剣と気合と空腹を
第六話だよ!読んでね。
クロたちは訓練所へ向かった。
そこは森の中にあり、クロはふわふわの耳をぴくぴくさせながら震えた。
「かんな、ここは森だからモンスターが来ちゃうクロ!違うところにするクロ!」
しかし、かんなは笑って答える。
「大丈夫だよ。この訓練所は、そのことも考えて作られてるんだ」
「……どういうことクロ?」
クロは意味が分からない。
モンスターが入れないようにバリケードを張っているわけでもなく、特に何かあるようには見えない。
「こんな場所で訓練してたら、モンスターに襲われちゃうクロ!」
そう思うとゾクゾクしてくる。
しかし、かんなはさらっと答えた。
「ここはね。魔法でモンスターが入れないようにしているんだよ」
「魔法……!?そんなのアリクロ!?」
「まぁ、私はそんな上級の魔法は使えないけどね」
クロは「は!」と思った。
バリケードみたいな目立つものだと、モンスターに警戒されるし、対策されるかもしれない。
しかし、魔法なら見えないし、対策もされない。
これなら安心して訓練ができるクロね!
しかしクロは大切な事に気づいた。
「かんな。武器の使い方を覚えるって言っても、武器がないと意味ないクロ!どうするクロ?」
すると、かんなは微笑んで答えた。
「大丈夫だよ、クロ。この訓練所には練習用の武器が用意されてるんだ」
「武器、クロか!確かに向こうに剣っぽいのが見えるクロ!」
クロはワクワクしながら、かんなと武器置き場へ向かった。
ただし――訓練用だから、持ち帰ってはいけないとのこと。
「よし、まずは剣の使い方を学ぼうか」
「どうやるクロ?」
「まずは剣を持って、何回か振ってみよう」
「わかったクロ!」
クロは慎重に剣を握り、そっと振ってみる。
「シュッ!」
剣を振ると、心地よい音がした。
クロは楽しくなって、勢いよく剣を振り始める。
「ブンッ!ブンッ!ブンッ!」
しかし――
「うわっ!?クロ!!」
勢い余って剣が激しく揺れ、クロはそのまま転んでしまった。
「クロ、思いっきり振りすぎだよ……!普通に振って!」
「プー。わかったクロよ」
クロは気を取り直して、まっすぐ普通の速度で剣を振る。
それを20回ほど続けたころ――
「クロ、次は縦じゃなくて横に振ってみて。横の方が難しいかも」
クロは言われた通りに、慎重に剣を横に振る。
しかし――
「うーわ!目が回るクロ!!!」
剣を横に振ると、つい体も一緒に回転してしまい、目がぐるぐる回る。
「もう……クロ、大丈夫?横振りは難しいよね。でも慣れたらそんなことにはならないよ」
「んー。この世界で強くなるのは大変クロね。でも、もう一回やってみるクロ!」
クロは気合を入れ直し、何度も練習を続ける。
最初は何度も目が回ったり、剣を落としてしまったりしたが――
だんだん慣れてきて、ついに縦にも横にも剣をスムーズに振れるようになった。
「やったクロ!!かんな、クロ、剣を振れるようになったクロ!!」
クロは満面の笑みで飛び跳ねた。
しかし――
「クロ。まだ終わってないよ」
「えっ……?」
「剣の扱い方もあるし……あと、何個か習わないといけないことがあるよ」
クロはちょっと悲しくなった。
「まだあるクロ……?もっと大変な訓練かもしれないクロ……」
考えるだけでしんどくなってきた、その時クロのお腹が大きく鳴った。
時計を見ると、**12時。**
「あ。クロ、お昼ご飯にしよう!」
その言葉を聞いた瞬間――
「やっとお昼ご飯クロ!!!!」
クロは飛び跳ねるように喜んだ。
そう、クロは疲れていて時間も忘れていたのだ。
しかし昼ごはんは、クロにとって何よりの癒し。
やっと、やっとご飯だ……!
「かんな、お昼ご飯は何クロ?」
クロがちょっとおっちょこちょいだなと思う人!