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語りの未来ーー風が運ぶもの

無理

(タイトルと全然内容違うけど許してください!!)

語りの未来ーー風が運ぶもの

森の中は、静かだった。

木々のざわめきと、遠くで鳴く鳥の声。

かんなは、枝を避けながら歩いていた。

その足取りは、どこかぎこちない。


「かんなー!!!!」


茂みの奥から、ふわふわの影が飛び出してきた。

しば犬のぬいぐるみ――クロ。

本来は部屋に置いていたはずの存在。

なのに、なぜかこのVRゲームの世界に入り込んでしまった。

今では、かんなの旅の相棒だ。


「クロ……!」


かんなは、思わず笑顔をこぼした。

クロはぴょんぴょん跳ねながら、かんなに飛びつく。


「寂しかったクロー……。おにぎりとパスタとチーズパン、ちゃんと食べたクロよ!美味しかったクロ!」


「よかった……ちゃんと残ってたんだね」


かんなは、クロの頭を撫でながら、ほっと息をついた。

そのとき、後ろから足音が近づいてくる。


「……もう、かんないたのか」


その声に、かんなの背筋がぴんと伸びた。

振り返ると、りゅうとが立っていた。

彼の表情は、少しだけ硬い。

けれど、目が合った瞬間、ふたりともわずかに視線を逸らした。


「……っ!な、何?」


かんなの声は、少し上ずっていた。

りゅうとは、腕を組んだまま言った。


「いや……別に……?ちょっと、早いなって思っただけ……」


「……そ、そう。うん」


ふたりの間に、妙な沈黙が流れる。

気まずいわけじゃない。

でも、どこか照れくさい。


クロは、ふたりの間に割って入るように言った。


「かんな、りゅうと、なんかあったクロ?」


かんなは、少しだけ口を開きかけて、

けれど、すぐに首を振った。


「いや……何も……なかったよ!!!!」


その声は、ちょっとだけ強すぎた。

りゅうとは、少しだけ肩をすくめて言った。


「と、隣の村、行こっか。夜になっても俺たち強いし、大丈夫!」


「う、うん。そ、そうだね!」


かんなは、クロの耳をそっと撫でながら、

小さくつぶやいた。


「……ごめんね、クロ。ちょっとだけ、いろいろあって」


クロは、ふわっと尻尾を揺らして言った。


「かんなが元気なら、それでいいクロ!」


かんなは、思わず笑った。

りゅうとも、ほんの少しだけ口元が緩んだ。


森の中の空気は、少しずつ変わり始めていた。

遠くで、何かが動いた気配。

隣の村へ向かう道の途中――

何かが、待っている。


---


次章予告:「森の影――誰かが見ている」

かんなとりゅうとの間に漂う、照れくさくもあたたかな空気。

クロの無邪気さが、ふたりの距離を少しずつほぐしていく。

だが、森の奥には何かが潜んでいた。

次回、森の影が動き出す。

それは、偶然か、誰かの意志か――

旅の途中で、最初の事件が起こる。

 

無理

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