りゅうとのアイドル曲!?!?
ごめん、間違えた!
りゅうとのアイドル曲!?!?
「僕はあなたを追いかけるよ〜
それは……僕らのトキメキだった!
ワ、ワン、ワンワン!」
「え!? りゅうとってそんな歌、歌うの!?!?」
「りゅうと、可愛いクロね〜」
(き、聞くなぁぁぁぁ……!!)
心の中で叫ぶりゅうと。
でも、そんな必死な思いはかんなたちには届かない。
「私はりゅうとだよ! 君を追いかけて〜育ってきた!
私が可愛すぎて、みんなにこう言われるの!
『可愛い〜!』って!」
「いや、歌というより語りになってない!?!?」
「でも可愛いクロね〜!」
「それで今、私はここにいる!
究極のアイドル! 世界一なの!
いつだって君を愛すよ! 好きなのは全員!
でも……本当は私の前の人!」
「ま、前の人って……もしかしてりゅうと、かんなのこと好きクロ!?」
「そ、そんなわけないじゃん!」
かんなはあわてて否定する。
(こ、こういう歌詞なんだよ……! ほんっとに恥ずかしい……!!)
「あと言いたいことがある……
君のことが好きだ! 付き合ってくれないか?
その時、君の顔は真っ赤!
可愛い笑顔、ときめき、輝き、そして光るのさ〜!
僕と君の二人のキ、ス〜!」
(俺の人生……終わった……)
かんなの顔もかなり真っ赤になっていて――
「り、りゅうと……さっきの……その……こ、告白……って、本当……?」
「っ!!! あ、あれは……その……か、歌詞が……そういうだけで……」
「本当はどうなのクロ? り、ゅ、う、とクロ!」
「わ、私も……き、気になる……」
「っ!!! そ、それは……お、俺、か、かんなのこと……いや、秘密だ!」
「え〜! 気になったのクロに〜!」
「そういうところ……ちょっと可愛いなって思っちゃうじゃん」
「う、うっせぇぇ!」
「ていうか……歌、可愛すぎ! 世界一のアイドル! とか、完全に女の子が歌うタイプじゃん!」
「そうクロね! いきなりの告白とか入ってるし〜!」
「っ!!!!!! クロ、それは言わないでぇ……! なんか私まで……恥ずかしくなる……」
「お、俺も……かんなと同じ気持ちだ……」
「二人とも同じ気持ちクロか? ラブラブクロね〜」
「そ、そんなことねぇし!」
そう言いながらも、りゅうとの顔は真っ赤。
かんなも視線をそらしながら、ほんのりと頬が染まっていた。
すると、かんながそっと言う。
「りゅうと……あのさ……えっと……意外と……可愛い……よね……」
「っ!!! そ、そんなことねぇし! 可愛いなんてこと……ないんでちゅから! あっ……」
「赤ちゃん言葉、好きになっちゃったクロ〜?」
「そ、そんなわけないだろぉぉぉ!!!」
でも、真っ赤な顔がすべてを語っていた。
そのとき、部屋の扉がゆっくり開いて――
「車洗いしてたので遅くなってしまいました。……って、何か雰囲気壊しちゃいましたか?」
「全然壊れてません! むしろ、ちょっと助かった感が……」
「もう少しからかいたかったクロのに〜!」
こうして――りゅうとの恥ずかしすぎるアイドル編は、静かに幕を閉じた。
でも、安心する間もなく……
次なるステージ、第二回戦・大食い大会が始まる!!!!
「いや……こ、こんな……雰囲気じゃ……大食い大会なんて……俺……無理だ……」
「そ、それって……私がいるから?」
「そ、そそそそそそそそ、そんなわけねぇだろ!!!!!!!!!!」
そう言いながらも、りゅうとの顔は真っ赤だった。
ごめん、間違えた!




