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揺らぎの種ーーアリサンの選択

無理

揺らぎの種、アリサンの選択

風は静かに吹いていた。

語りの流れは、アリサンの胸に根を張り始めていた。

その芽はまだ小さく、言葉にはなっていない。

けれど、確かにそこにあった。


リルドは、靄の中心で立ち止まり、

天の精霊を見据えながら、冷たく笑った。


「天の精霊よ……お前たちは語りに頼る。

だがな、我らも進化する。

前は、お前たちを40秒で倒した。

次は――5秒かもな。はははははー!!」


その笑いは、風を裂くように響いた。

靄が濃くなり、空気が重くなる。

語りを拒む力が、再び集まり始めていた。


だが、そのとき。


“語りの森”の縁から、グランファリーさんが一歩前に出た。

葉を編んだ手を胸に当て、静かに、しかし確かに語る。


「みんな、大丈夫ですよ」


その声は、風に乗って仲間たちのもとへ届いた。

炎の灯が揺れ、水の流れが澄み、雷の根が震えた。


グランファリーさんは、リルドを見つめて言った。


「リルド……私たちは、この日のために訓練してきました。

語りの力を手に入れ、心が折れなくなった。

誰かに届く言葉を、何度も紡いできた。

だから今――」


彼は、そっと手を広げた。

その掌に、語りの葉が浮かび上がる。

それは、記憶と願いと絆のかたち。


「私たちは……不思議な力を手に入れたんです」


風が吹いた。

それは、語りを包む風。

仲間たちの語りが重なり、ひとつの響きとなる。


グランファリーさんは、笑顔で叫んだ。


「ソーシャルミンスコーミート!!!」


その言葉が風に乗った瞬間――

靄が揺れ、空が震え、

語りの力が、世界に響き渡った。


そして、物語は次の瞬間へと進む。

語りを守る者たちの力が、今、試される。


---


次章予告:「語りの共鳴――アリサンの芽吹き」

語りの風が世界を満たし、闇の靄が揺らぎ始める。

アリサンの心に芽生えた語りは、まだ言葉にならない。

だが、その揺らぎこそが、闇に差す最初の光。

次回、アリサンは選ぶ――語りを拒むか、受け取るか。

その選択が、風の行方を決める。

そして、語りは共鳴し始める。

 

無理

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