クロの食べる量は果たして、、、
無理
クロの食べる量は、、
「パク!」
クロがまず手に取ったのは、あつあつの唐揚げ。
外はカリッ、中はふわっと香ばしくてジューシー。
食べた瞬間、口の中に肉汁がじゅわっと広がり、まるで魔法がかかったような味わいだった。
ちなみに焼肉セット以外にも、お寿司、ピザ、グラタン、フルーツ、さらにジュースまで――なんでもあり。
神殿とは思えないラインアップだった。
かんなもクロに続いて唐揚げをひと口。
「ん! あったかいですね!」
指にふわっとした熱が伝わり、口の中では衣のザクザク音とともに肉の旨みが広がる。
「えぇ、出来たてなので」
グランファリーの優しい声とともに、さらにお皿が差し出される。
「お、美味しすぎるクロ!」
クロは唐揚げをもぐもぐ。すでに3つ目まで平らげて、次のターゲットへ。
それは……焼肉。
「牛いくのか! さすが高級ルート……」
かんなが見守る中、クロは小さなフォークを握り、焼きたての牛肉をぷすっと刺す。
「パクっ!」
口の中に広がったのは、甘めのタレと、少し香ばしく焼けた脂の香り。
「お、おいしすぎるクロ!」
そして次々とパクリパクリ。ちっちゃな口に驚くほどの勢いで肉が消えていく。
かんなも焼肉を一口。
「お、美味しい……!」
りゅうともがっつり食らいついている。
「う、うますぎるぜ!」
---
──30分後。
「パクパクパク!」
止まらない食べる音。その正体は、もちろん……クロ。
「このウインナーっていうやつ、美味しいクロ!」
パリッという音とともに、肉の旨みがはじけた。
「これは何クロ!? 黄色くて美味しいクロ! ……えっと、チーズっていうクロね!」
口の中でとろけていくチーズに、クロの瞳がキラキラしている。
かんなは呆然と見つめながら、
(ほんとに……食べてる……このサイズで?)
と思わずつぶやく。
横を見ると、りゅうとが顔を真っ赤にして皿と格闘していた。
「さ、最高だぜ……」
その声はどこか弱々しくて、胃の悲鳴が聞こえてきそう。
(りゅうと、絶対苦しいじゃん……)
でもクロに負けるか!という意地が、彼を動かしているらしい。
そんなに頑張らなくてもいいのに――
かんなは苦笑しながら、次に何を食べようかとフォークを手に取った。
無理




