神殿が広すぎる!? しかも玄関に呪文で穴!?!?
無理!
森の神殿ににレッツゴー!
グランファリーは微笑みながら、はっきりと答えた。
「もちろんです。だってあなたは、私の命の恩人ですから」
そう言ってふわりと宙に浮き、手招きする。
「さあ、私について来てください」
彼女が飛び出した先は、かんなたちが目指していた隣村の方角と同じだった。
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5分ほど歩いたころ、クロが息を切らしながら言う。
「まだ……つかないクロ……」
「もうすぐです。安心してください、クロさん」
グランファリーの優しい声が森の中に響く。
その響きに、かんなは心の中で思った。
(グランファリーさんって……ほんとに優しいな)
さらに3分ほど進むと、グランファリーが立ち止まり、前方を指差す。
「ここですよ」
そこにあったのは――苔むした静かな石の壁。
「えっ……何もないですけど?」
かんながぽつりとつぶやいたその時、
「ここです」
グランファリーがそう言って、なんと――石の壁をすり抜けていった!?
「え、入れるの!? そこ、ただの壁じゃ……!」
りゅうとも驚いて目を見張る。
(壁をすり抜けるなんて、誰が想像するの……?)
かんなが半信半疑で壁に手を伸ばすと――
「……本当だ!」
指先は何の抵抗もなく、すっと中へ。
「すげえ……」
りゅうとも思わず声を漏らす。
その隣ではクロが嬉しそうに叫ぶ。
「クロもクロ!」
そして、次々に壁を通り抜けていく。
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その先に広がっていたのは――広大な神殿だった。
いや、お城と見まごうほどのスケール。
「ここが……森の神殿です」
グランファリーが堂々と指差した先には、美しく整えられた回廊と、優雅な曲線を描く屋根が連なっていた。
「中をご案内しますね」
玄関に向かって進む彼女のあとを、かんなたちもついていく。
そして――
「え!?!?」
玄関の扉が開いた瞬間、かんなが思わず声を上げた。
広い。いや、広すぎる。
自分のアパートの部屋よりも、玄関だけで大きい!
靴どころかソファも置けそうな空間に、繊細な装飾が整然と並ぶ。
「広いですね……!そして、すごく綺麗」
思わず見上げながら言うと、グランファリーはさらりと答えた。
「いえ、ここは狭いですよ?」
「え?」
かんながきょとんとする。
するとグランファリーは玄関の中央に立ち、小さく呟いた。
「――グランブリーホールよ。我が力で目覚めよ」
ゴゴゴ……!
玄関の床がかすかに震え、中央がゆっくりと沈みはじめる。
そこに現れたのは、さらに深く続く階層――もうひとつの巨大な部屋だった。
「……どこまで続くの!?」
かんなは思わず目をまんまるにする。
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謎に満ちた森の神殿。
神秘の力と、想像を超える広さ――
この先には、いったい何が待っているのか――
つづく!
無理!




