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選ばれし者ーー虹の記憶

無理

選ばれし者ーー虹の記憶

かんなの目の前に浮かぶ、透明な光の板。

それは、まるで空間に直接投影されたように、ふわりと宙に漂っていた。


「……プロフィール画面……?」


その言葉を口にした瞬間、画面がゆっくりと明るくなり、

中央に一枚の画像が浮かび上がった。


そこに写っていたのは――ミラーシャルドラゴン。

虹色の鱗が、まるで光を放つように輝いている。

そして、その下に、文字が現れた。


ミラーシャルドラゴンが、仲間になりたがっています。

仲間にしますか?


「……え?」


かんなは、思わず声を漏らした。

まるでゲームの中のような選択肢。

けれど、これは夢でも幻でもない。

目の前に、確かに“現実”として存在している。


「仲間に……って……」


かんなは、そっと画面に手を伸ばした。

その指先が、光の板に触れた瞬間――


「かんな?」


背後から、りゅうとの声がした。

振り返ると、彼とクロが、少し離れた場所からこちらを見ていた。


「……どうしたクロ?その顔……」


クロは、じっとミラーシャルドラゴンと画面を交互に見つめていた。

その目は、どこか真剣だった。


「クロのぬいぐるみセンサーが言ってるクロ。これは、ただの“仲間”じゃないクロ……」


「ただの仲間じゃない……?」


「うん。これは、契約クロ。かんなの中にある“何か”と、ドラゴンの力が、つながるってことクロ」


「……契約……」


かんなは、再び画面を見つめた。

“仲間にしますか?”という文字は、変わらずそこにあった。

けれど、今はその意味が、少しだけ違って見える。


「……わたしが、選ぶんだ……」


かんなは、深く息を吸い込んだ。

そして、画面の“はい”の文字に、そっと指を重ねた。


その瞬間――


光が、弾けた。


まばゆい虹色の光が、かんなを包み込む。

風が巻き起こり、空気が震える。

ミラーシャルドラゴンが、静かに目を閉じた。


かんなの胸の奥が、熱くなる。

何かが、体の中に流れ込んでくるような感覚。

けれど、それは不快ではなかった。

むしろ、心が満たされるような、静かな力だった。


「……これが……」


かんなが呟いたとき、光がすっと収まり、画面が消えた。


ミラーシャルドラゴンが、かんなの前に歩み寄る。

その巨大な頭を、そっとかんなの前に差し出す。


「……よろしくね」


かんながそう言うと、ドラゴンは静かに目を細めた。

その仕草は、まるで微笑んでいるようだった。


「すごいな……」


りゅうとが、ぽつりと呟いた。

クロは、目を丸くして、かんなを見上げていた。


「かんな、なんか……ちょっと、変わったクロ……」


「え?」


「ううん、悪い意味じゃないクロ。なんか、強くなったっていうか……光ってたクロ!」


「光ってた……?」


かんなは、自分の手を見つめた。

確かに、さっきの光が、まだ指先に残っているような気がした。


そのとき――


またしても、空間に光が走った。

今度は、かんなの目の前に、新たな画面が現れる。


そこには、こう書かれていた。


“虹の契約、完了しました。”

“あなたに関する記録が更新されました。”

“詳細を表示しますか?”


「……記録……?」


かんなが、そっと“はい”に触れようとした、その瞬間――


画面が、勝手に開いた。


そして、そこに表示されたのは――


---


次章予告:「記録の扉――かんなの真実」

ミラーシャルドラゴンとの契約を果たしたかんな。

その瞬間、彼女自身の記録が更新される。

そこに記されたのは、かんなの力の正体か、それとも――

次回、記録の扉が開く。

隣の村へ向かう旅の途中、かんなの過去が静かに姿を現す。

虹の契約が、物語をさらに深く導いていく。

 

無理

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