かんなにバレるか、、、バレないか、、、りゅうとの運命は!?!?
無理
かんなにバレるかバレないか、、、、りゅうとの運命は、、
「た、ただいま戻ったぞー」
りゅうとは顔をできるだけ平然に保って、リビングに戻ってきた。
「もう、トイレ長いよ〜」
「りゅうと、からかわれるのが嫌で逃げたクロね?」
かんなとクロがからかいモード全開で迎えてくる。
でも――赤ちゃん言葉は、どうやら誰にも聞かれていなかった様子。
(あぶねぇ……セーフ……)
りゅうとは心の中でガッツポーズをした。
しかし、心の奥からふつふつと湧き上がってくる、赤ちゃん言葉への謎の欲求が……抑えられない。
(だめだ……もう一回トイレには逃げられないし……!)
そのとき、かんながニヤッとしながら言った。
「そういえば……りゅうと、赤ちゃんだったね〜」
「っ!!!!!! そ、それで呼ぶなよ……!」
「……あ、やっぱりちょっと嬉しいんだ」
「そ、そんなわけないだろ!」
赤ちゃんと呼ばれるたびに、口元がむずむずする。
なんとか平静を装おうとするけれど、心はすでにバブりかけ。
(誰も話しかけるな……今だけは……お願いだから……)
しかし――その願い、あっさり崩れる。
「りゅうと、グランファリーさん、どこに行ったクロ?」
――くっ、クロからの話しかけ来た!
(あっ、やばい……グランファリーさんが外に行ったこと、俺知ってる。理由は……車洗い?)
喋ればバレる。でも喋らないのも不自然。
つまり、喋るしか……ない!!
「え、えっと……確か……車……洗いに……そ、外に……出た、みたいだぞ……」
「なんでそんなに区切ってるクロ? まぁ、いいクロか」
ギリギリセーフ……!!
みたいだぞの「だぞ」が危うく「でちゅ」になるところだった!
(危なかった……マジで危なかった……)
喋るの禁止令を頭に掲げた直後――
「ねぇ、りゅうとちゃん〜」
「な、なんだよ……」
「りゅうとの黒歴史、私、ひとつ知ってるんだ〜、 言ってもいい?」
「お、おい待て! 言うな! 僕の黒歴史、恥ずかしいのしかないんでちゅから!」
「……僕? ……ないんでちゅから?」
「あっ……な、なんでもない!!!!!!!」
……終わった。完全に言っちゃった。でちゅ、って言っちゃった。
でも、かんなしか聞いていなかったのは不幸中の幸い。
クロはちょうどお菓子棚に気を取られていて、よそ見していた。
だが容赦ないかんなは、にっこり笑ってこう宣言する。
「じゃ、りゅうとの黒歴史、暴露します!」
「お、おいぃぃぃ!」
「りゅうとは……5歳の時、アイドルの動画を何回も見て、歌ったり踊ったりしてた〜!」
「アァァァァァァ!!!!!! 言うなって言ったのにぃぃぃ!!!!」
りゅうとはその場に崩れ落ちる。
顔は湯気が出そうなくらい真っ赤。
心の赤ちゃんエンジン、再起動――いや、加速してしまった。
そこに追い打ちをかけるように、クロが満面の笑みで、
「歌ってみてクロ!」
「う、歌うわけないだろぉぉぉ!!!!」
必死に否定する声とは裏腹に、心の中では幼児モード発動寸前。
ついに――
「私は、世界一のアイドル・りゅうとちゃんでちゅ! 今から歌をうたいまちゅ!!」
……言っちゃった。
かんなとクロが笑いをこらえながら見守る中、りゅうとは心の中で叫ぶ。
(誰か……誰か俺を止めてくれぇぇぇ!!このままじゃ……羞恥で消えるぅぅ!!)
無理




