かんなの過去② かんながこのゲームをやった理由(買った理由)
無理
かんなの過去② かんながネオフォース・ザ・ワールドを始めた理由
「私はルミナシアよ。これからあなたは、このゲームのプレイヤーに転生するわ。さあ、まずはお名前からどうぞ」
幻想的な声が響く中、かんなは戸惑いながらも答えた。
「プレイヤー名……えっと、かんなで」
自分の本名のまま登録したのは――
このゲームを始めた理由が、ただの興味ではなかったから。
それは数日前の教室。
ネオフォース・ザ・ワールドの話題が盛り上がっていた。
「俺さ、明日ネオフォース・ザ・ワールド買いに行くんだ!」
「いいな〜! 私も買ってもらいたいけど、お母さんにあと1ヶ月待ちなさいって言われちゃった」
その会話を聞きながら、かんなは少し離れた席で耳を傾けていた。
するとそこへ、クラスの中心人物・りゅうとが声をかけた。
「おい、お前らもネオフォース・ザ・ワールドで遊んでんのか? じゃあ俺とフレンドになろうぜ!」
「マジ!? お前と友達になりたい!」
「いいぜ!」
りゅうとは明るくて頼れる人気者。
そのやり取りを見ていたかんなも、勇気を振り絞って口を開いた。
「りゅうと、私もネオフォース・ザ・ワールド買ってもらったんだ!」
「……そうなんだ」
その返事は、予想と違ってどこか素っ気ない。
(え……嘘って、バレた?)
実はかんなは――まだネオフォース・ザ・ワールドを持っていなかった。
ただ、りゅうとと仲良くなりたくて、ほんの少しだけ見栄を張ってしまった。
その日の帰り道、偶然にもりゅうとに遭遇。
家が近いから、ばったり会うことは珍しくなかった。
「お前さ……ネオフォース・ザ・ワールド買ったって言ってたよな」
「そ、そうだよ!」
りゅうとのほうから話しかけてくれたのは初めてで、嬉しさと焦りが混じった。
「りゅうともやってるんでしょ? 教えてね」
「あ、うん……」
なんとなく気まずくなって、それ以上話せず、家のドアを静かに開けた。
部屋に入ったかんなの顔が暗かったのか、お母さんが声をかけてきた。
「どうしたの?」
「……えっと、嘘ついちゃって」
「なんの嘘?」
「ネオフォース・ザ・ワールドを買ってもらったって……言っちゃったの」
声はだんだん小さくなっていった。
お母さんはしばらくかんなの顔を見て、ぽつりと言った。
「かんな、もうすぐ誕生日でしょ?」
「……うん」
「誕生日に、ネオフォース・ザ・ワールド買ってあげようか?」
「えっ、ほんとに!?」
かんなは思わず目を見開いた。
塾やドリルでいろいろと費用がかかっていることも知っていた。
ゲームは前にやりすぎて禁止になっていた。
勉強の合間のおやつごほうびでなんとか気分転換していた日々。
だから――
「ネオフォース・ザ・ワールド、やっても……いいの?」
お母さんはかんなの目をじっと見てから、真剣な顔になった。
無理




