お肉大会、なんでこうなる!?
無理
お肉大会、なんでこうなる!?
「そこまで!」
グランファリーさんの一声が響き、クロとりゅうとは反射的にピシッと手を膝の上に置いた。
まるで授業中の優等生みたいだ。
――っていうか、今さらだけど……
「グランファリーさん、時間制限って……なかったですよね?」
「ありません。そのために止めたのではありません」
「じゃあ、なんのために……」
グランファリーさんはスッと視線を二人に向けて、
「あなた達、話しすぎです。それでは勝負になりません」
「そ、そうですよね……」
かんなが少し肩をすぼめると、グランファリーさんがふわっと笑って言った。
「だから、かんなさんはりゅうとさんとクロさんの間に座ってください」
「え!? なんでそうなるの!?」
かんなは目を丸くする。
離されるかと思いきや、むしろ距離を詰めてきた……!
(え、逆に近づけるの!?)
その頃、グランファリーさんの心の中では――
(話すのは大歓迎ですが、この調子では、いつまでたっても恋が実らないじゃないですか。距離を縮めれば……ふふ)
これは実は、恋を育てるグランファリーさんの大作戦だった。
もちろん、かんなはその意図を知らない。
「?」を浮かべつつも、真ん中の席に座る。すると……
「バクバク!」
クロの勢いよく食べる音が真横から響いてくる。
「パ、パ……ク」
りゅうとのちょっと苦しそうな食べる音も聞こえる。
(あれ? 前よりスピード落ちてる……?)
かんなが首を傾げていると、りゅうとが隣からぽつりと話しかけてきた。
「なぁ……かんな。なんで参加してないんだ?」
「いや、クロと勝負したら絶対負けるから」
「そうか……俺はクロに勝てるけどな!」
「絶対ウソじゃん……」
かんなは思わずツッコんでしまう。
なんなら、現時点で同点だし、お肉はまだまだある。
するとグランファリーさんがふわりと声を上げる。
「お肉、追加です!」
焼かれた香ばしいお肉が再び登場!
ジュウジュウと湯気が上がり、あたりは肉の香りで満たされる。
「いや、どこから持ってきたんですか!?」
かんなが驚くと、グランファリーさんは微笑みながら言った。
「二十分前、精霊の友達に『お肉持ってたらください』って送ったら、届きました」
「早すぎ!!」
かんなは思わず声を上げる。
普通なら1日はかかるでしょ!?
するとクロが興味津々で身を乗り出す。
「精霊ってどんな種類がいるクロ?」
グランファリーさんはちょっと困った顔で答える。
「それは……普通の人には教えられません」
「ですよね〜」
でも、すぐに続きを言い足す。
「でも……あなた達だけには特別に教えてあげましょう!一旦、お肉大会は中止です」
「えぇ!? お腹すいたクロ!!」
こうして突然――精霊紹介編が始まるのであった。
でもグランファリーさんの恋作戦は失敗かな?
無理




