クロ、トリートメントにいつ辿りつける?
十九話です。
かんなはボトルを持ちながら、クロに説明する。
「トリートメントはね、髪の毛、毛をケアするためのものだよ!」
クロは不思議そうに首を傾げる。
「え?さっきも髪の毛、毛を洗わなかったクロ? また洗うクロ?」
かんなは軽く苦笑して訂正する。
「違う違う。シャンプーは頭を洗うもので、トリートメントは毛をしっとりさせるためのもの!」
クロは
「片方でいいクロけど……分かったクロ!」
と納得したように頷く。
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「じゃあ、こうやって――」
かんなは髪の毛にトリートメントをなじませていく。
クロも真似してみようとする。
しかし――
ポテン!!!
クロが座っていた椅子からバランスを崩し、転んでしまった。
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「クロ、転んじゃったクロ!!!」
かんなは慌ててクロを起こす。
「大丈夫!? びっくりした……」
クロは
「うーん……多分、大丈夫クロ……」
と呟きながら立ち上がる。
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そして、再びトリートメントを取ろうとした瞬間――
6プッシュ!!!
クロは勢いよくボトルを押してしまい、大量に出てしまった!!!
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「かんな! クロ、こんなにいっぱいトリートメントつけちゃったクロ! これはいいことクロ!?**」
クロは目を輝かせながらかんなに尋ねる。
しかし――
「え……そんなにつけちゃったの!? それは……いいことではないね」
かんなは苦笑しながら答えた。
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「そ、そうだったクロ……!? ご、ごめんなさいクロ……」
クロはしょんぼりしながら謝る。
「まあ、ダメかもしれないとは思ったクロけど……ちょっと期待してたクロ……」
かんなは微笑みながらクロを見つめる。
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「気持ちはわかるけど、使いすぎるともったいないからね!」
クロは
「なるほどクロ……」
と呟きながら、トリートメントを流そうとする。
しかし――
「クロ、何してるの!? トリートメントがもったいないよ!!!」
かんなが驚いた声を上げる。
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クロはハッとしてかんなを見る。
「え!? でも、いっぱい使ったらもったいないって言ってたクロ……だから流したクロ……」
かんなはため息をつきながら説明する。
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「違う違う。せっかくつけたなら、しっかりなじませてから流さないと意味がないの!」
クロは
「そ、そうだったクロ!?」
と驚きながら、慌てて謝る。
「ご、ごめんなさいクロ! クロ、失敗ばっかりクロね……」
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かんなは微笑みながらクロの肩をポンと叩く。
「あ……クロごめんね。ちょっと言いすぎちゃった……。で、でも次からは、気をつけてね?」
クロはすぐに頷く。
「ごめんなさいクロ……次からは気をつけるクロ!」
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かんなは少し考えながら言う。
「まぁ、もう流しちゃったならしょうがないか。もう一回つけ直そう!」
クロは
「いいクロ?」
と確認しながら、慎重にボトルを持つ。
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「今度は勢いをつけないで、2プッシュね!」
「分かったクロ!」
クロは慎重にボトルを押す。
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「1……2プッシュ!」
今度はうまくいった。
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クロは嬉しそうに
「やったクロ!」
と小さく飛び跳ねる。
「自分でできたクロ!」
かんなも微笑みながら頷く。
「ちゃんとできたね! 偉い偉い」
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こうして、クロはようやくトリートメントをつけることに成功した。
しかし――
まだ洗い方は知らない。
クロは不安とワクワクが混じった顔でかんなを見つめた。
「かんな……トリートメントで、毛……どうやって洗うクロ?」
かんなは
「ふふっ!」
と笑いながら答える。
「それはね……こうするんだよ」
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こうして、クロの初めての本格的なヘアケアは、まだまだ続くのだった。
クロ、失敗しすぎと思った人!




