ボス登場!でかんな過去1
無理
かんなの過去①
地響きと重低音のような振動が、徐々に大きくなっていく。
「ドドドドドドドド! ガン!」
瞬間、地面に亀裂が走った。
「ガンガンガンガン!」
床全体にヒビが広がり、まるで何か巨大なものがこちらに迫っているような気配。
そしてついに――
「ガン!」
轟音とともに床が破壊された。
そこから現れたのは、灰色の鎧に身を包んだ超巨体。
「あれは……封印されたはずのモンスター、ザルヴァル・ウェイド!」
グランファリーさんの声が跳ねるように響いた。
かんなの視界が揺れ、全身に冷たいものが走る。
(あれが……ボス!? 私が……あれを倒せるわけ……ない……)
気を失いそうになるのをなんとか踏みとどめた瞬間、ひとつの記憶が蘇る。
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それは、かんなが初めて「ネオフォース・ザ・ワールド」に触れようとした時――
ゲームを始める前、かんなは不安を感じていた。
(なにも知らずに始めるのは、流石にヤバいかも……)
そう思ったかんなは、スマホで「ネオフォース・ザ・ワールド 記事」と検索。
すると一つの体験談が目に止まった。
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ネオフォース・ザ・ワールドの謎のボスについて
記事を書いた者:カケル
僕はネオフォース・ザ・ワールドを長年やり込んでいます。
今回紹介したいのは、「誰も見たことがない」と噂される伝説のボス――ザルヴァル・ウェイド。
これは5年前、僕が山あいを歩いていた時のこと。
道に迷って引き返そうとしたとき――
「ドンドン」
背後に聞こえた足音。
振り返ると、巨大なゴーレムのような存在が立っていました。
明らかにボスの風格。
鑑定してみると、名前は「ザルヴァル・ウェイド」、レベル895。
倒せるはずなんて、なかった。
僕は全力で逃げました。
これ以上の情報はありませんが、目撃した事実だけはお伝えしたくて、この記事を書かせてもらいました。
写真はこちらです。
――カケルより
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記事を読みながら、かんなは心が躍った。
「ザルヴァル・ウェイド……私も会ってみたい……!」
そのあと、かんなは攻略情報を細かく読み込んだ。
レベルの上げ方、冒険者登録の流れ、精霊との関わり方……
ひと通りの準備を整え、ついにゲームを起動する。
画面に現れた光の精霊が、やさしく語りかけてきた。
「私はルミナシアよ。これからあなたは、この世界のプレイヤーに転生するわ。
さあ、まずはお名前からどうぞ――」
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緊迫する現在と、始まりの過去。
すべてがつながるように、かんなの物語は静かに進み始めていた。
無理




