助けた少年の正体は?
第四話です。
自分でも面白く作れたと思います。
読んでね。
クロは、ふと昨日のかんなの言葉を思い出した。
「クロ、知らない人についていったらダメだよ。危険だから。特に私がいない時はね」
「分かったクロ!かんなの言うこと守るクロ!」
……そう言ったはずなのに。
クロは今の状況を振り返る。
① 一人で外に出た
② 知らない人についていった
③ しかも、森に入った
「これ……かんなの言うこと、ぜんっぜん守ってないクロ!」
ヤバい。絶対後で怒られる。
「っていうか、知らない人と一緒にいるクロ!これって……クロ、危険クロ!?」
でも、どう見てもハルマ君は危険そうには見えない。
だって、モンスターから助けてくれたんだし。
**疑えないよ。**
そう思いながら歩いていると、家の屋根らしきものが見えてきた。
「ハルマ君、あそこに屋根が見えるクロ!あれ、ハルマ君のお家クロ?」
「そうだよ!あの色、あのえんとつ!僕のお家の屋根だ!」
「じゃあそろそろお家クロね!」
クロはホッとすると同時に、心がざわつく。
もし、このままハルマ君が**「実は僕、モンスターなんだ」**って言ったら……?
もし、**「友達になったと思わせておいて、後で襲うつもり」**だったら?
クロの歩くスピードがどんどん遅くなる。
でも、もう家が目の前に見えてきた。
うん……見た目は普通だ。問題なさそう。
と、そのとき――
「やったー!お家だ!」
ハルマ君は喜び勇んで家へ走っていった。
「クロさん、ありがとう!よかったら、あと5分だけここにいて!」
そう言って、家に駆け込んでいく。
クロはすぐ帰りたかったけど、モンスターから助けてもらったし、まぁ大丈夫だろう。
だから、おとなしく5分待ってみることにした。
しばらくすると、ハルマ君の家から、母親らしき人が出てきた。
「うちの子を助けてくれてありがとうございます。あ、ハルマの母です。よかったら、お詫びとして何か差し上げたいのですが……」
クロは驚いた。
「えっ?もしかして……ハルマ君って、ただの迷子クロ?」
それなら、疑ってごめんなさいクロ。
でも、お詫びって何がいいクロ?
クロは考えていたが、ふと家の中のキラキラしたアイテムが目に入った。
「すみませんクロ。このキラキラ光ってるアイテムは何クロ?」
「それね?特殊アイテムなの。攻撃力アップ、守備力アップとか効果はあるんだけど、何のアイテムなのかは分からないのよね」
そう聞かれ、クロは考え込む。
攻撃力アップなら強くなれるし、守備力アップなら危険から逃れられるかも。
どっちにしても良いことしかない。
「その特殊アイテム……くださいクロ!」
「分かったわ。持っていきなさい。そういえば、帰り方は分かる?」
「えっ……えーと……分からないクロ」
「じゃあ、うちのバードに乗って帰りなさい。こいつは飛べるから、クロさんの住んでる村までひとっ飛びよ!」
「バード!?クロ、飛ぶの!?」
クロはちょっと怯えたが、ありがたく乗ることにした。
最初は怖かったけど、しっかり掴まっていれば意外と安定していた。
そして――たった**5分**で村に到着。
「最初からこれ使えばよかったクロ……」
「と言うか……今何時クロ?」
**7時55分**。
「げっ。あと5分でかんなが起きるクロ!」
知らない人について行ったことがバレたら絶対怒られるクロ……!
「送ってくれてありがとうクロ!急いでるから話せないクロけど、また暇があったら行くクロ!」
そう言って、ハルマ君たちと別れた。
クロはダッシュで家へ向かう。
かんなが起きるまで**あと2分**。
「急いで家に戻るクロ!!!」
考えている暇もなく、勘で道を選んで走る。
すると――**家、発見!!**
「ラッキークロ!!」
階段を駆け上がり、ベッドに飛び込む。
かんなが起きるまで**あと30秒**。
クロは急いで寝たふりをする。
「ジリジリ、ジリジリ」
目覚まし時計が鳴る。
「まるで、生き物みたいクロ……」
そして――かんなが目を覚ました。
クロは必死にいびきの真似をする。
「起きて、クロ。朝ごはん食べるよ。」
かんながベッドを揺さぶる。
クロはピュッと跳ねるように起き上がった。
「朝ごはん、早く欲しいクロ!!」
すると――かんながじっとクロの足を見つめる。
「クロ……もしかして、一人で外に出た?」
「そ……そんなことないクロ!!」
「じゃあ、その足の傷は?」
「えっ……えーと、ベッドから落ちたクロ?」
「でも、落ちたなら、こんな高いベッドに戻れたのはおかしくないよね?」
「……んー……一人で外、出ちゃったクロ。ごめんなさいクロ」
かんなはため息をついた。
「まぁ、許してあげるよ。でも……何してたの?」
ダメな所があればコメント下さい。