズしかける。
その後、プレゼントを開け終え、みんなで盛り上がっていたけど――
「かんなー、早くパーティ始めよ!」
「……あーあ、ネオフォース・ザ・ワールドやりたいなぁ」
この一言が、かんなの中でスイッチを入れた。
やっぱり早くゲームで冒険がしたい――りゅうとと一緒に。
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そして、ゲームの世界に戻ります! ドン!
「プレイヤー名はかんなね! 次は見た目を決めてね!」
ルミナシアの声が響き、キャラメイクが始まる。
①髪色:普段の自分の髪は少し茶色がかっているので、黒ではなく茶色を選択。
②性別:もちろん女。ていうか、髪色より性別先じゃない?
③髪型:ツインテール? お団子? 悩みに悩んで、最終的にポニーテールに決定!
すると――ルミナシアがノリノリで絡んできた。
「かんなさん、ポニーテールいいわね! 私もポニーテールよ! もしかして私に嫉妬して……?」
「お前なんかに嫉妬するか!」
「あら、ひどい。私はこの世界の案内役よ? プレイヤーのサポートをしてるの」
「……そうだけど」
かんなは言葉を濁す。
このゲーム、りゅうとも遊んでるはず。
ってことは――ルミナシアは、りゅうとのことも知ってる……?
「あの……ルミナシア、りゅうとっていう人、知ってる?」
「ええ、知ってるわよ。私の好みなの、ふふ。人間だったら付き合ってたかも〜」
「っ!!! あなたがりゅうとと並べるわけないでしょ!!!」
「あなた、もしかして……りゅうとさんのこと、好きなの?」
「そ、そんなわけないでしょが! あんなやつ、き、嫌い……だし!」
「ふふ、口調が揺らいでるわね、かんなさん」
「私はりゅうとのことが好……あ、違う!! 今のは言い間違い! でもなくて、好きじゃないって言おうとしたの!」
画面の中なのに、顔が真っ赤になっていくかんな。
本当は少しずつ、気づいていた。
りゅうとに、惹かれていること――
無理




