大食い大会二回戦目、クロが好きな人発表!?!?
無理
第一競技終了!
「やめ!」
クロの好きな人暴露事件から3分が過ぎた。
……とはいえ、結局誰が誰を好きなのかは分からずじまい。
でもそのやりとりだけで、残り時間5分のうち2分が過ぎてしまった。
そして3分後――
グランファリーさんが手を上げて、第一競技・ご飯対決、ついに終了の合図!
クロとりゅうとはスプーンをバッと机の上に置いて、背筋をピンと伸ばした。
クロまできちんと姿勢を正しているなんて……競技になると意外と律儀だった。
「今から、食べた量をお皿の数で数えます! かんなさん、手伝ってください」
「あ、はい!」
かんながクロの担当、グランファリーはりゅうとの皿を数え始める。
皿は空っぽだけど、ほんのりお米の香りが残っていて、周囲には温かい湯気が立ち込めていた。
「1、2……」
数えはじめてから約30秒。
そして――
「21! りゅうとさんは、21皿です!」
グランファリーさんの声が静かに響いた。
それを聞いて、かんなは少し驚く。
でもクロの皿は、まだまだ積み上がっている。
さらに30秒後。
「78……79! クロは、79皿です!」
「いや、差ありすぎだろ!!」
りゅうとが思わず叫ぶ。
かんなも正直びっくりしていた。
せいぜい5皿差くらいで、ギリギリクロが勝つかなって思ってた。
……でも蓋を開けてみたら、圧勝だった。
クロは口をふきながらにっこり笑って言う。
「まったく〜、りゅうとは少食クロね〜」
「は!? 俺、意外と食べれてなかった⁉︎ だって給食でこんな量、絶対無理だし!」
「多分それ……ゲームの中だからじゃないかな?」
かんながそう言うと、クロもすぐに納得。
「確かに、ゲームの中なら現実じゃないし、いくらでも食べれるクロね〜!」
「いや、それはお前もだろ……」
そう言った後、りゅうとは考え込む。
そういえば――クロって、かんなが言ってたよな、ゲームの中に入っちゃったぬいぐるみって。
(ってことは……あれがあいつの、本当の食力!? ていうか、ゲーム空間でさえ俺より速いのか!?)
そのとき、かんながもぞもぞとつぶやく。
「ねえ、りゅうと……なんかさ……お腹いっぱいじゃない?」
「え? 俺は別に……」
「そ、そっか……」
でも、かんなには不思議な感覚があった。
たしかにゲームの中なのに、現実でお腹が膨らんでる気がするのだ。
ふくらみ始めたお腹が重くて、座布団から体がすこし沈みこむような感覚。
その時――クロの声が飛び込んできた。
「かんな、何してるクロ? 今から第二回戦、お肉対決が始まるクロよ!」
「え、そうなの!? 聞いてなかった……!」
でも、かんなのつぶやきなんて誰も聞いていない。
「3、2、1……始め!」
グランファリーさんの声が響き渡ると、机の上に並んでいた生肉が、いつのまにか全部ジュウジュウと焼き上がっていて――
湯気と香ばしい香りが部屋中に立ち込め、お肉の争奪戦が開始された!
「詳しいルールは次のお話で説明するクロね〜!」
無理




